平成24年3月23日up
これまで遠別町の災害時の情報伝達手段は昭和59年に設置した防災行政無線のみでした。近年、老朽化により更新の時期を迎え、過疎化の中で「防災など緊急時の情報伝達手段」を模索している中、総務省のICT基盤整備支援策であるICT交付金を活用することになりました。
光ファイバーによりインフラ整備を整備し、各家庭にIP告知端末を整備することにより、気象庁からの緊急情報(震度4以上、津波・大津波警報など)を「自動」で各家庭に伝達できるようになりました。遠別のIP告知端末の特徴はNTTの汎用のテレビ電話なので保守が容易で使いやすく、町内のとじたネットワークですが、町内の電話はいくら使っても無料ということで町民から好評を得ています。
また、IP告知端末の双方向システム「知らせますケン」を利用した「高齢者見守り」の取組を行っており、地域おこし協力隊(平成23年4月採用:総務省支援策)が毎日高齢者宅の端末に“安否の確認”(写真参照:お元気ですか?)を配信し、24時間以内に視聴状況を確認します。対象者が画面に触れると“安否の確認”に視聴状況が反映されるもので、煩わしい操作が無い高齢者に優しいシステムとなっています。利用世帯も30世帯から40世帯に増え、今後も増える見通しです。
ほかにもコンテンツの配信として住民の皆さんが見たくなるような娯楽性の高いものを意識しており、今後、他のIP告知端末導入自治体がコンテンツを作成する際にも参考にもなりそうです。
町では「知らせますケン」を有効に活用していくため、町内の各機関で構成する「地域情報化推進協議会」において意見を出し合い、利活用の検討を進めています。
この双方向システムと連動して「えんべつひかりタウン」というミニホームページが開設されており、IP告知端末で見られるようになっています。
非常時の準備等の防災情報を載せた「防災豆知識」、遠別町内のイベント等を紹介する「写真館」、町内の求人情報を掲載した「仕事バンク」、町内の各家庭で不要になったものを必要な家庭に取り次ぐ「リサイクル掲示板」など、アイデアにあふれたコンテンツを掲載し住民から大きな支持を受けています。
このようにシステムとコンテンツを充実させる一方で、それを使いこなすためのサポート体制も万全です。最初は、操作方法を含めて分からないという声が多く地域おこし協力隊が自宅に出向いて操作方法を教えました。同じ質問にも根気よく答えるなど徹底的にサポートを行った結果、あまり質問もなくなり、その余裕の出た時間を活用して、今では地域おこし協力隊は告知端末に載せる写真や素材を集めたり、リサイクルや物件情報などのつなぎ役としてIP告知端末のアプリケーションを積極的にサポートし「住民の笑顔」を引き出しています。
今回、取材対応をしていただいた遠別町役場総務課企画振興課係の佐藤主査は「見守り事業の将来の理想は、町内会などが担当者を決めて見守り事業を自主的に運営していただくこと」と今後の展開について抱負を語りました。
総務課企画振興係 佐藤 克久 主査
地域おこし協力隊 山下 悟 氏
IP告知端末
IP告知端末(高齢者見守り画面)