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快適な生活のための医療&健康管理をICTで!
    − 「ICT利活用普及セミナー」を開催 −

平成25年3月28日up

 

  地方の医師不足により遠くの病院に通わざるを得ない地域があります。また道内では、今冬暴風雪で列車やバスの運休が相次ぎ、病院にすら通えない日が何日もありました。このような地域に住む方々の日常的な健康管理をどうするかは、道内のみならず過疎地における社会的な課題となっています。
  その解決方法の一つとして、ICTを活用した遠隔での診察や病気を未然に予防する健康管理方法があります。こうしたことから、北海道総合通信局は3月13日、道民が健康で安心して生活できることを目的に医療健康分野におけるICTの利活用事例を紹介するセミナーを札幌市内において開催しました。

  最初に、札幌医科大学大学院 辰巳教授から「ICT利活用による『情報薬』:健康管理から戦略的防衛医療構想へ」と題して基調講演がありました。
  「情報薬」とは、「伝えることで人の心に変化をもたらす情報」をいいます。「戦略的防衛医療構想」では、病気になってから薬を与えるのではなく、科学的に可視化された明確な「情報薬」を作ってあらかじめ与えることにより、病気の発症や病状の悪化を事前に防ぐという考え方です。例えば、不摂生をしている人に体脂肪率が増えていることがはっきりとわかる数値グラフ(情報薬)を見せる(与える)ことで、危機感を覚えダイエットを意識するようになり、成人病予防の効果が期待できるという具合です。
  今後、この研究成果が実用化されることが望まれます。

辰巳治之教授画像

  辰巳 治之 氏
  北海道公立大学法人札幌医科大学大学院
  医学研究科 生体情報形態学 教授

  次に、福島県西会津町の健康福祉課 新田保健師長から「在宅健康管理システム整備運営事業−住民の健康管理−」と題して講演がありました。
  西会津町は、人口約7500人で広い面積に集落が点在しており、地方特別豪雪地帯に指定されていることや高齢化率が高いことなど、道内の市町村に似た環境にあります。
  町内には双方向ケーブルテレビが整備されており、脳卒中予防対策としての事業として血圧の管理が必要な世帯に血圧、脈拍、心電図を測定できる端末を貸与しています。測定されたデータは町の保健師に送信されるほか、項目ごとにグラフ化され、地域や主治医ごとに管理されています。保健師からは利用者にメッセージや指導のコメントを送信し、場合によっては医師に相談して助言をもらい対応しています。保健師としては、システムデータだけでは利用者の生活状況が見えず適切な指導等が行えないことから、電話や訪問をして助言を行うなどきめ細かな対応を行っています。
  新田保健師長は「町民に寄り添う保健師でありたい」という言葉で講演を締めくくりました。

新田幸恵保健師長画像

  新田 幸恵 氏
  福島県西会津町健康福祉課健康支援係
  保健師長

  最後に、喜茂別町健康推進課 酒井係長から「地域情報通信基盤整備推進事業− テレビ電話健康ネットワーク −」と題して講演がありました。
  今回紹介されたテレビ電話健康ネットワーク事業は、「住民による住民が安心して健康に暮らせる仕組み作り」を目指し、喜茂別町のほか、島牧村、ニセコ町、積丹町の3町1村共同で行われています。
  キーアイテムは「歩数計」。参加者は歩数計を持ち歩き、専用端末で歩数や血圧、体重のデータを収集します。蓄積されたデータは東京のサポートセンタでグラフ化され対象者に解りやすく指導します。
  町内の移動は今までは車の利用が多かったそうですが、歩数計を持つことにより意識的に歩くようになり、指導の結果、食事にも気をつけ体調が良くなったという例が紹介されました。昨年はネットワーク中継により3町1村対抗の高齢者ゲーム大会を開催するなど、高齢者の元気応援の輪を広げています。
  「参加された高齢者が笑顔になってくれたのがとてもうれしい」と酒井係長も笑顔で語りました。

酒井 英子 氏

  酒井 英子 氏
  北海道喜茂別町健康推進課健康づくり係 係長

  また、セミナー会場には、実際のシステムの展示によりデモンストレーションが行われ、より講演の内容の理解が深まりました。

システムのデモンストレーション画像

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