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情報通信分野における「東日本大震災」からの教訓
- 情報通信研究機構 耐災害ICT研究センター長に聞く -

平成25年8月13日up

  北海道総合通信局は、安心・安全な住民生活を守るためICTを活用した様々な施策を展開しています。このたび、仙台市の東北大学内に設立された、「独立行政法人情報通信研究機構(NICT)耐災害ICT研究センター」を訪れ、根元センター長に今後の災害対策のためのICT研究について、お話を聞きました。

  「耐災害ICT研究センター」設立の経緯は、東日本大震災の発生で、インフラとして信頼していた情報通信システムが思いの外もろく、不十分であったことが明らかになったことから、政府もこのことを重要視し、災害に強いネットワークの研究が急務であるとして総務省では補正予算を確保し、NICT内に専門の研究部門をつくることとなりました。設置場所としては、被災地であり通信分野のメッカである「東北大学」が候補地となり、平成24年4月に同大学と包括協定を結び設立に至ったとのことです。
根元義章氏画像

根元 義章 氏

  今回の震災の教訓として、まずはどんな通信システムでも「電源」がないとどうしようもないということ。津波の場合全部持って行かれてしまうので、その後をどうするか。例えば持ち運びできるもので、誰でも取り扱うことができるシステムの開発や運用方法の確立が必要だと言います。また、災害時に有効な「衛星通信」は今までプロでなければ扱うことが難しかったのですが、今後は誰でも「簡単に操作」を行うことができるよう解決を図ってきたことが、今回の研究の成果として挙げられました。

  一番大事なことは、研究開発したシステムを自治体等の職員にどんどん使ってもらい、いろいろな意見を収集して改善につなげていくことで、それには財政面など国の支援が必要だと言います。センターでは現在、被害を受けた基地局をできるだけ早く修復し柔軟なネットワークを構築するような、無線系ネットワークの研究もすすめています。

  最後に根元氏は、震災後のICT研究は、「ハード整備」「情報ソース」「ICTの利活用」「人」について、バランス良く取り組むことが大切。この震災を決して風化させてはならないし、東北だけではなくどの自治体も訓練の繰り返しが必要であり、どの地域でも情報化によって救える命について考え、産学官が協力して議論し、研究を継続していくことが重要だとおっしゃいました。


  根元  義章(ねもと  よしあき)氏
  東北大学名誉教授。東北情報通信懇談会運営委員長。
  平成24年4月、独立行政法人情報通信研究機構(東京都小金井市)が東北大学構内に設立した「耐災害ICT研究センター」センター長に着任。多年にわたり、東北情報通信懇談会運営委員長として、東北地域における地域情報化及び情報通信の普及促進に尽力し、また、災害時における情報通信の在り方に関する諸課題に対して、地域における情報通信の普及発展に貢献している。

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