「平成26年度 ICT普及・研究開発推進セミナー」を開催
平成26年9月4日up
北海道総合通信局は、7月30日(水曜日)、札幌市内にて「平成26年度ICT普及・研究開発推進セミナー」を開催しました。
セミナーでは、観光情報学会 会長、学校法人国際ビジネス学院 学院長である大薮 多可志(おおやぶ たかし)氏による、観光産業をICTによりどのように活性化することができるのかをテーマにした特別講演及び、総務省の競争的資金である「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」の研究成果の発表、ポスターセッションが行われました。
ポスターセッションでは、各研究発表者、研究者と来場者が、研究開発内容について、個別の説明や質疑応答を行いました。
今後、企業、研究機関等とのマッチングによる研究開発の成果展開が期待されます。
【特別講演】
大薮氏から「ICT利活用による誘客支援と安心な街づくり ― 半年後の北陸新幹線開業に向けた石川県奥能登と七尾市の事例 ―」と題した講演を行っていただきました。
石川県は2015年春の北陸新幹線の開業により、大量の集客が見込まれていますが、「英語が通じない」「英語の案内表示が少ない」「インターネット環境が悪い」など、外国人旅行者に対する課題があることから、大薮氏は「Wi-Fiの整備により旅行中の情報の発信・収集が可能となり、スマートフォンアプリケーション等のICT技術を用いることにより、問題は解決できる。」と提示をされました。
また、「新幹線開業を控えて必要となるのは『もてなす側』として、観光産業の地元の人材育成である。お客様が何を求めているかを理解し、地元を知る者たちが広域観光コンテンツを提供できるように人材を育成しなければならない。自分たちが考えもしないようなことが外国人旅行者の目的の場合もあるので、その調査も必要である。」と、対応案などについても話しがありました。
講演の最後の質疑応答では、参加者からの質問に対して、北陸での事例を交えて回答されました。
大薮 多可志 氏
参加者との質疑対応
【SCOPE研究開発成果】
平成25年度SCOPE「地域ICT振興型研究開発」採択課題
<中間成果発表>
【研究課題1】
- 研究課題:「無線式携帯型心電計を利用した乳牛の血中カルシウム濃度解析システムの開発」
- 発表者:(研究代表者)帯広畜産大学 臨床獣医学部門 診断治療学分野 助教 伊藤 めぐみ(いとう めぐみ)氏
- SCOPE研究開発期間:平成25から26年度
- 研究概要:人間や牛は血中Ca濃度の低下により心電図波形に特徴的な変化(波形の延長)が起こる。
この変化を利用し携帯無線型の心電計と波形分析システムにより計測解析し、牛舎内で極めて簡易短時間に血中Ca濃度を推定するシステムを開発する。
ハードウェアとして携帯端末に無線接続可能な高精度携帯心電計を開発する。同時に心電図波形から特徴量(延長時間)を自動検出するアルゴリズムの開発と心電図波形延長時間から血中Ca濃度を定量化する高精度な回帰推定式の開発を行い、AndroidやiPhoneのような携帯端末にソフトウェアとして実装する。これらハードとソフトを組み合わせ端末とサーバを連携してデータ管理を行い、乳牛の健康管理を地元獣医師等と共有できるシステムの構築を目指す。
- 研究概要図
帯広畜産大学 伊藤 めぐみ 氏
ポスターセッション
【研究課題2】
- 研究課題:「リアルタイム興味解析に基づく地域情報最適化フレームワークの提案」
- 発表者:(研究代表者)北海道大学 大学院情報科学研究科 准教授 川村 秀憲(かわむら ひでのり) 氏
- SCOPE研究開発期間:平成25から26年度
- 研究概要:クラウドコンピューティングを用いて、スケーラブルかつロバストなイベント情報に関するウェブシステムを構築する。
そのシステム上で、アクセス履歴からユーザの興味を解析し、有用な情報を効果的に配信するための興味解析アルゴリズムを研究開発する。
アルゴリズムをクラウド上で分散実行するためのフレームワークを開発する。
インターネット上からイベント情報を効率的にクロールするためのフレームワークを開発する。
- 研究概要図
北海道大学 川村 秀憲 氏
ポスターセッション
平成25年度SCOPE「若手ICT研究者等育成型研究開発」採択課題
<中間成果発表>
【研究課題3】
- 研究課題:「複数のSNS利活用におけるプラットフォーム横断的なリスク管理基盤の研究開発」
- 発表者:(研究代表者)東京工業高等専門学校 情報工学科 助教 山下 晃弘(やました あきひろ)氏
- SCOPE研究開発期間:平成25年度
- 研究概要:SNSプラットフォーム非依存の情報モデルを構築、そのつながりからリスク実体を可視化し、管理する仕組みを開発する。
要素技術として、ユーザIDやプロフィールなどのテキスト間の類似性、ソーシャルグラフ解析、SNS設定状況の分析等を実施してリスクの状態を定義し、可視化する。
その上でフェーズIで蓄積したSNSデータと炎上事例から、複数のSNS情報が繋がりあった場合に新たな情報が推測される可能性を確率モデルで定義し、個人情報のSNSからの推測可能性全体を計算する枠組みを構築する。
また、これらの技術を用いて大規模データを処理するために分散処理基盤上への実装を行い、実サービスとしての実証実験を実施する。
- 研究概要図
東京工業高等専門学校 山下 晃弘 氏
ポスターセッション
平成24年度SCOPE「地域ICT振興型研究開発」採択課題
<成果発表>
【研究課題4】
- 研究課題: 「自律型健康増進・生活支援のための地域サポート技術の開発検証」
- 発表者:(研究代表者)北海道大学 大学院保健科学研究院 小笠原 克彦(おがさわら かつひこ) 氏
- SCOPE研究開発期間:平成24から25年度
- 研究概要:本研究開発では、以下の2点を行う。
(1) 次世代遠隔健康相談システムでは、従来の遠隔健康相談システムにユビキタス収集可能な血圧計・活動量計・ICタグを連結させ、自宅で利用可能な遠隔健康相談システムを開発・検証する。
(2) コミュニティ健康情報クラウドでは、医療機関での健康関連情報の利用を可能とするために検診情報・お薬情報・健康情報などを標準化されたデータ形式で一元的に蓄積し、地域コミュニティ・親族が遠隔から限定された情報の閲覧を可能とするクラウドシステムを構築する。
- 研究概要図
北海道大学 小笠原 克彦 氏
ポスターセッション
【研究課題5】
- 研究課題:「ICTを用いた北方型住宅向け再生可能エネルギー活用システムに関する研究開発」
- 発表者:(研究代表者)釧路工業高等専門学校 機械工学科 教授 川村 淳浩(かわむら あつひろ) 氏
- SCOPE研究開発期間:平成24から25年度
- 研究概要:本研究開発では、道東地域で供給可能な再生可能エネルギーを有効活用するために、ICTを用いた下記要素技術開発をおこない、平成25年度に釧路工業高等専門学校内の「北方型実験住宅」に適用して統合システムとしての実証をおこなう。
(1) ハイブリッドストレージ太陽光発電システム
(2) 太陽熱供給(暖房・給湯)システム
(3) アクティブ室内環境制御システム
(4) 北方型住宅向けインテリジェントHEMS(Home Energy Management System)
- 研究概要図
釧路工業高等専門学校 川村 淳浩 氏
ポスターセッション
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