平成26年12月25日up
北海道総合通信局は、北海道テレコム懇談会と共催で、11月26日(水曜日)ICT利活用普及促進セミナーを開催しました。
急速に少子高齢化が進む中、総務省では「スマートプラチナ社会推進会議」を開催し、スマートプラチナ社会の実現に向け具体的な成功モデルの確立に向けたICTの推進方策等について、本年7月に報告書として取りまとめました。
本セミナーでは、同会議での検討内容の中でもICT健康モデル、医療情報連携基盤の全国展開は最重要とされていることから、これらに関連する先進事例を紹介し、これから本格化する超高齢社会に伴う様々な課題解決に役立てていただくことを目的として開催しました。
基調講演では、「スマートプラチナ社会推進会議」の座長代理を務められている早稲田大学 電子政府・自治体研究所 所長 小尾 敏夫(おび としお)教授から、「人口減少・超高齢化社会に向けたICTアプリケーション」と題して、世界に先駆けて超高齢社会を迎えた日本の状況や様々な課題解決にはICTが不可欠であること、中でも超高齢社会で注目する産業として、日本のロボット技術やライフサポートビジネスへの関心が高いことから、これからはICTと医療など他の産業との融合による新産業の創出、国際競争力強化のためのジャパンモデルの必要性などが説明され、この後に紹介する新ひだか町、遠野市、柏市などのモデルは必要であり、世界に対する日本の役割は相当大きいので、そのような視点を持っていただきたいと話されました。
つづいての講演では、総務省情報流通行政局審議官 池永 敏康(いけなが としやす)から、「超高齢社会とICTの利活用」と題して、「スマートプラチナ社会」とは、「ICTを活用して、予防による健康寿命の延伸、高齢者の知恵や経験の活用、新たな地域産業の創出に取り組むことによって、すべての世代がイノベーションの恩恵を受け、生き生きと活動できる高齢社会」との説明があり、そのためにまとめられた「スマートプラチナ社会推進会議」報告書では、ICTを活用した健康づくり、予防を推進するためのデータを活用した健康づくりのモデルを進めていくことが求められていると話されました。
新ひだか町立静内病院院長 小松 幹志(こまつ かんし) 氏
<内容>
とにかく医療関係者が少ない、お金もないという状況の中、地域医療をどのように考えていくかという問題がありました。新ひだか町の一つ恵まれたところは、町立病院が二つ、民間病院が二つ、そのほかの診療所でも、眼科、耳鼻科、皮膚科、整形、在宅医療や、脳神経のクリニックがそろっているところです。ネットワーク化により画像データや電子カルテを共有することで患者さんの待ち時間や医療費の削減、町の負担も減りました。災害時でのカルテの消失や維持費なども考えクラウド化しました。今後は、周囲の医療機関にもクラウドへの接続を呼びかけ医療連携基盤を広げていきたいと考えています。
遠野市健康福祉部地域医療推進特命部長 菊池 永菜(きくち えいさい)氏
<内容>
遠野市では、ICTを利活用した保険・医療の3本柱として、「助産院ねっと・ゆりかご」、「母子手帳や高齢者手帳などの電子手帳」、「ICT健康塾」があります。その中で、ICT健康塾は健康寿命の延伸と市の医療費の軽減を目標に取り組んでおり、参加者へ万歩計を貸し出し、体組成計、血圧計、万歩計のデータを赤外線で飛ばすようになっています。6ヶ月間計測し、6ヶ月毎に採血、その結果をテレビ電話でドクターに指導してもらっており、参加者には大変喜ばれております。遠野市の健康づくりの柱として、「地域づくり」、「人づくり」、「健康づくり」を地域活動の中心として今後も進めていきたいと考えております。
スマートシティ企画株式会社 事業推進部副部長 石垣 祥次郎(いしがき しょうじろう)氏
<内容>
柏市のスマートシティプロジェクトは27社のジョイントベンチャーであり、人の満足度向上と社会的課題の解決の両立を目指して街づくりに取り組んでいます。
平成24、25年度のICTまちづくり推進事業として、共通プラットフォームを活用した公民学連携型の総合健康支援サービスにより健康長寿都市の実現を目指しています。総合健康推進サービスについて、ヘルスケア、インセンティブの活用など民間サービスの柔軟な活用を考えています。
コーディネーターに、北海道医療大学准教授 長谷川 聡(はせがわ さとし)氏(総務省地域情報化アドバイザー)を迎え、パネラーには事例紹介をしていただいた3名の方、総務省の池中審議官の4名で行われました。