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「ICTでおもてなし観光セミナー」開催
− Wi-Fiと音声翻訳システムで魅力ある観光地域づくり−

平成27年4月24日up

  北海道総合通信局は、北海道テレコム懇談会との共催により、3月25日(水曜日)訪日外国人観光客の方々にとって魅力ある観光地域づくりに役立てていただくため「ICTでおもてなし観光セミナー」を開催ました。

主催者挨拶:北海道総合通信局長 杉浦 誠(すぎうら まこと)

  訪日外国人観光客の方々に快適なICTの利用環境を提供することで、日本滞在時の満足度を高めることができ、更なる観光客の増加に役立つものと期待されています。
  本セミナーでは最近の訪日外国人観光客にとって不満を抱かれることの多い公衆無線LAN(Wi-Fi)環境整備と言葉の違いの克服をテーマに、国内で行われている先進的な取り組みを紹介することで、情報通信技術(ICT)を観光分野で一層に役立てていただくことを目的として開催します。

基調講演「公衆無線LAN環境の普及拡大の取組」

講師:小林 忠男(こばやし ただお)氏
  「無料公衆無線LAN整備促進協議会」(総務省・観光庁)幹事会議長
  無線LANビジネス推進連絡会 会長

 

  携帯電話の場合、方式が異なれば接続できないというのがありますが、Wi-Fiの規格は世界中どこでも使えるというのが強みであり、最大の特徴です。また、無線局免許が不要であり、オーナーが設置することが容易にできます。観光とWi-Fiは相性がよく、観光客が知りたい名所やお土産店の情報をお知らせするポータルサイトを通じ、地場の利益につなげることも可能です。 Wi-Fiでは、基地局と端末が相互認証を行う機能があり、これをWi-Fiスポットのエリア特性を活用し、どの場所からどこへ移動したかというようなデータ(ビッグデータ)を得て、活用することができます。

小林会長画像

  また、自治体の立場からは、防災情報を住民へ提供する手段が重要かと思います。これまで観光に使用していたWi-Fi環境が防災にも活用可能です。特にいま私の関わっている「無線LANビジネス推進連絡会」では、「00000JAPAN」という災害用統一*SSIDにより、契約の有無にかかわらず大規模災害時に誰もがつながる公衆無線LANのしくみの整備などに取り組んでいます。


*SSID:無線LANのアクセスポイントの識別のための名前のこと。ここでは「00000JAPAN」のこと。

<訪日外国人観光客向けウェブサイト>
  ・URL:
  訪日外国人観光客向けの無料公衆無線LANスポットの共通シンボルマーク
シンボルマーク画像

【講演1】世界に通用する魅力ある観光地域づくり

講師:倉谷 裕(くらや ゆたか)氏
  株式会社JTB総合研究所 コンサルティング第1部 主任研究員

  諸外国のスマートフォンの普及率はすでに日本を上回っており、日本は海外に比べて遅れています。すでに小林先生が言われているように、スマートフォンでの情報収集は海外では当たり前に行われています。
  北海道は訪日外国人観光客にとって人気のあるエリアであり、自然、雪、食など独自の魅力を発信することが大事です。
  訪日外国人観光客は、訪問先の情報取得の多くをWi−Fiに頼っていますが、同時にツイッターなどへの情報発信手段としても用いられており、その発信がさらに訪日外国人観光客の増加につながっています。

くらや氏画像

  最近は、祭りや茶摘み参加など体験型イベントへの関心が高く、訪日外国人観光客の目線に立ったニーズを研究していくことも大事と考えています。
  当社グループ企業の取り組みとしても、マンガを活用したスマートフォン用アプリのMs.Greenを提供しております。今後とも、外国からのお客様向けて、来日動機を高めようという取り組みを続けていきます。

<訪日外国人旅行者向け情報収集ツール Ms.Green>
  for iOS URL:https://itunes.apple.com/app/ms.green/id827602458
  for Android URL: https://play.google.com/store/apps/details?id=com.jtbgmt.msgreen2&hl=ja別ウィンドウで開きます

【講演2】Wi-Fiによる都市の魅力発信戦略

− 福岡市公衆無線LANサービス Fukuoka City Wi-Fiの取組 −

講師:白木 秀一(しらき しゅういち)氏
  福岡市 市長室 広報戦略室 広報課長

  福岡市はアジアに近く、古くから「アジアの玄関口」として発展してきました。
  また、約9割の方々が第3次産業に従事しているという産業構造をしています。
  このような特徴から、本市では成長戦略の一環として、集客・交流人口の拡大を掲げ、外国人をはじめとした観光客などの積極的な誘致に取り組むこととしています。

白木室長画像

  「無料公衆無線LANの整備」については、市長公約でもあり、来街者の利便性の向上・情報発信力の強化・災害時の活用を目的として、平成24年4月からスタートしました。
  以降、民間施設等との共働による拠点の拡大や、自動認証化・海外ローミング・専用WEBサイトの開設による利便性の向上を図るとともに、海外プロモーションやスタンプラリーによる利用促進PR、また、情報バナーの新設や観光アプリと連携した実証実験等による情報発信力の強化、さらには認証回数のオープンデータ化等に取り組んでまいりました。
  今後は、「持続可能なWi-Fi運用の先行モデル」を目指して、Wi-Fiを単なるインターネットが使える環境を提供するツールとしてだけではなく、情報バナーやアプリ連携など、情報発信媒体としての価値を高め、広告枠の販売など、歳入確保にもつなげていきたいと考えています。

福岡市無料公衆無線LANサービス『Fukuoka City Wi−Fi』
URL:http://www.city.fukuoka.lg.jp/wi-fi/別ウィンドウで開きます

【講演3】世界の「言葉の壁」をなくす多言語音声翻訳技術 

講師:内元 清貴(うちもと きよたか)氏
独立行政法人情報通信研究機構(NICT)先進的音声翻訳研究開発推進センター統括

(※NICTは4月1日「国立研究開発法人情報通信研究機構」に名称変更されました)

  多言語翻訳の歴史は、1980年代に始まります。そのころは、特定の人の声で、定型文に近い言葉を用い、静かな雑音のない環境で話さないとだめでした。最近は、話し言葉で、周りが多少うるさくても声を認識して翻訳できるようになりました。対象分野は例えば日本語・英語間では旅行会話全般に対応しています。
  基本は音声認識技術、翻訳技術、音声合成技術です。昔のシステムは、各言語の文法にならって、人が作成したルールに従って音声翻訳するシステムでした。最近はコーパスに基づくシステムが主流です。

うちもと氏画像

コーパスというのは音声やテキストのデータを大量に集めて言語情報を付加したデータベースのことで、そこから機械学習という方法を用いて音声とテキストの対応関係や二言語間の単語や句などの対応関係を統計的に学習していくシステムです。VoiceTra4U(ボイストラ・フォーユー)はこの技術を使ったスマートフォン向けのネットワーク型多言語音声翻訳アプリです。初代のアプリは2010年に公開し、その後、技術移転も行われ、NTTドコモ「しゃべってコンシェル」の音声認識機能、KDDI「おはなしアシスタント」の音声翻訳機能などのサービスにも我々の開発した技術が使われています。日英翻訳では、TOEICC600点に相当する実力を持っています。
  この言葉の壁を越えるシステムを発展させて、その先の、いつでも、どこでも、だれにでも価値ある情報を伝えられる社会を目指す「グローバルコミュニケーション社会」実現に向けた、さらなる研究開発に取り組んでまいりたいと考えております。

音声翻訳アプリ「VoiceTra4U(ボイストラ・フォーユー)」
  for Android URL:
  for iOS:URL:

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