総務省トップ > 組織案内 > 地方支分部局 > 北海道総合通信局 > トピックス記事 > 「平成27年度 ICT普及・研究開発推進セミナー」を開催 −地域の活性化に寄与する研究開発事業(SCOPE)の発表−

「平成27年度 ICT普及・研究開発推進セミナー」を開催
−地域の活性化に寄与する研究開発事業(SCOPE)の発表−

平成27年12月9日up

  北海道総合通信局は、11月12日(木曜日)、札幌市内にて「平成27年度ICT普及・研究開発推進セミナー」を開催しました。
  セミナーでは、公立はこだて未来大学 システム情報科学部 複雑系知能学科 教授である 松原 仁(まつばら ひとし) 氏による特別講演、総務省の競争的資金である「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」の研究成果発表及びポスターセッションが行われました。

【特別講演】

「人工知能を巡るこれまでの動きと今後の方向について 〜コンピュータが名人/竜王を超えた日〜」

   人工知能は、過去2度のブームを経験し、3度目のブームを迎えている。そして、今年、コンピュータはトップのプロ棋士に勝つまでになったところ。現在、東京大学の2次試験合格を目標としたプロジェクトが動いている。
   コンピュータの高速化に伴ってニューラルネットワークの多層化、深層学習(ディープラーニング)が可能となってきた。例えば、猫の概念を学習すると猫を見ると反応するようになるが、脳の神経回路を模したニューラルネットワークの構築には、莫大な数のビッグデータと、それをうまく動かす専門家の「おまじない」が必要となる。
   今後もコンピュータの能力は進歩し続け、仕事がコンピュータに取って代わられると考えられているが、想定外な状況判断や新たに創造するようなことは、まだ、しばらくの間は人間でなければできないことである。
   人工知能学会では、人間の仕事への影響や人工知能の未来について、「人間と人工知能がそれぞれの得意分野を担う人間と人工知能が共存する社会」を目指し、現在、議論している。

松原教授

公立はこだて未来大学 松原 仁 氏

【SCOPE研究開発成果】

平成26年度終了課題 成果発表

<平成25年度SCOPE「地域ICT振興型研究開発」採択>

【研究課題1】

  • 研究課題:「無線式携帯型心電計を利用した乳牛の血中カルシウム濃度解析システムの開発」
  • 発表者:(研究代表者)帯広畜産大学 臨床獣医学部門 診断治療学分野 助教
                伊藤 めぐみ(いとう めぐみ)氏
  • SCOPE研究開発期間:
      平成25年度から平成26年度
  • 研究概要:
      人間や牛は血中Ca濃度の低下により心電図波形に特徴的な変化(波形の延長)が起こる。
      この変化を利用し、ハードウェアとして(1)携帯端末に無線接続可能な高精度携帯心電計を開発するとともに、ソフトウェアとして(2)筋電や体動によるノイズを除去可能な特徴量(延長時間)検出アルゴリズムと(3)心電図波形延長時間から血中Ca濃度を定量化する高精度回帰推定式を開発し、携帯端末に実装した。
      現在は実用化を目指し、動物医療機器メーカーとともに製品化に向け検討中。また、ホルスタイン以外の他品種の牛にも適用可能な回帰推定式を作成中である。
  • 研究概要図PDF

伊藤氏画像

帯広畜産大学 伊藤 めぐみ 氏

【研究課題2】

  • 研究課題:「リアルタイム興味解析に基づく地域情報最適化フレームワークの提案」
  • 発表者:北海道大学 大学院情報科学研究科 准教授
                川村 秀憲(かわむら ひでのり) 氏
  • SCOPE研究開発期間:
      平成25年度から26年度
  • 研究概要:
      地域に密着した祭りやイベント、広告等の地域情報を興味解析技術を駆使した配信の最適化によって数万人規模のユーザに配信すると同時に、そこから収集される閲覧履歴、閲覧者の属性の動態調査を総合的に分析するアルゴリズムを開発し、魅力向上と課題改善支援する情報配信分析システムを開発した。研究成果は、イベント情報Webサイト「びもーる」で活用されている。「びもーる」は、札幌、東京など6エリアの情報を発信し約22万人/月の
  • 研究概要図PDF

川村氏画像

北海道大学  川村 秀憲 氏

<平成24 年度SCOPE「ICTイノベーション創出型研究開発」採択>

【研究課題3】

  • 研究課題:「高齢者・障がい者の自立支援のための複合現実感(MR)技術を用いた多感覚
                   フィードバック型遠隔ヘルストレーニング・リハビリテーションシステムの研究開発」
  • 発表者:北海道科学大学 保健医療学部 理学療法学科 教授 田中 敏明(たなか としあき)氏
  • SCOPE研究開発期間:
      平成24年度から平成26年度
  • 研究概要:
  •   医療従事者等が遠隔から利用者(健康高齢者等)の状態をリアルタイムで監視・指導が可能となるように、利用者宅、関連病院施設、さらに研究施設をも含めた情報ネットワークを構成した。また、効果的なヘルストレーニング・リハビリテーションコンテンツを提供するため、(1)3次元視覚情報提示装置(HMD、大画面)、聴覚提示装置、振動装置を製作、(2)転倒防止バランストレーニングコンテンツを含めた遠隔MRヘルストレーニング・リハビリテーションシステムの製作及び在宅障がい者等を対象とした遠隔運用試験により、麻痺の障害度およびその回復過程を評価確認し、より良い動機づけとなった。更に、(3)バランス検査・トレーニングのためにスマートフォンでの立位バランス評価訓練アプリケーションを開発した。
  • 研究概要図PDF

田中氏画像

北海道科学大学 田中 敏明 氏

【地域展開事例紹介】

「岩見沢市におけるICT活用型健康コミュニティ推進について」

  • 発表者:岩見沢市 企画財政部 企業立地情報化推進室 室長  黄瀬 信之(きせ のぶゆき)氏

  北海道大学大学院保健科学研究院が岩見沢市と連携し自立型健康増進・生活支援のための地域サポート技術の開発検証をSCOPEで実施した。その研究の一環として、保健師による健康相談やユビキタス健康情報が利用可能である「次世代遠隔健康相談システム」を市役所や在宅に設置した。これにより健康への意識改革と、遠隔による単身高齢者に対する安否確認・緊急対応が可能になった。また、検診情報や薬に関する情報の一元化、医療機関との効率効果的な情報連携などは、コミュニティ健康情報クラウドの活用によるものである。
   今後は、産学官地域連携により店頭での健康チェックや、テレビ、携帯電話など使い慣れている機器による健康情報の提供などで市民への健康啓発活動を推進していきたい。

黄瀬氏

岩見沢市  黄瀬 信之 氏

【ポスターセッション】

  発表いただいた4名の方々の他、公益財団法人釧路根室圏産業技術センター総務企画課 課長 間瀬 秀樹(ませ ひでき)氏から、平成24年度終了課題「山岳地域(登山道)におけるAR(拡張現実)を用いたスマートフォンフル活用のためのGPS・Wi-Fi通信環境の研究開発」について、ポスターセッションで紹介をいただきました。

間瀬氏画像

公益財団法人
釧路根室圏産業技術センター
間瀬 秀樹 氏

ポスターセッション

<ポスターセッション>

ページトップへ戻る