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地域ICT利活用普及促進セミナー「北海道における公共交通の未来」
−ICT活用で変わる公共交通と街づくりーを開催

平成28年4月27日up

   北海道総合通信局は、北海道テレコム懇談会との共催により、3月16日(水曜日)、札幌市内において、北海道における公共交通の未来像とICT利活用の可能性について、先進事例や最新技術を紹介し、道内で活用、普及されることを目的に地域ICT利活用普及促進セミナーを開催しました。
  第1部として基調講演、第2部としてICT活用先進事例紹介の後、第3部として北海道新幹線開業を契機とした特別講演をそれぞれ行いました。
   以下に概要をご紹介します。

セミナーの様子
セミナーの様子

第1部  【基調講演】

 「北海道における公共交通未来像」ーこれからの夢と課題ー

【講 師】:北海道大学大学院
             経済学研究科長
             吉見 宏(よしみ  ひろし)氏
 
【講演概要】
  3月26日、北海道新幹線が開業となるが、ひとまず新函館北斗駅までの「暫定開業」。
  今後、札幌まで延伸となるが、その場合、航空機との競合は避けられず、東京−札幌間を「4時間で結ぶ」という壁を克服する必要があるだろう。4時間なら日帰りも可能で、Wi-Fi等を利用して仕事をしながらの移動も可能である。
 

吉見氏
吉見 氏

   一方、道内では、過疎化や高齢化により、JRローカル線を始め、航空路、バスなどの交通機関において、経営や安全面等で様々な課題を抱えている。
   今後は、航空と鉄道、バスあるいは軽量な路面電車(LRT)等様々な交通機関が連携してサービス提供を行えるよう、中規模のエリアをカバーする「運輸連合」を作ることが必要。今後は、ICTを活用した「情報」システムがその連携の主体となると考える。

【最新技術を見てみよう】

「鉄道車内での個人向け情報サービス『山手線トレインネット』」

【講 師】:東日本旅客鉄道株式会社
             鉄道事業本部
             サービス品質改革部
             ICT情報発信プロジェクト 主席
             松本 貴之(まつもと  たかゆき)氏
  
【講演概要】
  JR東日本では、電車内で個々人のお客様に向けて、状況にあわせた情報サービスを提供している。
  「いま乗車している車両は何号車」で、「目的地までどれくらいかかり」、「出口はどこが良いのか」、などが専用のアプリでわかるようになっている。
 

松本 氏
松本 氏

   情報の提供については、今まで様々なフィールドで試験を繰り返し行ってきた。その結果から、お客様の位置を特定するための技術として、位置情報の正確な検知が難しい「Wi−Fi」をあえて使用せず、「音波ビーコン」を採用することとした。これによりコストも削減され、安定したサービスが実現できている。

第2部  【先進事例を知る】

「コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築」
  −公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり−

【講 師】:富山県富山市長
             森 雅志(もり まさし) 氏
  
【講演概要】
  富山市では平成14年頃、人口減少社会を見据え、コンパクトシティ構想をまとめた。構想は、「公共交通の活性化」、「沿線地区への居住の促進」、「中心市街地を魅力的なものにする」という3つの柱からなるもの。
 

森 雅志氏
森 氏

   公共交通では、利用者減少が続くJR富山港線を全てLRT(次世代型路面電車)に変更し、運行サービスの向上を徹底的に実施したところ、沿線への移住が進みつつある。また、市中心部に様々なイベントができる施設や美術館を建設、さらに色々な仕掛けでLRTの利用促進を図った。これらにより平成20年から人口の増加につながり、外出機会が増えたことで、健康面への効果も認められ医療費削減にもつながっている。
   以上のような一連の政策で活躍したのがICT。ICTを利活用して街中や路面電車内等で、まちあるきの情報を発信。これにより、LRTの利便性が向上し、街の賑わいを創出するに至った。
   過疎のスパイラルから抜け出すため何をやるのか、市民のQOLの向上、包括的な取組が必要。機動的な市の取組の中でICTは大変有効と考えている。
  

「オンデマンドバスを中心としたICTまちづくり」−高齢者にも優しいデマンドバスとは−

【講 師】三重県玉城町 総合戦略課係長
           中川 泰成(なかがわ やすなり) 氏
  
【講演概要】
  玉城町では高齢者の交通機関として、福祉バスが導入されていたが、利用は振るわず、いつしか「空気バス」と言われる状態に。
  そんな中、東京大学の貨物船舶の運航管理システムを応用した研究との出会いがあり、「福祉交通」としてオンデマンドバスを運行することになった。
 

中川 泰成氏
中川 氏

   このバスは、全自動のシステムが特徴だが、利用者の多くが高齢者であるため、オペレーターを置き、見守り体制を用意し、運行計画を策定する際に「ICT」を活用した。
   その結果、富山市と同様、高齢者の外出機会を提供することが出来、町内施設の利用率が向上した他、検診率の向上にもつながり、医療費の削減、高齢者の見守りにも寄与している。
   今後も、ICT利活用の成果を周辺自治体も含めた地域の健康寿命の延伸に大いに活用していきたい。

第3部  【特別テーマ:北海道新幹線開業記念】

「青森県における新幹線開業を契機とした観光情報の地域連携活用の取組」

【講 師】NPO法人地域情報化モデル研究会
          代表理事 米田 剛(まいた つよし) 氏
  
【講演概要】
  青森県は2010年に新青森駅まで新幹線が開業し、また太宰治生誕100周年があるなど観光面で絶好のチャンスと考えていた。
しかし、2011年の東日本大震災によりダメージを受けてしまい、その後は復活に向けた対策を検討してきた。
 

米田 剛氏
米田 氏

   県の調査の結果、青森観光の特徴は、団体型ではなく個人型で、ひとつのテーマにこだわったスタイルで旅行することがわかってきた。その対応策として、旅行者が現地入りした後の着地情報をオープンデータ化し、旅行者がホームページ上で行きたい観光地をランダムに選ぶと自動的にルートを作成できる「マイルートガイド」というシステムを開発した。
   現在、観光情報連携プラットフォーム機構(ASIC)を立ち上げ、無料でこのシステムの提供を行っている。今後は、新幹線の開業する北海道でも着地点観光のツールとして展開していきたいと思っている。

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