平成28年11月10日up
北海道総合通信局は、北海道受信環境クリーン協議会との共催により、10月26日(水曜日)、「放送技術セミナー2016」を開催しました。
セミナーでは、行政、放送局、メーカーそれぞれの立場から「4K・8K」、「HDR」といった最新放送技術について、講演をいただきました。
★キーワード1「4K・8K」
【画素数の比較】
【現在視聴できる4K動画サービス】
インターネット配信(IPTV)、ケーブルテレビ配信、124/128度CS放送
★キーワード2「HDR(High Dynamic Range:ハイダイナミックレンジ)」
<要旨>
○4K・8Kの推進
本年8月からNHKがBSで試験放送を開始、12月から放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が試験放送開始予定。
2018年にはBS・110度CSによる実用放送を開始予定。ソフトの公募・申請の受付結果を10月19日に公表、今後、電波監理審議会への諮問を経て4K・8K実用放送の業務等の認定を行う予定。
現在販売されているテレビ受信機で、実用放送を見るためには別途チューナーが必要注となる。視聴者にわかりやすい周知をしていく必要がある。
注:既にサービスが開始されている動画配信、ケーブルテレビ、124/128度CS放送を除く。
○放送ネットワーク強靱化
熊本地震 非常災害時におけるラジオの重要性を再認識。AMラジオの難聴対策としてFM補完中継局、災害対策としてのAMラジオ中継局、放送設備対策の強靱化支援をすすめていく。
<要旨>
○高度BS・高度広帯域CSにおける4K・8K放送
2018年の実用放送を目指して準備が進められている。超高解像度による視野角の広さ、広範囲な色表現、HDR、高フレームレート、22.2chマルチチャンネル音響など、まるでその場にいるような臨場感と本物を見ているような実物感を体感できる。
○リオ五輪での8K試験放送
リオ五輪期間(日本時間平成28年8月5日から22日)のリオ五輪期間、開会式、閉会式+5競技を試験放送。
8K中継車2台を用いて国際映像を制作し東京へ伝送、日本国内6ヵ所でパブリックビューイング、NHK各放送局などで受信公開を行い、約21万人に8Kを体感してもらった。
来場者からは「美しい映像・音声についての驚き」の声が上がり、テレビの販売時期、視聴に必要な機器などについての質問が寄せられた。
現地でもパブリックビューイングを行い、世界各国のVIPや放送関係者など約6500人に視聴していただいた。最先端の8Kが日本から世界に広がっていくことを期待したい。
講師:ソニービジュアルプロダクツ株式会社 技術戦略室 主幹技師 小倉 敏之(おぐら としゆき) 氏
<要旨>
人の目は「輝度範囲」が「100,000:1」(10万対1)あれば、映像をリアルに感じる事ができる。
現在、映像の制作は「100,000:1」で行っているが、伝送は「1000:1」に圧縮して行われるため、情報が欠落している。HDRは圧縮せずに「100,000:1」以上で伝送するため、撮影されたリアリティのある映像をそのまま表示出来る。
4K・8K規格では色域(表現できる色の範囲)が広くなり、さらにHDRにより輝度範囲が明暗方向に広がるため、映像の表現範囲が拡大される。
一般に「綺麗な色」の多くは輝度が高く、青い空や花火等はHDRにより美しい再現が可能となる典型例、また、丸みを帯びた物に光が当たると頂点の色が飛び白く潰れる場合が多いが、HDRでは物体の「立体感」を正しく表現できる。
HDRにおいて重要なのは、コンテンツ/配信/TVにおける 「映像品質」 であり日本が得意とする競争領域。映像品質を軸とした市場競争を起こすことで、日本の映像産業が再び世界をリードする事ができるはず。
【参考】10月は「受信環境クリーン月間」です(平成28年9月30日報道資料)
https://www.soumu.go.jp/soutsu/hokkaido/2016/0930c.html