近年、スキー場のコース外や雪山を山スキーなどで滑走するバックカントリースキーが人気となり、多くの観光客が訪れています。その一方で雪崩等による遭難事故が増加傾向にあり、スキー場、警察及び消防等の捜索救助機関では、遭難者を一刻も早く救助するために位置特定が大きな課題となっています。
この課題に対し、北海道総合通信局は、平成28年6月に「携帯・スマホ等を活用した遭難者の位置特定に関する調査検討会」を設置し、現在広く普及している携帯電話・スマートフォン等を活用して、遭難者の位置を特定する捜索システムを実現するため、技術的検証を交えた調査検討を行っています。
その一環として、平成28年12月19日(月曜日)倶知安町において、携帯電話用の係留気球無線中継局を使用した実証試験を行いました。
実証試験のイメージ図
試験内容の説明
自治体、警察及び消防等の関係機関から 124名が参加
試験では、マネキン人形に着せたスキーウェアの内側ポケットにスマートフォンを入れ、深さ約4mの雪に埋め、上空約70mに上げた係留気球無線中継局を使用して位置を特定できるかどうか検証を行いました。
その結果、専用のアプリケーションソフトを搭載したタブレット端末にマネキン人形の位置を地図上に表示することができました。またその状態でスマートフォンとの通信も可能でした。
雪山とマネキン人形(右側)
タブレット端末により位置を表示
係留気球無線中継局
ドローン
さらに、迅速に遭難者の位置を特定するため、無線中継装置を搭載したドローンの活用についても期待されています。
本調査検討会では、今後も雪質の違いによる電波特性の検証を行うと共に、システムの実用化に向け、法的な課題も含めて平成29年度3月末を目途に報告書として取りまとめる予定です。