北海道総合通信局は、公益社団法人室蘭市医師会(会長 稲川 昭(いながわ あきら) 氏)等との共催により、平成30年1月17日(水曜日)、室蘭市市民会館において、地域医療介護連携ネットワーク「スワンネット」開設記念講演会を開催しました。
この講演は、総務省が推進する「クラウド型EHR(医療情報連携基盤)高度化事業」(注1)を活用し、同医師会が整備する地域医療介護連携ネットワーク「スワンネット」の詳細をはじめ、国の医療ICT政策や地域医療ネットワークを先進的に取り組む佐渡市の「さどひまわりネット」の事例を紹介したもので、当日は、西胆振管内の住民や医療、介護関係者ら約550名の参加がありました。
<記念講演会の様子>
演会開始前にはメディア向けの「記者発表会」を開催し、室蘭市医師会 稲川会長からスワンネットの概要をはじめ、システムの具体的な機能やデータ連携の方法等について、説明しました。
<写真右端 室蘭市医師会 稲川会長>
「講演会」では、各講師からの講演に先立ち、来賓の室蘭市長 青山 剛(あおやま たけし) 氏から「安心安全な街づくりのため、室蘭市としても、このスワンネットに協力していきたい」との挨拶がありました。
総務省情報流通行政局情報流通高度化推進室
室長 渋谷 闘志彦(しぶや としひこ)
総務省では、厚生労働省と連携し、健康・医療・介護分野でのICT利活用を推進している。 その中で総務省の役割は、医療等に関係するデータ利活用基盤の構築に向けた取組を行うことであり、具体的には、(1)「ネットワーク化」による情報の共有・活用(EHR)、(2)医療等データの利活用(PHR等)、(3)8K等高精細映像技術の医療応用 の3本柱を基本とした取組を行っている。
<総務省 情報流通高度化推進室 渋谷室長>
特に(1)では、全国各地の「地域医療連携ネットワーク」においてクラウド技術を活用し、高度化する事業を全国で16の地域で実施しており、室蘭市医師会の取組もそのひとつである。来年度以降これらの取組を成功事例として全国への普及を図りたい。
佐渡総合病院 病院長
佐藤 賢治(さとう けんじ) 氏
佐渡では、島内の病院や介護施設、薬局の6割にあたる75の施設が連携し、医療情報の共有を図っている。そして、島民の約25%が、このシステムへの情報提供に同意しており、各施設間で共有する情報は、電子カルテに頼らずに自動収集する仕組みとなっている。
<佐渡総合病院 佐藤病院長>
特に島内でも割合の高い高齢者を支えるためには、様々な施設が連携し、コミュニケーションを図ることが重要で、このシステムではそのコミュニケーションを重視するツールも実装している。
今後もこのシステムをベースに安心・安全な医療を提供していきたい。
室蘭市医師会 担当理事
生田 茂夫(いくた しげお) 氏
この度開始するスワンネットは、既存の一方向性のネットワークを双方向化するとともに、電子カルテに依存せずに情報開示が可能となるよう構築するシステムで、これにより、西胆振医療圏の病院や介護施設、調剤薬局等様々な施設間で患者情報が共有できることとなる。
たとえば、救急搬送された病院で、かかりつけの病院情報がすぐに取得でき、過剰な投薬も避けられる。
<室蘭市医師会 生田担当理事>
10月から患者情報提供に同意いただける住民を募り、現在その数は1万人を超えている。医療機関にとっても、患者にとってもメリットがあるものなので、ぜひ登録をお願いしたい。
最後に、当局 藤本局長から「本日紹介したスワンネットなどの医療・介護分野をはじめ、農業、防災、観光など様々な分野において、ICTやIoTが普及するよう努めていきたい」との挨拶で閉会となりました。
<北海道総合通信局 藤本局長>
北海道総合通信局は、今後も北海道内の医療・介護分野におけるICT利活用の促進を図っていきます。