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「地域情報化広域セミナー2018 in旭川」を開催
−データの利活用でひろがるオープンデータ−

平成30年12月11日up
   平成30年11月21日(水曜日)、北海道テレコム懇談会と一般財団法人全国地域情報化推進協会の共催、北海道と旭川市の後援により、「地域情報化広域セミナー2018 in旭川」を開催しました。本セミナーは、「平成32年度までに、地方公共団体の取組率を100%」という政府目標が掲げられているオープンデータへの取組を推進するもので、セミナーには71名の参加があり、ワークショップには定員を上回る28名の参加がありました。
 
会場風景と局長挨拶

左:開会挨拶 北海道総合通信局長 藤本 昌彦(ふじもと まさひこ)

右:主催者挨拶 一般財団法人全国地域情報化推進協会 理事長 利根川 一(とねがわ はじめ)

基調講演:「政府におけるオープンデータ推進の取組状況」

内閣官房  情報通信技術(IT)総合戦略室  参事官補佐  宗廣 勲(むねひろ いさお)氏
宗廣氏    宗廣氏からは、「多種多様な大量データを活用した超少子高齢化社会の課題解決を目的に制定されたのが官民データ活用推進基本法であり、同法において国、地方公共団体のオープンデータの取組義務が明記された。オープンデータの「基本指針」に意義、定義、基本ルール等がまとめられている。毎年閣議決定されるIT戦略にもオープンデータが明記され、国の行政機関も毎年、行政保有データの棚卸しを実施しており、今年1月に初回、直近9月にも開催した「官民ラウンドテーブル」は、民間企業等からのデータ活用希望に対して、有識者をまじえてデータを保有している府省庁等が、直接対話する場。地方公共団体のオープンデータの取組を推進するために政府CIOポータルでは、自治体ガイドライン・手引書策定や、活用事例「オープンデータ100」や推奨データセット等のツールを提供し、オープンデータ伝道師を派遣している。今年度は総務省でもオープンデータのリーダー研修等も実施され取組が進められている。」とご講演いただきました。

道内事例1:「ゼロ予算で始めるオープンデータ」

旭川市  総務部情報政策課  課長補佐  飛田 憲一(ひだ けんいち)氏
飛田氏    飛田氏からは、「旭川市では、行政の透明性・信頼性の向上を目的に、経費ゼロでオープンデータに取り組み始めた。平成26年頃よりホームページで公開しているデータを把握し、全庁へ照会。適用する二次利用ルールの検討を行い、13種類のデータをcsvファイルにて試行サイトで公開した。その後、市のオープンデータ推進の基本方針や推進ガイドラインを作成し、庁内にオープンデータ審査委員会を設置。平成28年5月にオープンデータライブラリとして正式公開した。現在は、10分野91種類のデータを公開している。ニーズ把握が今後の課題でもあるが、データ拡充や経済活性化につながる取組を検討し、制約の少ない運用に向けて、一つ一つ着実に実施していく。」と取組の紹介がありました。

道内事例2:「オープンデータ利活用事例と、これから始めるみなさんへ・・・」

室蘭市  経済部観光課長  丸田 之人(まるた ゆきと) 氏
丸田氏    丸田氏からは、「室蘭市は、北海道初、全国では12番目にオープンデータに取り組み始めた。継続的取組とするため「手間をかけない、費用をかけない」ことを重視している。室蘭市は、庁内で利用しているGIS情報がベースになっており、地図データが多いのが特徴。全国初の公開データも多く、現在49データを公開中。室蘭市版の「保育園マップ」や、「5374(ごみなし)」のアプリが作成され、「マイ広報紙」でも活用されている。また、災害時の遠方協力体制を想定し、北九州地区電子自治体推進協議会に加入しており、今般のブラックアウトの際にもオープンデータをもとに市内の停電、復電場所の地図作成のサポートを受けられた。国立研究開発法人防災科学技術研究所でも被災した自治体向けの専用サイトが作られるが、オープンデータもその一翼を担うデータである。庁内で類似データの重複を防げるので業務効率化につながり、情報公開請求が減少する効果もあった。」と取組の紹介がありました。

道内事例3:「ヒグマからデータの大切さを考えてみる」

森町  総務課情報管理係長  山形 巧哉(やまがた たくや) 氏
山形氏    山形氏からは、「ヒグマにより、年間1〜2億円の農作物被害や人的被害があるが、対策に必要な「問題個体」の行動分析の研究等のためには、データが必要である。研究等に必要なデータは、市町村から北海道を経由し北海道立総合研究機構(以下、道総研)に提出されているが、市町村独自様式にまとめられ、さらに北海道独自様式に転記され、またデータに戻されて道総研に届く流れで、出没から1年がかり。精度の差も生む非効率な事務処理の問題の根本には、日本の行政のペーパーファスト、紙による事務処理思考から抜け出せていないことにある。働き手が減る将来に向けた効率化、市町村区域を超えて行動するヒグマ対策には、広域的情報連携が必須。2013年、シビックテックで作成された「ひぐまっぷ」は、2016年から道総研で運用開始され、現在、道南20市町村が参加している。統一されたクラウドベースのシステムで入力、閲覧、抽出が可能となり、最大の利点は、市町村間の情報共有が簡単になったこと。ワンソースのため、HP公開も可能。行政の固定概念がシビックテックとの協業で変化し、行政にデータ利用を意識させた本件は、平成29年度のICT地域活性化大賞の優秀賞を受賞。「ひぐまっぷ」が、全道で利用されればと願う。」と取組の紹介がありました。

活用策:「『地域の困った』をオープンデータで解決してみる〜シビックテックの視点〜」

一般社団法人コード・フォー・ジャパン アドバイザー
株式会社MIERUNE  取締役  古川 泰人(ふるかわ やすと)氏
古川氏    古川氏からは、「オープンデータは米だと例えてよく話すが、米からカレーライスでもなんでも作れるが、やはり、何に使ってよいのかわからない、と言われるのも事実。シビックテックとは、市民と技術。市民が技術を使って行政の問題や、社会課題を解決する取組である。海外でも、「ニーズから始めて、ニーズに応えよう。思い込みや経験で始めずデータ分析をしよう。」という流れがあり、コード・フォー・アメリカ等の取組がある。日本でもコード・フォー・ジャパン、また全国にコード・フォー・(地域名)の活動が80地域以上で展開されている。課題に対して、オープンデータを使って解決した例は多々ある。このコミュニティは、市民ひとりひとりが能力を最大化することを目標とし、「ともに考え、ともにつくる」ことを大事にしている。これまで市民と行政の関係は依存型だったが、職員減を見据えて、行政もEBPM(※)を進めようとしている。検査データなく医者が診察しないのと同じ。オープンデータを使い、課題抽出する逆アプローチも試行されている。コミュニティによる解決手法は、今後の社会デザイン。データとツールを使って考え対話するスタイル、シビックテックは誰でもできる。」と御講演いただきました。

   ※EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)

ワークショップ:「一歩進めるためのオープンデータ」

ファシリテーター  株式会社DKdo  取締役  黒井 理恵(くろい りえ) 氏
黒井氏    アイスブレイクとして、オープンデータカードゲームが行われ、課題と解決におけるデータの意義を体感的に理解しました。その後、当初設定した3つのテーマ「(高齢者)福祉」「観光」「防災・防犯」において、課題が何か、どんなデータがあるのかをポストイットに洗い出し、模造紙にまとめ、それをもとにグループ内で今後の可能性も含めて意見交換しました。また、同一テーマの別グループのアイデアもシェアしました。初参加の方が多いワークショップでしたが、参加者は非常に積極的に活動していました。


 
ワークショップの様子と集合写真

ワークショップの様子と集合写真

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