事件の概要
電鉄会社である申請人が,元土地所有者である学校法人(以下「本件学校法人」という。)から購入した土地(以下「本件土地」という。)に土壌汚染が見つかり,その汚染は被申請人(川崎市)が本件土地に搬入をした焼却灰及び耐久消費財が原因であるなどと主張して,被申請人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,土壌汚染対策工事費等の損害52億1639万8250円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事件である。なお,当初,本件土地を申請人に売却した本件学校法人を被申請人とする損害賠償請求に係る申請も併合して係属していたが,申請人は,平成18年7月5日,同学校法人に対する申請を取り下げている。
事件処理の経過
公害等調整委員会では,平成17年8月16日,本件裁定申請を受け付けた後,直ちに裁定委員会を設け,同裁定委員会は,争点及び証拠の整理を進め,平成19年10月29日には,現地調査を行い,また,同年11月26日の第11回審問期日には,6名の参考人を集中的に取り調べるなどの証拠調べを行い,平成20年1月23日の第12回審問期日をもって本事件の審問手続を終結し,同年5月7日の裁定の告知に至った(なお,上記審問手続の終結後,職権により調停手続に移行したが,同年3月27日の第2回調停期日において,上記調停は打ち切られた。)。
裁定書