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特集 国と地方公共団体との連携 公害苦情相談アドバイザー懇談会

公害等調整委員会事務局


 令和4年度は、これまで新型コロナウイルス感染症のため中止していた、国と地方自治体・地方自治体間の公害紛争処理に関する情報共有、連携強化を図るため全国6か所で開催しているブロック会議を、3年ぶりに開催しました。
 今回は、令和4年度のブロック会議に参加した公害苦情相談アドバイザーの皆様にオンラインでお集まりいただき、新型コロナウイルス感染症、リモートワークの普及など、社会的な環境が様々に変化する中で、都道府県、市区町村において公害紛争処理を担当する職員に向けた支援や連携を今後どのように図っていくのか、ブロック会議へのご参加の経験も踏まえてご意見を伺いました。

(令和5年2月3日開催)  

ご出席いただいた公害苦情相談アドバイザー

 上野 邦夫   元 板橋区資源環境部環境政策課長補佐、 現 板橋区健康生きがい部生活衛生課長補佐
 菊地 守明   元 仙台市環境局環境部環境対策課長(文書でのご意見)
 利光 泰和   元 大分市環境部長、現 大分市環境部環境対策課調査官
 藤本 正典   元 福岡市環境局環境監理部長
 松島 貢    元 千葉市環境局環境情報センター所長、 現 公益社団法人日本騒音制御工学会事務局長
 三ツ橋 悦子  元 品川区環境課長、現 社会福祉法人品川区社会福祉協議会事務局次長
 向笠 晃司   元 我孫子市環境経済部手賀沼課長補佐、現 我孫子市環境経済生活衛生課
 横島 潤紀   神奈川県環境科学センター

公害苦情相談アドバイザー

1.公害等調整委員会によるブロック会議を通じた取組

【公害等調整委員会事務局(以下「事務局」という。)】 公害苦情相談アドバイザー(以下「アドバイザー」という。)の皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。まずは、都道府県、市区町村において公害紛争処理を担当する職員(以下「担当職員」という。)への支援・連携の中心的な取組であるブロック会議についてお話を伺いたいと思います。今年度のブロック会議は、新型コロナウイルス感染症対策のため、対面開催が3・オンライン開催が3と、ブロックごとに異なる開催方法となりました(参考1)。参加者からの評価をみると、全体としての評価は高いものの、対面開催とオンライン開催とでは、内容的に差があるようです(参考2)。この結果について、アドバイザーの皆様はどうお考えでしょうか。
【三ツ橋】 今年度参加したブロック会議はオンライン開催でしたので、難しいものがありました。オンライン開催より対面開催のほうが効果的とも思いながら、いろいろ工夫させていただきました。
 三ツ橋アドバイザー
  三ツ橋アドバイザー(公害等調整委員会撮影)
【上野】 対面開催のブロック会議に参加しましたが、実際に顔を会わせての会議は、非常に有効であると感じました。やはり対面開催の意味は大きいと思います。公害苦情相談は、人と人とのつながりから解決するというところもあるので、そうしたことを踏まえると、やはり参加者同士で心を通わせていくということが重要かと思います。
【利光】 対面開催とオンライン開催の両方に参加しましたが、結果としては双方には顕著な差があったと考えています。ブロック会議は、各自治体の多様な公害紛争、公害苦情の処理の円滑化を目的として、参加者にも好意的に受けとめられていますので、行政実務に直結した会議として効果的であると考えています。特に対面開催の会議で行われた参加者相互の意見交換は、その意義が高く評価されています。今後も対面開催の会議として、可能な範囲で軸を意見交換にシフトする、全体の日程を1日半とする、などの改善が望ましいと考えます。
 利光アドバイザー
  利光アドバイザー(公害等調整委員会撮影)
【向笠】 参加者の中には、「時間が短いと感じられた」という意見が見受けられました。日程を広げることが無理なのであれば、例えば、事例や意見を早い時期に通知して、講演もできる限り事前にオンライン開催して質問も受け付けておくことで、対面開催時のグループワークや質疑応答などの時間として有効に使えるのではないかと思います。様々な場所から集まる参加者の利便性にもつながると思います。また、ブロック会議に参加できない担当職員に対しても、オンライン配信などを活用して講義を配信すれば、より効果的ではないかと思いました。
【松島】 対面開催、オンライン開催の両方に参加しました。皆さんおっしゃるとおり、対面開催は、参加者の気持ちの交流を感じながら進めることができただけでなく、盛り上がり的な面についてもよかった、という感想を持ちました。今後の在り方としては、オンラインと対面の使い分けをしっかりして、伝えるだけのような会議だったらオンライン開催でもよいと思います。ただ、ブロック会議のような、お互いの意見交換や、様々なやり取り・相談などがある会議は、やはり対面で開催されたほうが、より効果が上がるのではと思います。
 参考1 ブロック会議について
【事務局】 ブロック会議では、アドバイザーの皆様に公害苦情相談の様々なご経験を踏まえ、事例を交えたご講演を担当していただきました。講演されていて、担当職員が置かれている最近の状況を、どのように感じましたでしょうか。
【藤本】 参加者の属性や講演内容によって、効果は大きく変わると思いました。例えば対象者ですが、都道府県、政令市・中核市、市区町村では、所管する法令が違うため、講義内容、紹介事例などの選択に気を使いました。参加者の専門・経験も重要だと思います。技術系職員か事務系職員か、またベテランか新規配属職員などによって、環境関連法規の知識や苦情処理経験数が違ってくると思います。そのほか、参加者が期待するものが、公害苦情相談に対する心構えか、対人交渉の技術か、公害防止に関する技術的なものかによっても違うと思われます。
 藤本アドバイザー
  藤本アドバイザー(公害等調整委員会撮影)
【横島】 講演内容については、具体的なテーマを設定してもよいかもしれないと思いました。今回は事例について講演しましたが、測定・評価に関する講演でもよかったと思います。その後のグループワークのやり取りを聞いておりますと、結構、測定の方法がアバウトな印象を持ちました。初任者の方でも専門の方でも、いま一度、測定はこう行っていきましょう、という話をしないといけなかったかなと思いました。その意味では、例えば、来年度は測定をテーマとして設定してもよいのかもしれません。昔は環境省の環境調査研修所で研修を行っていたのですが、新型コロナウイルス感染症の関係もあって、オンラインでは講義は行っていますが、測定実習はできていない状況です。そういうしわ寄せもあるのかなと思っています。
【三ツ橋】 講演を行うに当たっては、担当職員がどういうことに困っているのか、どうしたらいいのか、ということにアドバイスしたいと思っています。ですので、担当職員同士の横のつながりなどによって、公害苦情相談で困らないようにしていきたいと思って講演しているので、テーマを決められると難しいのかなと思いました。
【利光】 ブロック会議の参加者は、どちらかというと公害苦情相談の経験、公害紛争処理の経験があまりない方が大半なので、そういった方々に対して、どのようなところで困っていて、何を求めておられるのかというところを、できるだけそこに寄り添った形で、考え方や処理の仕方などをお互いが意見交換して共有するというのが、ブロック会議の意義だと思っています。
【松島】 技術的な面の向上に向けた、測定の方法、ノウハウ、ポイントなどの専門的な講演については、オンラインセミナーなどの機会を活用するなど、上手に区別していけば参加者のニーズにも合って、吸収の度合いもかなり進むのではないのかなと思います。
 松島アドバイザー
  松島アドバイザー(公害等調整委員会撮影)
【事務局】 ありがとうございました。ブロック会議では、参加の市区町村から、解決事例や解決困難事例を共有していただき、グループに分かれて検討、意見交換を行うグループワークを行っています。グループワークについて、本日ご欠席の菊地アドバイザーからは、「年々議論などが活発になっていると感じている。発表者の決定などが早く、すぐに議論に入っているという評価の一方で、時間に比べて議題となる事例数が多いのでは」といったご意見をいただいています。また、今回はオンライン開催となったブロックでは、グループワークが難しいことから、従前と異なった方法で事例共有などを行いましたが、グループワークの在り方についても、ご意見をいただければと思います。
【利光】 ブロック会議ではいくつかのプログラムがありますが、グループワークは参加者の満足度・重要度が高いというアンケート結果が多かったように思います。その一方で、非常に盛り上がったところで時間がなくなる、ある種の消化不良みたいなことも聞いております。どのくらいの時間をかけるかという議論はあろうかと思いますが、1日又は1日半といった日程が取れれば、かなり充実した意見交換ができるだけでなく、グループを変えて、新たな方々との意見交換もできるのではないかと思っております。
【藤本】 今回はオンライン開催の2会場に参加しましたが、グループワークではなく、事例を提供した参加者とそれに対するコメントを担当する参加者のみが意見を陳述する方法でした。他の参加者とのやり取りが少ないこともあり、事例が抱える本質的な課題まで踏み込むことができず、やや表面的な事例報告となっていた側面もあったように思います。どこの地方自治体にもありそうな普遍的な解決困難事例を事前に提示し、解決策などについて各自治体で事前に検討し持ち寄るという方法も効果的と思いました。当日グループワークを行う場合も、結論を得ることに主眼を置かなくても、参加者の本音の対応などについて意見交換することが効果的と思います。
【松島】 私は日本騒音制御工学会の事務局長を務めていまして、この事務局には地方自治体からある程度の頻度で相談が来ます。測定の仕方とか、こんな苦情にどのような対応をしたらいいだろうか、という相談です。そういう状況を考えると、今の市区町村の担当職員は、どこかにそういった知見、アドバイスを必要としているのかなと感じています。そのときに一番感じますのは、担当される方のスキル、経験が以前と比べますとあまり高くないということです。このブロック会議で、少しでも知見を底上げができるような内容を組む、それから他の市区町村と交流を試みるということが必要じゃないかなと考えております。
【横島】 市区町村の担当職員の最近の傾向として、どうやったら解決できるのか、ある一つの答えだけを欲しがっているような気がします。私の所属する神奈川県環境科学センターでは、神奈川県内の市町の方を対象に初心者の方向けの測定に向けた技術的な講習会などいろいろ行っています。そこでもやはり答えを欲しがる、こうすればこういう結果が出るとう傾向がみられます。ただ、苦情対応は、結局相手が人なのでワンパターンでは解決できないという難しさがあります。
【上野】 ブロック会議に参加する方は初任者の方が結構多いという中で、それぞれの事例について議論する今までの方法でよいのかと思っています。10人いたら10通りの対応方法があったりするので、意外性というか、驚くところも多かったりします。私自身もこの会議でグループワークに参加していると、自分自身も勉強になることが結構あります。
 上野アドバイザー
  上野アドバイザー(公害等調整委員会撮影)
 参考2 ブロック会議の満足度について(ブロック会議アンケート結果より)

2.都道府県による研修会などを通じた取組

【事務局】 ありがとうございました。ここからは都道府県の取組について、ご意見を伺ってまいりたいと思います。まず、菊地アドバイザーのご意見を紹介します。「都道府県が主催する研修会には何回か参加していますが、騒音の評価、悪臭の測定など、市区町村への権限移譲の際のサポートが明確ではないと感じています」とのことでした。都道府県では、各市区町村の担当職員を対象として独自に研修会などを開催しています。最新の状況は把握できていないですが、新型コロナウイルス感染症の発生前の令和元年度で約半数の都道府県が実施していました。こうした研修会のほか、市区町村に対する指導やアドバイスなどを実施していると思いますが、最近の状況や課題などについて、どのようにお感じになっていますでしょうか。
【三ツ橋】 都道府県が主催する研修会にアドバイザーとして参加させていただくと、都道府県の方の考え方とか、市区町村への対応の仕方とか、いろいろ大変な思いをされていることもすごく分かります。また、都道府県ならではの考え方を市区町村へ知らせていくことはとても大事だと思います。
【利光】 市区町村を対象とした研修会を定例的に実施している都道府県の数は、半数に満たないと承知しています。アドバイザーとして、過去に参加した都道府県主催の研修会のアンケート結果からみても、公害紛争処理法の円滑な施行に資する成果が認められています。またブロック会議では、規模によって参加できない地方自治体があることなどから、都道府県主催の研修会はそれを補完するものとして、またブロック会議と車の両輪様の位置づけで、公害等調整委員会(以下「公調委」という。)には積極的に開催の働きかけをお願いしたいと考えています。
【上野】 先ほどブロック会議に参加できる市区町村が決まっているという発言がありましたが、それを補う意味でも、都道府県が主催する研修会は意味があるのかなと思っています。都道府県によってやり方はまちまちで、ブロック会議の都道府県版みたいなものもあれば、単なる講習会、座学だけの講習会で終わるところもあります。都道府県の考え方もあるかと思いますが、公調委のブロック会議みたいに大きくなく、小回りが利くような都道府県主催の研修会が必要じゃないかなと考えています。私自身はアドバイザーとして、少しでも市区町村の担当職員の役に立てればという思いで行っていますので、研修会にアドバイザーの派遣をご依頼いただくのも一つの方法かなと思います。
【藤本】 都道府県主催の研修会に参加すると、市区町村の参加者から法令についての基本的なことを聞かれたりします。市区町村の場合は、少人数で多方面の公害苦情相談を担当されていることもあり、環境基準と規制基準の違いに関する混乱も時々見受けられます。基本的な法令、例えば苦情事例が多い騒音、振動、悪臭についての講義も有効ではないかと思われます。併せて民法など他法令との関係も参考となると思われます。また、他の機関との連携についての情報提供、研修を行うことも効果的と思われます。水質汚濁、大気汚染、産業廃棄物に関する苦情などは、見過ごすと大事件に発展することも多いので、単なる通報だけなく連携する方法を共有することが重要と考えます。また騒音振動については、測定器を所有していない地方自治体が多いようですので貸出制度があるとありがたいと思われます。
【利光】 公害紛争処理制度そのものについての認識は、市区町村のレベルでは浸透していないのではないかなと感じています。かねてから制度そのものの広報は公調委で行っていますが、現場で現実にお困りになっている市区町村の担当職員からしますと、都道府県に気軽に相談ができる状況になっていない。全国的に多分共通だと思いますが、そういう傾向があるのではないかなと思います。
【松島】 公害苦情相談対応が、実質的に市区町村に委ねられているのが現状ですが、市町区村においても、定期的な配置転換によるベテランの欠如や測定機材の配備不足などで苦慮しているようです。そのような状態を少しでも改善するために、市区町村からの相談やバックアップするための窓口を都道府県に設けていただくとよいと思います。
【向笠】 都道府県によって事情は違うと思いますが、技術研修などで騒音計や振動計の扱い方、技術的なことは教えられたとしても、実際に測った後で、規制基準に対してどういう当てはめをするかというのは、その騒音・振動の評価方法の問題だと思います。そういった評価方法などは、私は千葉県の環境研修センターによく相談していた覚えがあるのですが、千葉県の研究所も組織が縮小し、職員も異動してしまい、安定していない状況になりつつあります。市区町村としては、都道府県に安定的に相談できるところがあると助かると思います。
 向笠アドバイザー
  向笠アドバイザー(公害等調整委員会撮影)
【上野】 東京では23区の研修制度が確立しています。困った事例は、区同士で連絡を取り合いながら、そういった技術的な助言をし合ったりしております。私の板橋区でも、騒音・振動講習会を行って、職員間のレベルアップを図るなど、まめにしております。また、東京都主催の技術研修は比較的多く行っていただいていますので、そういった面では充実しているかなというような状況です。
【利光】 大分県では、県主催の研修の開催によって、県と市町村との間のハードルは随分下がっていると思います。市町村の担当職員が県に照会するケース以外にも、一定の公害関係法令の権限を所管している政令市、中核市に直接、他の市町村の担当職員からご相談いただくこともあります。ですから、そういった地方自治体間の横の連携はいろいろな形で取れるのではないかと思います。それに対して、公調委、私どもアドバイザーがどう関わっていけるかというのが、一つの課題ではないかなと思っております。

3.公害等調整委員会と地方自治体の連携について

【事務局】 ありがとうございました。今年度のブロック会議では、都道府県の公害審査会等(以下「公害審査会」という。)に係属した事件のうち、重大事件、専門性の高い事件については公調委が引き受けているものもあること、そうした制度があることを紹介させていただきました。公調委では、こうした公害審査会など、公害紛争処理制度の機能連携について今後取り組んでいく課題としておりますが、連携の現状についてはどのようにお感じでしょうか。
【上野】 今回のブロック会議での説明は、実際に連携した事例があり、担当職員にも理解しやすかったのではないでしょうか。今後も時間が許す限り、担当職員寄りに立って問題解決事例の紹介をしていただけることを願っております。都道府県にもよると思いますが、市区町村への連携は比較的とれている反面、公害審査会との連携はまだまだハードルが高いように感じます。具体的にどのタイミングで、どのような苦情内容なら受けてくれるのか、など分からず困っている状況が見受けられます。
【利光】 ご説明については、公害紛争処理制度の全体像を理解するうえで意義があると考えます。苦情事例が多様化し、市区町村での処理の負担が増加している中で、公害審査会の活用状況に大きな変化がないことは、地方自治体ごとにみると公害審査会の活用のしやすさに差異や課題があると考えます(参考3)。制度を効果的に活用することが、市区町村への大きな支援になることから、公調委からの働きかけを行っていただき、都道府県研修会を通じた市区町村への寄り添いなどで、公害審査会担当部局には、市区町村が制度を活用する際のハードルを下げる、あるいは平易に相談に応じてもらえるなどの連携強化が必要と考えます。
【向笠】 市区町村が扱う案件というのは、規制対象外の近隣騒音などの相隣関係的な苦情処理が多いので、我々行政が強権的に間に入って、行政法上の処分、指導などはできない。そうなると、公害審査会や公調委で、という話をせざるを得ないです。しかし、公害審査会が常設機関的に機能しているところもあれば、そうでないところもある。また、公調委は非常にハードルが高くて、弁護士に頼まないと申請できないとか、申請しても取り上げられるかどうか分からないと思われています。市区町村としては、相談者に対して制度を紹介していいものか分からないといった話が市区町村の担当職員から聞こえてきますし、我々自身もそう思っています。ですので、市区町村の担当職員としては、「相当と認める理由」が具体的にはどういうものなのか、相隣関係の案件についてはどういう場合に公調委で取り扱ってもらえるのか、という基準を明示していただきたいのではないかと思われます。
【藤本】 公調委に係属されている調停案件をリアルタイムで把握できれば、似たような事例の対応がかなり変わるのではと思いました。個人的には公害紛争処理制度のお世話になることへのハードルが相当高くて、そもそも県に上げることすら避けていたように思います。どのような事件が公調委の案件として上がっているのかを共有していただくことで、公調委や公害審査会の活用にもつながるし、解決方法の一助となるのではと思ったところです。
【横島】 騒音・振動問題に関しては、専門家がいない都道府県も多く、市区町村に対して十分なフォローができないことが想定されます。このような場合に、公調委が仲介して、都道府県を超えた協力体制を構築することができればと思います。市区町村が、騒音・振動のこと、特に測定や評価のことを聞くというときに、誰に聞いていいのかが分からない。このアドバイザー制度だけではちょっと難しい部分があるのかなと思いますので、そういう取組も少し考えていってもいいのかなと思いました。
 横島アドバイザー
   横島アドバイザー(公害等調整委員会撮影)
【松島】 この問題は今の市区町村にとっては重要な問題な感じがします。誰に聞けばいいの?というところが分からないと。ただ、このテーマについては、どちらかというと環境省がもっと真剣に考えなければいけないような課題ではないかという感じがしています。測定の支援や現場でのアドバイスなどは、アドバイザーが出向くというよりも、都道府県が市区町村のアドバイスをする、サポートをするというシステムの構築をすることが大事なのかなと思います。ただ、早急にといっても無理な話ですから、環境省と公調委とでご検討いただければなと考えている次第です。
 参考3 都道府県公害審査会等受付件数

4.おわりに

【事務局】 予定の時間となりましたので、最後に一言ずつお話をいただければと思います。
【藤本】 一つあるのは、地方自治体間の連携です。公害苦情相談においては横の連携が非常に重要だと感じておりますので、ブロック会議などの機会を通じて連携がうまく取れるように行っていただければと思っています。
【向笠】 公害苦情相談に関しては規制対象外のほうが多いのですが、実際、公害審査会や公調委で全ての案件は処理し切れない件数になるのではと思います。このため、ブロック会議のグループワークでは、新しい社会システムとして、電機メーカーやハウスメーカーなどの出資による近隣騒音・低周波音に特化した測定機関の設置又は指定や自賠責保険のような保険システムのようなものがあってもよいのでは、と提案させていただきました。
【三ツ橋】 社会情勢が本当に変わってきていると思いますので、これから講演の仕方とか、ブロック会議の仕方とか、今までとは違うことを工夫していかないといけないのかなというのをすごく思いました。今後もどうぞよろしくお願いします。
【上野】 今回意見を述べさせていただきましたが、いろいろな方面から検討していただいて、今後のブロック会議をよりよくしていくためにご尽力をお願いしたいと考えております。
【横島】 アドバイザーとして1年目ということで、ブロック会議で右も左も分からなかったので、これでよかったのかなと思いながら出席させていただきました。今日皆様のいろいろなお話を聞いて、その辺を考えながら来年度また進めていければと思いました。来年度もよろしくお願いいたします。
【松島】 アドバイザーの皆さんのいろいろな意見を聞くことができまして、私自身も大変参考になりました。新型コロナウイルス感染症の発生以後、初めて対面でのブロック会議に参加させていただきまして、やはり対面のすばらしさ、よさというものを痛感した次第です。来年度以降は、ぜひ多くのブロック会議を対面で開催できるよう望むとともに、これからもよろしくお願いいたします。
【利光】 本日の懇談会は、アドバイザーとしてどういった仕事ができるのか、関わりについて考えることができた、そういう原点に立ち返ることができたと思っております。よくよく考えてみますと、その上での立ち位置、目指すべきところは、市区町村において公害苦情相談、公害紛争処理にどう円滑に関わっていけるのかというところだと思っています。アドバイザーとして、どういった積極的な活動ができるのだろうかということも含めて、引き続き、公調委にはご検討をお願いしたいと思っております。
【事務局】 本日いただいたご意見につきましては、来年度のブロック会議、アドバイザー制度、地方自治体に対する支援などに活かしてまいりたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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