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市町村等の公害苦情相談窓口では公害苦情の迅速な解決に取り組んでいます 〜「令和2年度公害苦情調査結果」より〜

公害等調整委員会事務局

 「建物の解体工事の音がうるさくてイライラする」「野焼きによる煙やにおいで気分が悪い」など生活の中での困りごとも、「公害」になることがあります。
 公害で困ったときには、まずは、お住まいの市町村等の公害苦情相談窓口へ相談してみましょう。
 今回は、公害苦情相談窓口の公害苦情の迅速な解決に向けた取組状況を、データでご紹介します。

はじめに

 「公害」は、環境基本法により、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたり、いわゆる典型7公害である(1)大気の汚染、(2)水質の汚濁、(3)土壌の汚染、(4)騒音、(5)振動、(6)地盤の沈下及び(7)悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること、と定義されています。
 市町村等の公害苦情相談窓口では、こうした公害(典型7公害)の苦情だけでなく、不法投棄を含む「廃棄物投棄」や雑草の繁茂などの苦情も公害苦情として受け付けています。
 公害等調整委員会では、市町村等の公害苦情相談窓口が受け付けた公害苦情の件数や処理の実態等を統計的に把握するために、毎年度、公害苦情調査を実施しています。

1 公害苦情の受付状況

 令和2年度公害苦情調査結果をみると、公害苦情の受付件数は81,557件で、前年度に比べ11,099件(対前年度比+15.8%)増加しました。
 
図1 全国の公害苦情受付件数の推移

図1

 これを公害の種類別にみると、「騒音」が4,335件(対前年度比+28.1%)、「大気汚染」が2,782件(同+19.4%)増加したことによる影響が大きく、また、発生原因別にみると、「焼却(野焼き)」が3,902件増加(同+32.3%)したことによる影響が大きいことが分かりました。
 
図2 公害の種類別公害苦情受付件数
 

図2



図3 主な発生原因別公害苦情受付件数(上位5項目)
 

図3

 なお、令和2年に生じた新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)の流行は、日本を含む世界規模に拡大し、その感染拡大に伴う影響は、人々の生命や生活のみならず、経済、社会、更には、人々の行動・意識・価値観にまで、多方面に波及しました。
 公害苦情調査(本調査)は、公害苦情相談窓口が受け付けた公害苦情の件数、内容等を把握するものであり、本調査結果に係る背景等も含めたデータは取得しておらず、調査結果に関する詳細な分析までは行っていません。
 一方で、感染症拡大の影響等も予想されたことから、自治体がどのように感じているかを把握するため、本調査に付随して自治体アンケートを特別に実施しました。
 そのアンケートで、令和元年度及び2年度の公害苦情処理に感染症拡大の影響があったかを聞いたところ、回答があった1,660自治体*1のうち、「影響があった」と感じている自治体は、令和元年度の38自治体から2年度は235自治体に増加しました。
 また、「影響があった」と回答した自治体に、どのような影響があったかを複数回答で聞いたところ、「受付件数が増加した」と回答した自治体は、令和元年度の18自治体から2年度は176自治体に増加しました。
 
*1 同一自治体内の複数の窓口から回答があった場合には、それぞれを1自治体とカウントしている。
 
図4 感染症の影響の有無(n=1,660自治体)

図4



図5 影響の内容(複数回答)

図5

2 公害苦情の処理状況

 市町村等の公害苦情相談窓口では、公害苦情を受けると、相談員等が相談内容に応じて被害の実情等を調べ、被害の原因や実態を明らかにした上で、公害の発生源者に改善のための指導や助言を行い、苦情の解決に努めています。
 令和2年度は、受付件数の81,557件に、前年度からの繰越件数である4,869件を足した86,426件が全国の公害苦情取扱件数です。
 そのうち、公害苦情が解消したと認められるまで公害苦情相談窓口が措置を講じたことを直接処理と呼んでいますが、直接処理した70,872件(取扱件数の82.0%)のうち、約7割は1週間以内に苦情を解決しています。
 
図6 全国の公害苦情の取扱件数(=処理件数)
 

図6



図7 処理区分別件数の割合
 

図7



図8 苦情の処理に要した期間別直接処理件数の割合
 

図8

3 公害苦情処理担当の職員数

 令和2年度末(令和3年3月31日)現在、市町村等で公害苦情の処理を担当している職員(以下「公害苦情処理担当職員」という。)の数は10,842人で、この10年間は11,000人程度で推移しています。
 
図9 公害苦情処理担当職員数の推移

図9

4 最後に

 令和2年度公害苦情調査*2及び自治体アンケートの結果からは、令和2年度の公害苦情処理については、感染症拡大の影響による在宅時間の増加だけでなく、住民の生活環境に関する考え方の変化などの影響もあり件数が増加したものと推測されます。
 一方で、公害苦情処理担当職員の方々の日々の努力の結果、公害苦情の相談を受けてから1週間以内にその7割以上が解決していることを読み取ることもできると思います。
 公害で困ったときは、お近くの市町村等の公害苦情相談窓口*3で相談を受け付けていますので、ぜひご利用ください。
 
*2 令和2年度公害苦情調査結果の詳細は、公害等調整委員会のホームページに掲載していますので、ご活用ください。
 https://www.soumu.go.jp/kouchoi/knowledge/report/kujyou-r2_index.html
 
*3 お近くの市町村等の公害苦情相談窓口は、公害等調整委員会のホームページに掲載していますので、ご確認ください。
 https://www.soumu.go.jp/kouchoi/complaint/soudan_madoguchi.html 
 

<本調査の問い合わせ先>

公害等調整委員会事務局総務課調査研究係
TEL:03-3581-9956

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