7 公営企業等の状況

(1)公営企業等

法適用企業(公営企業型地方独立行政法人を含む。以下同じ。)及び法非適用企業の決算及び業務状況等は、次のとおりである。

ア 概況

(ア)事業数

令和2年度末において、公営企業を経営している団体数は1,783団体(企業団・一部事務組合等のみで公営企業を経営している5団体及び特別区を含む。)であり、その内訳は47都道府県、20政令指定都市、1,716市区町村(政令指定都市を除く。)となっている。

また、公営企業型地方独立行政法人を設立している団体数は58団体(一部事務組合等のみで公営企業型地方独立行政法人を設立している4団体を含む。)であり、その内訳は18都道府県、9政令指定都市、31市町村(政令指定都市を除く。)となっており、公営企業型地方独立行政法人が経営している事業は全て病院事業となっている。

これらの団体及び公営企業型地方独立行政法人が経営している公営企業等の事業数は8,165事業で、簡易水道事業における事業統合等により、前年度末と比べると117事業減少している。これを事業別にみると、第70図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業(簡易水道事業を含む。以下同じ。)、病院事業の順となっている。

(イ)業務の状況

公営企業等は、住民の生活水準の向上を図る上で大きな役割を果たしている。各事業全体の中で公営企業等が占める割合は、第26表のとおりである。

令和2年度における主要な事業の業務の状況についてみると、次のとおりとなっている。

a 水道事業

水道事業(用水供給事業を除く。)においては、配水能力6,790万5千m3/日、導送配水管77万5,597kmを有し、年間150億m3(対前年度比0.4%増)の配水を行っている。また、給水人口は令和2年度末で1億23百万人で、全国人口に対する割合は97.3%となっている。

b 工業用水道事業

工業用水道事業においては、配水能力2,132万2千m3/日、導送配水管8,939kmを有し、年間41億90百万m3(対前年度比2.6%減)の配水を行っている。また、契約水量は1,639万4千m3/日(同0.5%減)となっている。

c 都市高速鉄道事業

都市高速鉄道事業においては、車両3,440両、営業路線432kmを有している。また、年間輸送人員は17億48百万人(対前年度比30.4%減)となっている。

d バス事業

バス事業においては、車両7,007両、営業路線6,605kmを有している。また、年間輸送人員は6億56百万人(対前年度比23.6%減)となっている。

e 病院事業

病院事業においては、856病院、病床20万3,882床を有している。また、年延患者数は1億3,016万人(対前年度比10.4%減)であり、19年連続の減少となっている。

f 下水道事業

下水道事業においては、現在晴天時処理能力6,080万m3/日、下水管布設延長53万9,881kmを有している。また、年間有収水量は113億m3(対前年度比0.7%増)となっている。

(ウ)決算規模

決算規模は18兆751億円で、下水道事業等における建設改良費の増加等により、前年度と比べると1.5%増となっている。

これを事業別にみると、第71図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合を占め、以下、下水道事業、水道事業の順となっている。

(エ)全体の経営状況

法適用企業と法非適用企業を合わせた全体の経営状況は、第27表のとおりであり、黒字事業数は全体の86.4%、赤字事業数は13.6%となっている。全体の総収支は6,962億円の黒字で、交通事業における営業収益の減少等により、前年度と比べると6.8%減となっている。また、赤字額は2,173億円で、前年度と比べると3.1%増となっている。

(オ)料金収入

料金収入は9兆1,224億円で、病院事業における患者数及び交通事業における乗客数の減少等により、前年度と比べると6.1%減となっている。これを事業別にみると、第72図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、下水道事業の順となっている。

(カ)建設投資額の推移

建設投資額の推移は、第73図のとおりであり、令和2年度の額は4兆431億円で、下水道事業等における改修工事の増加等により、前年度と比べると5.9%増となっている。

これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、病院事業の順となっている。建設投資額が前年度より増加した主な事業は、下水道事業(対前年度比6.5%増)、水道事業(同4.4%増)、病院事業(同6.9%増)となっている。

(キ)企業債の状況

資本的支出に充当された企業債の発行額の状況は、第74図のとおりであり、発行額は2兆3,003億円で、企業債を財源とした建設改良費の増加等により、前年度と比べると1.0%増となっている。

これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、病院事業の順となっている。

企業債借入先別現在高の推移は、第75図のとおりであり、企業債現在高の令和2年度末の総額は38兆6,767億円で、前年度末と比べると3.2%減となっている。これを借入先別にみると、政府資金が最も大きな割合を占め、以下、地方公共団体金融機構、市場公募の順となっている。

(ク)他会計繰入金の状況

他会計からの繰入金は2兆9,593億円で、下水道事業における事業費の減少等により、前年度と比べると0.6%減となっている。

この内訳をみると、収益的収入(*)として2兆532億円(収益的収入に対する繰入金の割合14.4%)、資本的収入(*)として9,061億円(資本的収入に対する繰入金の割合21.0%)となっている。

これを事業別にみると、下水道事業への繰入額が最も大きな割合(繰入額総額の55.8%)を占め、以下、病院事業(同28.7%)、水道事業(同6.8%)の順となっている。

(ケ)法適用企業の経営状況

a 損益計算書、貸借対照表

損益計算書の状況は、第76図のとおりであり、令和2年度は、総収益が総費用を上回り、総収支は黒字となっている。

また、法非適用企業の公営企業会計の適用拡大により、総費用及び総収益ともに増加している。

貸借対照表の状況は、第77図のとおりであり、同じく法非適用企業の公営企業会計の適用拡大により、資産の総額は増加している。

b 損益収支(*)*12

法適用企業の総収益(経常収益+特別利益)は13兆7,405億円、総費用(経常費用+特別損失)は13兆1,030億円となっている。この結果、純損益は6,375億円の黒字となっており、総収支比率は前年度と同じ104.9%となっている。また、経常収益(営業収益+営業外収益)は13兆5,770億円、経常費用(営業費用+営業外費用)は12兆9,409億円となっている。この結果、経常損益は6,361億円の黒字となっており、経常収支比率は104.9%と前年度より0.1ポイント上昇している。

経常収支比率の推移をみると、平成3年度以降100%を下回る状況が続いていたが、平成15年度からは18年連続で100%を上回っている。

なお、純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第28表のとおりである。

c 資本収支(*)

建設投資や企業債の償還金等の支出である資本的支出は7兆2,474億円で、前年度と比べると15.6%増となっている。これに対する財源は、企業債等の外部資金が3兆7,860億円、損益勘定留保資金等の内部資金が3兆3,649億円、資本的収入額が資本的支出額に不足する額である財源不足額は965億円となっている。

資本的支出のうち建設改良費は3兆7,261億円で、前年度と比べると15.5%増となっている。建設改良費が大きい事業は、下水道事業(建設改良費総額の44.3%)、水道事業(同34.3%)、病院事業(同11.2%)である。

d 累積欠損金

過去の年度から通算した純損益における損失の累積額である累積欠損金は4兆619億円で、前年度と比べると0.2%増となっている。また、累積欠損金合計額に占める割合が大きい事業は、病院事業(累積欠損金合計額の46.9%)、交通事業(同35.8%)である。

e 不良債務

令和2年度末現在において、流動負債の額(建設改良費等の財源に充てるための企業債等を除く。)が流動資産の額(翌年度へ繰り越される支出の財源充当額を除く。)を上回る場合の当該超過額である不良債務は1,234億円で、前年度と比べると9.7%減となっている。不良債務の大きい事業は、交通事業(不良債務額総額の53.5%)、下水道事業(同21.5%)、病院事業(同19.3%)である。

(コ)法非適用企業の経営状況

法非適用企業の実質収支をみると、黒字事業数は法非適用企業全体の98.1%、赤字事業数は1.9%を占めており、全体では587億円の黒字(前年度1,414億円の黒字)となっている。

イ 事業別状況

(ア)水道事業

a 事業数

(a)上水道事業

地方公共団体が経営する上水道事業で、令和2年度決算対象となるものは、1,320事業であり、このうち、末端給水事業は1,251事業、用水供給事業は69事業(うち建設中2事業)である。これを経営主体別にみると、末端給水事業は、都県営が4事業、政令指定都市営が19事業、市営が664事業、町村営が510事業、企業団等営が54事業であり、用水供給事業は、府県営が21事業、政令指定都市営が1事業、市営が1事業、企業団等営が46事業となっている。

(b)簡易水道事業

地方公共団体が経営する簡易水道事業で、令和2年度決算対象となるものは、474事業(うち法適用96事業)である。これを経営主体別にみると、町村営が391事業(うち建設中1事業)で全体の82.5%を占め、政令指定都市営が2事業、市営が79事業、一部事務組合等営が2事業となっている。

b 業務の状況

水道事業の給水人口(用水供給事業を除く。)は、令和2年度末で1億23百万人(上水道事業1億22百万人、簡易水道事業1百万人)であり、前年度と比べると微減となっている。また、令和2年度の年間総有収水量(用水供給事業を含む。)は179億54百万m3で、前年度と比べると0.5%増となっており、給水人口1人当たり1日平均有収水量(用水供給事業を除く。)は299lで、前年度と比べると1.4%増となっている。

c 経営状況

(a)法適用企業

<1> 損益収支

水道事業の総収益は3兆1,736億円、総費用は2兆8,899億円となっており、この結果、純損益は2,837億円の黒字、総収支比率は109.8%となっている。また、経常収益は3兆1,472億円、経常費用は2兆8,524億円となっており、この結果、経常損益は2,949億円の黒字、経常収支比率は110.3%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第29表のとおりである。

累積欠損金は743億円で、前年度と比べると14.9%増となっている。また、不良債務は2億円で、前年度と比べると40.8%減となっている。

<2> 資本収支

資本的支出は、第78図のとおりであり、令和2年度の額は1兆9,058億円で、前年度と比べると3.7%増となっている。これに対する財源は、外部資金が6,544億円、内部資金が1兆2,491億円で、財源不足額は23億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1兆2,790億円で、前年度と比べると5.4%増、企業債償還金は5,723億円で、前年度と比べると0.6%増となっている。

<3> 給水原価と供給単価

有収水量1m3当たりの給水原価(用水供給事業を除く。)は166.78円(資本費57.99円、職員給与費20.62円、受水費27.72円、その他の経費60.44円)、1m3当たりの供給単価(用水供給事業を除く。)は166.48円となっており、給水原価が供給単価を0.30円上回っている。

また、令和2年度中に料金改定を実施した水道事業(用水供給事業を含む。)は95事業(前年度77事業)で、営業中の事業の6.7%となっている。

(b)法非適用企業

簡易水道事業における法非適用企業は378事業(うち建設中1事業)で、実質収支をみると、黒字事業が374事業で24億円の黒字となっており、赤字事業が3事業で0.2億円の赤字となっている。

(イ)工業用水道事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する工業用水道事業で、令和2年度決算対象となるものは、154事業(うち建設中2事業)である。これを経営主体別にみると、都道府県営が39事業、政令指定都市営が9事業、市営が79事業、町村営が17事業、企業団等営が10事業となっている。

施設数は251施設、給水先事業所数は5,719箇所、年間総配水量は41億90百万m3となっている。また、施設利用率(1日平均配水量を現在配水能力で除したもの。)の平均は53.4%(前年度55.2%)となっている。

b 経営状況

(a)損益収支

工業用水道事業の総収益は1,523億円、総費用は1,288億円となっており、この結果、純損益は235億円の黒字、総収支比率は118.3%となっている。また、経常収益は1,469億円、経常費用は1,240億円となっており、この結果、経常損益は229億円の黒字、経常収支比率は118.5%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第30表のとおりである。

累積欠損金は250億円で、前年度と比べると24.0%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(b)資本収支

資本的支出は1,035億円で、前年度と比べると2.1%減となっている。これに対する財源は、外部資金が411億円、内部資金が617億円で、財源不足額は8億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は632億円で、前年度と比べると2.7%減、企業債償還金は290億円で、前年度と比べると1.9%増となっている。

(c)給水原価と供給単価

有収水量1m3当たりの給水原価は27.01円(資本費11.63円、職員給与費3.18円、その他の経費12.20円)、1m3当たりの供給単価は30.60円となっており、これを補助事業と単独事業に分けてみると、単独事業では供給単価(16.02円)が給水原価(13.27円)を2.75円上回っており、補助事業では供給単価(34.32円)が給水原価(30.52円)を3.80円上回っている。

(ウ)交通事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する交通事業で、令和2年度決算対象となるものは、85事業である。これを事業別にみると、バスが24事業、都市高速鉄道が9事業、路面電車が5事業、モノレール等が2事業、船舶が45事業となっている。

これらによる年間輸送人員は24億7,042万人、1日平均677万人(対前年度比28.6%減)である。1日平均輸送人員を事業別にみると、バスが180万人(対前年度比23.4%減)、都市高速鉄道が479万人(対前年度比30.2%減)、路面電車が9万人(対前年度比39.3%減)、その他が9万人(対前年度比23.8%減)となっている。

公営交通が国内の旅客輸送機関に占める割合を年間輸送人員からみると、第79図のとおりであり、バスについては20.1%、鉄軌道については10.2%となっている。

b 経営状況

(a)法適用企業

<1> 損益収支

法適用の交通事業の総収益は5,057億円、総費用は5,821億円となっており、この結果、純損益は764億円の赤字、総収支比率は86.9%となっている。また、経常収益は5,040億円、経常費用は5,811億円となっており、この結果、経常損益は771億円の赤字、経常収支比率は86.7%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第31表のとおりである。

累積欠損金は1兆4,535億円で、前年度と比べると4.6%増となっている。また、不良債務は659億円で、前年度と比べると10.8%増となっている。

これを事業別にみると、バス事業においては、純損益は263億円の赤字となっており、経常損益は261億円の赤字となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第32表のとおりである。

累積欠損金は663億円で、前年度と比べると29.8%増となっている。また、不良債務は77億円で、前年度と比べると0.5%減となっている。

都市高速鉄道事業においては、純損益は460億円の赤字となっており、経常損益は467億円の赤字となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第33表のとおりである。

累積欠損金は1兆3,651億円で、前年度と比べると3.5%増となっている。また、不良債務は582億円で、前年度と比べると12.4%増となっている。

<2> 資本収支

資本的支出は4,361億円(うちバス事業258億円、都市高速鉄道事業3,963億円)で、前年度と比べると2.8%増となっている。これに対する財源は、外部資金が2,438億円、内部資金が1,380億円で、財源不足額は543億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1,741億円(うちバス事業183億円、都市高速鉄道事業1,498億円)で、前年度と比べると13.2%増、企業債償還金は2,542億円(うちバス事業63億円、都市高速鉄道事業2,401億円)で、前年度と比べると3.9%増となっている。

(b)法非適用企業

交通事業における法非適用企業は船舶運航事業の38事業で、実質収支をみると、黒字事業が36事業で6億円の黒字となっており、赤字事業が2事業で5億円の赤字となっている。

(エ)電気事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する電気事業で、令和2年度決算対象となるものは、99事業(うち建設中2事業)であり、法適用企業が31事業、法非適用企業が68事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が26事業、政令指定都市営が4事業、市営が33事業、町村営が34事業、一部事務組合等営が2事業となっている。

施設数は498施設で、最大出力の合計は266万kW(建設中を含む。)、年間発電電力量は78億59百万kWh、年間売電電力量は76億82百万kWhとなっている。そのうち、各発電型式における稼働中の施設数、最大出力、年間発電電力量、年間売電電力量は第34表のとおりである。

b 経営状況

(a)法適用企業

<1> 損益収支

法適用の電気事業の総収益は953億円、総費用は717億円となっており、この結果、純損益は236億円の黒字、総収支比率は132.9%となっている。また、経常収益は952億円、経常費用は707億円となっており、この結果、経常損益は245億円の黒字、経常収支比率は134.6%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第35表のとおりである。

累積欠損金は13億円で、前年度と比べると86.7%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

<2> 資本収支

資本的支出は640億円で、前年度と比べると10.0%増となっている。これに対する財源は、外部資金が188億円、内部資金が452億円で、財源不足額は3百万円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は428億円で、前年度と比べると23.1%増、企業債償還金は84億円で、前年度と比べると31.4%減となっている。

(b)法非適用企業

電気事業における法非適用企業は、水力発電事業、ごみ発電事業、風力発電事業、太陽光発電事業及びバイオマス発電事業の68事業(うち建設中2事業)で、実質収支をみると、黒字事業が65事業で9億円の黒字となっており、赤字事業が1事業で0.3億円の赤字となっている。

(オ)ガス事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営するガス事業で、令和2年度決算対象となるものは、23事業である。これを経営主体別にみると、政令指定都市営が1事業、市営が15事業、町村営が7事業となっている。公営ガス事業の供給戸数(契約数)は65万戸(対前年度比5.8%減)で、供給区域内戸数に対する普及率は63.6%となっている。また、販売量は241億65百万MJで、前年度と比べると6.5%減となっている。

ガス事業全体に占める公営ガス事業の割合をみると、供給戸数で2.3%、販売量で1.5%となっている。

b 経営状況

(a)損益収支

ガス事業の総収益は711億円、総費用は634億円となっており、この結果、純損益は77億円の黒字、総収支比率は112.2%となっている。また、経常収益は711億円、経常費用は634億円となっており、この結果、経常損益は77億円の黒字、経常収支比率は112.2%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第36表のとおりである。

累積欠損金は68億円で、前年度と比べると44.0%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(b)資本収支

資本的支出は263億円で、前年度と比べると34.0%増となっている。これに対する財源は、外部資金が26億円、内部資金が237億円で、財源不足額を有する事業はない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は98億円で、前年度と比べると12.4%減、企業債償還金は80億円で、前年度と比べると0.6%減となっている。

(カ)病院事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する地方公営企業法を適用する病院事業及び公営企業型地方独立行政法人が経営する病院事業で、令和2年度決算対象となるものは、683事業であり、これらの事業が有する病院(以下「公立病院」という。)数は856病院である。これを経営主体別にみると、地方公共団体が経営する地方公営企業法を適用する病院は762病院であり、都道府県立が147病院(35都道府県)、政令指定都市立が24病院(14政令指定都市)、市立が339病院(290市)、町村立が151病院(148町村)及び一部事務組合等立が101病院(75組合)となっている。また、公営企業型地方独立行政法人が経営する病院は94病院であり、都道府県が設立団体となるものは42病院(18都道府県)、政令指定都市が設立団体となるものは20病院(9政令指定都市)、市が設立団体となるものは26病院(23市)、町村が設立団体となるものは4病院(4町村)及び一部事務組合等が設立団体となるものは2病院(2組合)となっている。

一般病院816病院*13のうち病床数300床以上の病院は、34.3%に当たる280病院となっており、地域における中核的な役割を担う病院として地域医療を支えている。

一方、病床数が150床未満であり、直近の一般病院までの移動距離が15km以上となる位置に所在している等の条件下にある「不採算地区病院」は、一般病院の38.0%に当たる310病院となっており、民間医療機関による診療が期待できない離島、山間地等のへき地における医療の確保のため、重要な役割を果たしている。

さらに、公立病院全体の85.6%に当たる733病院が救急病院として告示を受けており、地域の救急医療を担っている。

令和2年度末における病床数は20万4千床で、前年度と比べると0.7%減となり、入院及び外来延患者数は1億3千万人で、前年度と比べると10.4%減となっている。

また、病床利用率は67.2%(前年度74.7%)、外来入院患者比率(年延外来患者数を年延入院患者数で除したもの)は161.4%(前年度159.5%)となっている。なお、全国の病院に占める公立病院の数及び病床数の推移は、第80図のとおりである。

b 経営状況

(a)損益収支

病院事業の総収益は5兆5,285億円、総費用は5兆3,919億円となっており、この結果、純損益は1,366億円の黒字、総収支比率は102.5%となっている。また、経常収益は5兆4,399億円、経常費用は5兆3,149億円となっており、この結果、経常損益は1,251億円の黒字、経常収支比率は102.4%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第37表のとおりである。

累積欠損金は1兆9,062億円で、前年度と比べると4.2%減となっている。また、不良債務は238億円で、前年度と比べると50.3%減となっている。

また、医業費用に対する医業収益の割合である医業収支比率は88.1%(前年度91.0%)となっており、これを病院の種別にみると、一般病院が88.4%(同91.3%)、精神科病院が72.9%(同73.6%)となっている。

(b)資本収支

資本的支出は8,623億円で、前年度と比べると6.5%増となっている。これに対する財源は、外部資金が5,808億円、内部資金が2,620億円で、財源不足額は195億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は4,187億円で、前年度と比べると6.9%増、企業債償還金は3,866億円で、前年度と比べると5.0%増となっている。

(キ)下水道事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する下水道事業で、令和2年度決算対象となるものは、3,606事業(うち建設中11事業)であり、法適用企業が2,092事業、法非適用企業が1,514事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が81事業、政令指定都市営が50事業、市営が1,871事業、町村営が1,579事業、一部事務組合等営が25事業となっている。

下水道事業の令和2年度末における現在処理区域内人口は1億526万人、現在処理区域面積は550万haとなっている。また、年間総処理水量(雨水処理水量と汚水処理水量の合計)は153億m3で、前年度と比べると0.6%増となっており、年間有収水量は113億m3で、前年度と比べると0.7%増となっている。

b 経営状況

(a)法適用企業

<1> 損益収支

法適用企業の下水道事業の総収益は3兆9,705億円で、前年度と比べると26.2%増となっている。その内訳をみると、使用料収入が1兆4,447億円(総収益に占める割合36.4%)、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が1兆1,067億円(同27.9%)等となっている。一方、総費用は3兆7,548億円で、前年度と比べると27.6%増となっており、うち企業債利息が3,143億円(総費用に占める割合8.4%)となっている。この結果、純損益は2,157億円の黒字、総収支比率は105.7%となっている。また、経常収益は3兆9,347億円、経常費用は3兆7,189億円となっており、この結果、経常損益は2,158億円の黒字、経常収支比率は105.8%となっている。純損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第38表のとおりである。

累積欠損金は1,654億円で、前年度と比べると40.4%増となっている。また、不良債務は265億円で、前年度と比べると20.8%増となっている。

<2> 資本収支

資本的支出は3兆5,030億円で、前年度と比べると26.4%増となっている。これに対する財源は、外部資金が2兆1,534億円、内部資金が1兆3,302億円で、財源不足額は194億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1兆6,499億円で、前年度と比べると30.7%増、企業債償還金は1兆8,305億円で、前年度と比べると22.6%増となっている。

(b)法非適用企業

下水道事業における法非適用企業の総収益は1,872億円で、前年度と比べると74.5%減となっている。その内訳をみると、使用料収入が668億円(総収益に占める割合35.7%)、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が1,122億円(同59.9%)等となっている。一方、総費用は1,085億円で、前年度と比べると75.5%減となっており、うち地方債利息が232億円(総費用に占める割合21.4%)となっている。

資本的支出は2,044億円で、前年度と比べると75.5%減となっている。その内訳をみると、建設改良費は779億円で、前年度と比べると78.4%減、地方債償還金は1,254億円で、前年度と比べると73.3%減となっている。

実質収支をみると、黒字事業が1,494事業で68億円の黒字、赤字事業が15事業で6億円の赤字となっており、差引61億円の黒字となっている(第38表)。

(c)全体の経営状況

法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の黒字額は2,417億円、赤字額は199億円となっており、この結果、全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)は2,218億円の黒字となっている。

汚水処理原価(汚水処理費を年間有収水量で除したもの)は140.79円/m3(維持管理費78.67円/m3、資本費62.12円/m3)で、前年度と比べると1.2%減となっており、使用料単価(使用料収入を年間有収水量で除したもの)は134.55円/m3で、前年度と比べると2.4%減となっている。

その結果、経費回収率(使用料単価を汚水処理原価で除したもの)は95.6%となっており、前年度と比べると1.1ポイント低下している。

法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の建設改良費は1兆7,278億円で、前年度と比べると6.5%増となっている。

(ク)その他の公営企業

a 事業数

地方公共団体は、以上の事業のほかにも各種の事業を経営している。これを事業別にみると、令和2年度決算対象となるものは、港湾整備事業が95事業、市場事業が152事業、と畜場事業が50事業(うち建設中1事業)、観光施設事業が244事業(うち建設中1事業)、宅地造成事業が424事業(うち建設中54事業)、有料道路事業が1事業、駐車場整備事業が194事業、介護サービス事業が499事業、その他事業(廃棄物等処理施設、診療所等)が67事業となっている。

b 経営状況

その他の公営企業の純損益、経常損益、実質収支における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第39表のとおりである。このうち、観光施設事業については、全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)が23億円の黒字であるものの、法適用企業の累積欠損金は前年度と比べると5.8%増の198億円となっており、経営状況が悪化している事業については、施設そのものの必要性及び公営企業で運営することの適否について十分検討する必要がある。また、宅地造成事業については、全体の収支は473億円の黒字であり、法適用企業の累積欠損金は前年度と比べると1.7%減の3,333億円となっているものの、販売用土地の時価評価額が当該土地の地方債残高を下回っている会計が全体(地方債償還が終了した会計を除く。)の39.7%を占めている。厳しい経営状況にある事業については、対応を先延ばしにすることなく、早期かつ計画的に経営の健全化を図る必要がある。

(2)国民健康保険事業

国民健康保険制度については、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」(平成27年法律第31号)の施行により、平成30年度から都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体とされ、市町村とともに都道府県も国民健康保険の保険者となっている。

また、市町村は、国民健康保険の保険者として、引き続き、資格管理、保険給付、保険料の賦課・徴収等の被保険者に身近な保険者業務を担うこととされているが、医療給付等に必要な資金は都道府県から保険給付費等交付金の交付を受ける一方で、徴収した保険料(税)は基本的に都道府県に国民健康保険事業費納付金として納付することとされている。

ア 都道府県

(ア)歳入

都道府県の歳入決算額は11兆4,835億円で、前年度と比べると0.3%減となっている。

歳入の内訳をみると、第81図のとおりであり、前期高齢者交付金が最も大きな割合を占めており、以下、市町村から納付された国民健康保険事業費納付金、療養給付費等負担金等の国庫支出金の順となっている。

(イ)歳出

歳出決算額は10兆9,840億円で、前年度と比べると3.0%減となっている。

歳出の内訳をみると、第82図のとおりであり、保険給付費等交付金が最も大きな割合を占めており、次いで後期高齢者支援金等となっている。

(ウ)収支

実質収支は4,959億円の黒字(前年度1,996億円の黒字)となっており、実質収支から財源補填的な他会計繰入金を控除し、繰出金を加えた再差引収支については、47団体全てにおいて黒字で、黒字額は4,960億円(同1,991億円の黒字)となっている。

イ 市町村(事業勘定)

令和2年度末において国民健康保険事業会計を有する団体は、1,743団体(前年度同数)となっている。

また、被保険者数は2,619万人であり、加入世帯数は1,724万世帯となっている。これらを前年度末と比べると、被保険者数は41万人減少、加入世帯数は9万世帯減少している。

(ア)歳入

事業勘定の歳入決算額は12兆6,713億円で、前年度と比べると3.3%減となっている。

歳入の内訳をみると、第83図のとおりであり、都道府県から医療給付等に必要な資金として交付される保険給付費等交付金等の都道府県支出金が最も大きな割合を占めており、次いで国民健康保険税(料)となっている。また、前年度と比べると、都道府県支出金が3.4%減、国民健康保険税(料)が2.1%減となっている。

(イ)歳出

歳出決算額は12兆3,939億円で、前年度と比べると3.8%減となっている。

歳出の内訳をみると、第84図のとおりであり、保険給付費が最も大きな割合を占めており、次いで市町村から都道府県へ納付される国民健康保険事業費納付金となっている。また、前年度と比べると、保険給付費が3.9%減、国民健康保険事業費納付金が3.6%減となっている。

(ウ)収支

実質収支は2,762億円の黒字(前年度2,088億円の黒字)であり、昭和40年度以降黒字傾向が続いている。

実質収支から財源補填的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支については、1,026億円の黒字(前年度147億円の黒字)となっている。

再差引収支を黒字・赤字団体別にみると、黒字団体数は1,274団体(前年度1,206団体)で、その黒字額は1,813億円(同1,386億円)となっている。

一方、赤字団体数は469団体(前年度537団体)で、その赤字額は787億円(同1,240億円)となっている。

ウ 市町村(直診勘定)

令和2年度末において直営診療所を設置している団体は、359団体(前年度362団体)となっている。

直診勘定の歳入決算額は604億円で、前年度と比べると3.1%増となっている。

歳入の内訳をみると、診療収入が270億円で最も大きな割合を占めており、次いで他会計繰入金が177億円となっている。また、前年度と比べると、診療収入が8.7%減、他会計繰入金が4.7%増となっている。

直診勘定の歳出決算額は577億円で、前年度と比べると1.9%増となっている。

歳出の内訳をみると、総務費が367億円で最も大きな割合を占めており、次いで医業費が139億円となっている。また、前年度と比べると、総務費が1.1%増、医業費が3.0%減となっている。

実質収支は25億円の黒字(前年度18億円の黒字)となっているが、この実質収支から他会計繰入金を控除し、繰出金を加えた再差引収支は、148億円の赤字(同146億円の赤字)となっている。

(3)後期高齢者医療事業

後期高齢者医療事業では、保険料の徴収や後期高齢者医療広域連合へ保険料等の納付を行う団体(1,739団体(前年度同数))及び後期高齢者医療事業を実施する都道府県区域ごとの後期高齢者医療広域連合(47団体(前年度同数))に特別会計が設けられている。

ア 市町村

市町村の特別会計の歳入決算額は1兆9,193億円で、前年度と比べると6.2%増となっている。

歳入の内訳をみると、被保険者が支払う後期高齢者医療保険料が1兆3,788億円で最も大きな割合を占めており、次いで繰入金が4,771億円となっている。また、前年度と比べると、後期高齢者医療保険料が6.6%増、繰入金が5.9%増となっている。

歳出決算額は1兆8,896億円で、前年度と比べると6.2%増となっている。

歳出の内訳をみると、後期高齢者医療広域連合への納付金が1兆7,962億円で最も大きな割合を占めており、前年度と比べると、6.4%増となっている。

イ 後期高齢者医療広域連合

(ア)歳入

後期高齢者医療広域連合の歳入決算額は16兆5,488億円で、前年度と比べると0.0%増となっている。

歳入の内訳をみると、第85図のとおりであり、支払基金交付金が最も大きな割合を占めており、以下、国庫支出金、市町村支出金の順となっている。また、前年度と比べると、支払基金交付金が2.3%減、国庫支出金が2.6%増、市町村支出金が4.1%増となっている。

(イ)歳出

後期高齢者医療広域連合の歳出決算額は15兆7,298億円で、前年度と比べると2.8%減となっている。

歳出の内訳をみると、第86図のとおりであり、保険給付費が最も大きな割合を占めている。また、前年度と比べると、保険給付費は2.7%減となっている。

(ウ)収支

実質収支は47団体全て黒字となっており、その黒字額は、前年度と比べると4,615億円増の8,189億円(前年度3,574億円の黒字)となっている。

(4)介護保険事業

介護保険制度を実施する保険者である市町村が設ける介護保険事業会計は、第1号被保険者(65歳以上の者)からの保険料や、支払基金交付金(第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)の介護納付金分に係る社会保険診療報酬支払基金からの交付金)等を財源として保険給付等を行う保険事業勘定と、介護給付の対象となる居宅サービス及び施設サービス等を実施する介護サービス事業勘定とに区分される。

なお、市町村が実施する指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、老人短期入所施設、老人デイサービスセンター、指定訪問看護ステーションの5施設により介護サービスを提供する事業は、介護サービス事業として公営企業会計の対象とされている。

令和2年度末において、介護保険事業の保険者は、1,571団体(前年度1,573団体)となっている。

また、介護サービス事業勘定を設置している団体は、635団体(前年度649団体)となっている。

ア 保険事業勘定

(ア)歳入

保険事業勘定の歳入決算額は11兆5,853億円で、前年度と比べると2.6%増となっている。

歳入の内訳をみると、第87図のとおりであり、支払基金交付金が最も大きな割合を占めており、以下国庫支出金*14、第1号被保険者が支払う保険料、他会計繰入金、都道府県支出金の順となっている。また、前年度と比べると、支払基金交付金が3.0%増、国庫支出金が4.1%増、保険料が1.6%減、他会計繰入金が6.0%増、都道府県支出金が3.4%増となっている。

(イ)歳出

保険事業勘定の歳出決算額は11兆2,564億円で、前年度と比べると2.0%増となっている。

歳出の内訳をみると、第88図のとおりである。このうち、保険給付費は、最も大きな割合を占めており、前年度と比べると2.7%増となっている。

(ウ)収支

実質収支は3,180億円の黒字(前年度2,472億円の黒字)となっており、実質収支から財源補填的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支についても、3,161億円の黒字(同2,452億円の黒字)となっている。

再差引収支を黒字・赤字団体別にみると、黒字団体数は1,562団体(前年度1,558団体)で、その黒字額は3,187億円(同2,480億円)となっている。

一方、赤字団体数は9団体(前年度15団体)で、その赤字額は26億円(同28億円)となっている。

イ 介護サービス事業勘定

介護サービス事業勘定の歳入決算額は178億円で、前年度と比べると16.7%減となっている。

歳入の内訳をみると、普通会計等からの繰入金が86億円で最も大きな割合を占めており、次いで利用者の支払う自己負担金を含むサービス収入が71億円となっている。また、前年度と比べると、他会計繰入金が26.5%減、サービス収入が6.3%減となっている。

歳出決算額は167億円で、前年度と比べると16.3%減となっている。

歳出の内訳をみると、サービス事業費が73億円で最も大きな割合を占めており、以下、総務費が43億円、公債費が25億円の順となっている。また、前年度と比べると、サービス事業費が3.1%減、総務費が9.8%減、公債費が27.6%減となっている。

なお、実質収支は10億円の黒字(前年度13億円の黒字)となっており、再差引収支は72億円の赤字(同100億円の赤字)となっている。

(5)その他の事業

ア 収益事業

収益事業を実施した地方公共団体の数は、延べ280団体(前年度同数)となっている。

これを事業別にみると、公営競技についてはモーターボート競走事業を施行した団体が103団体と最も多く、以下、自転車競走事業55団体、競馬事業50団体、小型自動車競走事業5団体の順となっている。

また、宝くじは、47都道府県及び20政令指定都市の67団体で発売されている。

収益事業の決算額は歳入4兆7,012億円、歳出4兆4,707億円で、前年度と比べると、歳入は22.9%増、歳出は21.5%増となっている。

実質上の収支(歳入歳出差引額から翌年度に繰り越すべき財源、他会計からの繰入金、過去の収益を積み立てた基金からの繰入金及び未払金を控除し、他会計への繰出金及び未収金を加えた額)は、5,452億円の黒字(前年度4,609億円の黒字)となっている。

収益金の大部分は普通会計等に繰り入れられ、道路、教育施設、社会福祉施設等の整備事業などの財源として活用されている。その繰入額は3,771億円で、前年度と比べると3.4%増となっている。

普通会計等への収益金の繰出しについて、事業別にみると、競馬事業が112億円、自転車競走事業が84億円、小型自動車競走事業が2億円、モーターボート競走事業が517億円、宝くじ事業が3,057億円となっている。

イ 共済事業

(ア)農業共済事業

農業共済事業を実施した市町村の数は、5団体(前年度35団体)で、農業共済組合による共済事業への移行が進んだため、前年度と比べると30団体減少している。

農業共済事業会計の決算額は歳入22億円、歳出22億円で、前年度と比べると歳入は72.5%減、歳出は72.0%減となっている。

なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から支払準備金積立額、責任準備金積立額、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は、2億円の赤字(前年度22億円の赤字)となっている。

(イ)交通災害共済事業

直営方式により交通災害共済事業を実施した地方公共団体の数は、58団体(前年度60団体)となっている。

交通災害共済事業会計の決算額は歳入47億円、歳出34億円で、前年度と比べると、歳入は10.4%減、歳出は16.9%減となっている。

なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から未経過共済掛金、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は、14億円の黒字(前年度12億円の黒字)となっている。

ウ 公立大学附属病院事業

公立大学附属病院事業を実施した地方公共団体の数は、1団体である。

公立大学附属病院事業会計の決算額は、収益的収支では総収益23億円、総費用24億円となり、前年度と比べると総収益は1.8%減、総費用は3.3%増となっている。

また、資本的収支では資本的収入6億円、資本的支出5億円で、前年度と比べると資本的収入は18.8%増、資本的支出は26.7%増となっている。

実質収支は0.5億円の黒字(前年度1億円の黒字)となっている。

(6)第三セクター等

ア 第三セクター等の定義

第三セクター等とは、次の法人をいう。

(ア)第三セクター

a 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年法律第48号)等の規定に基づいて設立されている一般社団法人及び一般財団法人(公益社団法人及び公益財団法人を含む。)並びに特例民法法人(以下「社団法人・財団法人」という。)のうち、地方公共団体が出えんを行っている法人

b 「会社法」(平成17年法律第86号)の規定に基づいて設立されている株式会社、合名会社、合資会社、合同会社及び特例有限会社(以下「会社法法人」という。)のうち、地方公共団体が出資を行っている法人

(イ)地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社(以下「地方三公社」という。)

イ 第三セクター等に係る財政的リスクの状況

第三セクター等は、地域住民の暮らしを支える事業を行う重要な役割を担う一方で、経営が著しく悪化した場合には、地方公共団体の財政に深刻な影響を及ぼすことが懸念される。

特に地方公共団体に相当程度の財政的なリスクが存在する第三セクター等については、「第三セクター等の経営健全化方針の策定と取組状況の公表について」(令和元年7月23日付け総務省自治財政局公営企業課長通知)により、地方公共団体に対し、経営健全化方針の策定と、それに基づく取組の着実な実施を要請している。

第三セクター等に係る財政的リスクの状況は第40表のとおりである。

経営健全化方針の策定要件に該当した法人数は302法人で、前年度(275法人)に比べ27法人増加している。



*12 法適用企業の経営状況を表すものには、純損益、経常損益、総収支比率、経常収支比率等がある。
純損益とは、総収益から総費用を差し引いた額をいい、当該年度の総合的な収支状況を表す。総収益が総費用を上回る場合の差額が純利益であり、逆に総費用が総収益を上回る場合の差額が純損失である。
経常損益とは、純損益から固定資産売却益等の臨時的な収益(特別利益)や、固定資産売却損等の臨時的な費用(特別損失)を除いたものをいい、当該年度の経営活動の結果を表す。経常収益が経常費用を上回る場合の差額が経常利益であり、逆に経常費用が経常収益を上回る場合の差額が経常損失である。
総収支比率とは総費用に対する総収益の割合、経常収支比率とは経常費用に対する経常収益の割合であり、それぞれ100%を下回ると費用が収益を上回っている状態を意味することになる。

*13 精神科病院以外の病院をいう。

*14 国庫支出金:・介護給付費負担金(介護給付及び予防給付に要する費用の額(以下「介護・予防給付額」という。)の100分の20(施設等給付費にあっては100分の15)に相当する額)
・調整交付金(介護・予防給付額の100分の5に相当する額) 等
都道府県支出金:都道府県の法定負担(※1)を含む
(※1)介護・予防給付額の100分の12.5(施設等給付費にあっては100分の17.5)に相当する額
他会計繰入金 :市町村の法定負担分(※2)を含む
(※2)介護・予防給付額の100分の12.5に相当する額

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