8 東日本大震災の影響

平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、死者19,747人、行方不明者2,556人(令和3年3月9日、総務省消防庁発表)、被害総額(推計)約16兆9千億円(平成23年6月24日、内閣府(防災担当)発表)にのぼる被害をもたらすとともに、全国的にも生産、消費、物流等の経済活動に大きな影響を与えた。

政府は、東日本大震災発生直後から、被災者の生活の支援や被災地の復旧・復興対策に当たってきており、令和2年度においても前年度に引き続き、被災地の地方公共団体を中心に復旧・復興事業などの東日本大震災関連経費が支出された。その状況は次のとおりである。

(1)普通会計

ア 東日本大震災分の決算の状況

普通会計における東日本大震災分の決算の状況は、第41表のとおりである。

歳入決算額は1兆8,589億円で、東日本大震災復興関連基金からの繰入金、復興事業に係る地方債等が増加したものの、震災復興特別交付税の減少等による一般財源の減少、東日本大震災復興交付金の減少等による国庫支出金の減少等により、前年度と比べると12.4%減となっている。

歳出決算額は1兆5,203億円で、性質別歳出では、東日本大震災復興交付金返還金の増加等により補助費等が増加したものの、福島県内市町村の生活再建促進交付金の減少等による扶助費の減少、国直轄事業負担金の減少等による普通建設事業費の減少、東日本大震災復興関連基金への積立金の減少等により、前年度と比べると15.8%減となっている。

なお、東日本大震災分の決算規模は、平成24年度以降減少傾向にある。

イ 特定被災地方公共団体等の決算の状況

(ア)特定被災県

a 歳入歳出

特定被災県(「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」(平成23年法律第40号。以下「東日本大震災財特法」という。)第2条第2項に定める特定被災地方公共団体である県をいう。)である9県(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県、長野県)の歳入総額は、11兆4,486億円で、前年度と比べると19.4%増(全国では21.6%増)となっている。

このうち通常収支分は10兆3,377億円で、前年度と比べると24.8%増(全国では22.5%増)、東日本大震災分は1兆1,110億円で、前年度と比べると14.9%減(同14.7%減)となっている。

特定被災県の歳出総額は10兆9,399億円で、前年度と比べると19.2%増(同21.0%増)となっている。

このうち通常収支分は10兆261億円で、前年度と比べると24.3%増(全国では21.9%増)、東日本大震災分は9,138億円で、前年度と比べると17.4%減(同17.2%減)となっている。なお、特定被災県の東日本大震災分の歳出は、全国の都道府県における東日本大震災分の歳出の98.7%を占めている。

b 地方債現在高等の状況

特定被災県の地方債現在高は15兆7,858億円で、前年度と比べると0.5%増(全国では0.8%増)となっている。債務負担行為額は9,189億円で、前年度と比べると18.7%減(同9.2%増)となっている。積立金現在高は1兆5,655億円で、前年度と比べると6.8%減(同3.8%減)となっている。

(イ)特定被災市町村等

a 歳入歳出

特定被災市町村等(「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律第二条第二項及び第三項の市町村を定める政令」(平成23年政令第127号)の別表第1に定める特定被災地方公共団体である市町村並びに同令の別表第2及び別表第3に定める市町村のうち特定被災地方公共団体以外のものをいう。)である227市町村の歳入総額は9兆5,142億円で、前年度と比べると25.8%増(全国では27.1%増)となっている。

このうち通常収支分は8兆6,857億円で、前年度と比べると30.3%増(全国では27.6%増)、東日本大震災分は8,285億円で、前年度と比べると7.5%減(同8.3%減)となっている。

特定被災市町村等の歳出総額は9兆838億円で、前年度と比べると26.3%増(同27.3%増)となっている。

このうち通常収支分は8兆4,105億円で、前年度と比べると31.1%増(全国では27.8%増)、東日本大震災分は6,733億円で、前年度と比べると13.5%減(同14.1%減)となっている。なお、特定被災市町村等の東日本大震災分の歳出は、全国の市町村における東日本大震災分の歳出の96.2%を占めている。

b 地方債現在高等の状況

特定被災市町村等の地方債現在高は6兆6,118億円で、前年度と比べると1.4%増(全国では0.8%増)、債務負担行為額は1兆3,474億円で、前年度と比べると2.0%増(同3.5%増)、積立金現在高は1兆9,609億円で、前年度と比べると10.8%減(同0.4%減)となっている。

(2)公営企業会計等

公営企業等については、特定被災県及び東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律第二条第二項及び第三項の市町村を定める政令の別表第1に定める特定被災地方公共団体である178市町村(当該団体が加入する一部事務組合等を含む。以下「特定被災地方団体」という。)を対象として、東日本大震災の災害復旧事業に係る一般会計からの繰出基準の特例等を講じている。

特定被災地方団体における法適用企業と法非適用企業(建設中のものを除く。)を合わせた収支の状況は、黒字事業が779事業(事業数全体の87.3%)で、前年度と比べると2.5%減、黒字額は1,257億円で、前年度と比べると1.8%減となっている。また、赤字事業は113事業(事業数全体の12.7%)で、前年度と比べると20.2%増、赤字額は254億円で、前年度と比べると0.2%増となっている。

この結果、特定被災地方団体における公営企業等の総収支は1,003億円の黒字で、前年度と比べると2.3%減となっている。

ページトップへ戻る