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9 令和2年度決算に基づく健全化判断比率等の状況

「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(平成19年法律第94号。以下「地方公共団体財政健全化法」という。)に基づき、健全化判断比率(*)又は資金不足比率(*)が、早期健全化基準、財政再生基準又は経営健全化基準以上となった場合には、これらの健全化判断比率等を公表した年度の末日までに、財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならないこととされている。

令和2年度決算に基づく健全化判断比率が早期健全化基準以上である団体数の状況は、第42表のとおりである。団体区分別の合計(純計)は、前年度と同数の市区1団体で、当該団体は財政再生基準以上となっており、新たに早期健全化基準以上となった団体はない。このため、令和2年度に財政健全化計画等を策定した団体はなく、財政再生計画について実施状況報告を行った団体は、市区1団体である。

また、令和2年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上である会計数は9会計である。

令和2年度決算に基づく健全化判断比率等のそれぞれの状況は、以下のとおりである。

(1)実質赤字比率

実質赤字額がある団体数の推移は、第89図のとおりである。

令和2年度決算において、実質赤字額がある(実質赤字比率が0%超である)団体は市区1団体で、当該団体は早期健全化基準未満である。

(2)連結実質赤字比率

連結実質赤字額がある団体数の推移は、第90図のとおりである。

令和2年度決算において、連結実質赤字額がある(連結実質赤字比率が0%超である)団体は町村1団体で、当該団体は早期健全化基準未満である。

(3)実質公債費比率

ア 実質公債費比率が18%以上である団体数

実質公債費比率が18%以上の場合、地方債の発行に総務大臣等の許可が必要となる。これらの団体数の推移は、第91図のとおりである。

令和2年度決算において、実質公債費比率が早期健全化基準(25%)以上である団体数は市区1団体で、当該団体は財政再生基準(35%)以上である。

イ 実質公債費比率の段階別分布状況

実質公債費比率の段階別分布状況は、第92図のとおりである。

実質公債費比率が18%以上である団体数は、都道府県1団体(構成比2.1%)、市区2団体(同0.3%)、町村1団体(同0.1%)の合計4団体(同0.2%)となっている。

このうち、実質公債費比率が早期健全化基準以上財政再生基準未満である団体はなく、財政再生基準以上である団体数は、市区1団体(構成比0.1%)となっている。

ウ 団体区分別実質公債費比率の状況

団体区分別の実質公債費比率の状況は、第43表のとおりであり、実質公債費比率の平均は、都道府県10.2%、政令指定都市7.3%、市区4.7%、町村7.6%となっている。

(4)将来負担比率

ア 早期健全化基準以上である団体数

将来負担比率が早期健全化基準以上である団体数の推移は、第93図のとおりである。

令和2年度決算において、将来負担比率が早期健全化基準以上である団体はない。

イ 将来負担比率の段階別分布状況

将来負担比率の段階別分布状況は、第94図のとおりである。

将来負担比率の段階別分布状況では、都道府県においては100%以上200%未満の区分、市区及び町村においては100%未満の区分における団体数が最も多くなっており、政令指定都市においては100%未満の区分及び100%以上200%未満の区分が同数となっている。

ウ 団体区分別将来負担比率の状況

団体区分別の将来負担比率の状況は、第44表のとおりであり、将来負担比率の平均は、都道府県171.3%、政令指定都市86.0%、市区8.4%となっている。なお、町村においては、充当可能財源等が将来負担額を上回っている。

エ 団体区分別将来負担額等の状況

団体区分別の将来負担額等の規模は、第95図のとおりである。

一般会計等に係る地方債の現在高や債務負担行為に基づく支出予定額等を合計した将来負担額から基金等の充当可能財源等を控除した実質的な将来負担額(将来負担比率の分子となる額)の団体区分別合計額は、都道府県41兆9,760億円、政令指定都市5兆7,553億円、市区1兆5,630億円となっている。町村においては、基金等の充当可能財源等が将来負担額を2,237億円上回っている。

また、団体区分別の項目別将来負担額等の状況は第45表のとおりであり、都道府県は、一般会計等に係る地方債現在高が97兆3,304億円と最も多く、退職手当負担見込額9兆1,423億円、公営企業債等繰入見込額2兆5,019億円の順になっている。政令指定都市は、一般会計等に係る地方債現在高が21兆456億円と最も多く、公営企業債等繰入見込額3兆3,313億円、退職手当負担見込額1兆9,330億円の順になっている。市区は、一般会計等に係る地方債現在高が31兆8,045億円と最も多く、公営企業債等繰入見込額9兆722億円、退職手当負担見込額4兆2,525億円の順になっている。町村は、一般会計等に係る地方債現在高が6兆2,809億円と最も多く、公営企業債等繰入見込額1兆8,823億円、退職手当負担見込額7,366億円の順になっている。

(5)資金不足比率

ア 資金不足額がある公営企業会計数

資金不足額がある公営企業会計数の推移は第96図、令和2年度決算に基づく資金不足額の状況を団体区分別にみたものが第97図である。

資金不足額がある公営企業会計数をみると、都道府県2会計、政令指定都市3会計、市区24会計、町村15会計、一部事務組合等5会計であり、合計49会計となっている。

このうち資金不足比率が経営健全化基準(20%)以上である会計数は9会計(資金不足額がある会計数の18.4%)となっている。都道府県及び一部事務組合等は該当がなく、政令指定都市1会計(同33.3%)、市区3会計(同12.5%)、町村5会計(同33.3%)となっている。

令和2年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上である公営企業会計数を事業種類・団体区分別にみたものが第46表である。前年度(都道府県及び政令指定都市は該当がなく、市区3会計、町村1会計、一部事務組合等1会計の合計5会計)より4会計増加(政令指定都市で1会計、町村で4会計が増加、一部事務組合等で1会計が減少)している。その内訳は、令和2年度決算で新たに経営健全化基準以上となった会計が9会計あり、令和2年度決算で経営健全化基準未満となった会計が5会計ある。

次に、資金不足額の状況を事業別にみたものが第98図である。

資金不足額がある公営企業会計数は、病院事業(当該事業の全体会計数の5.8%)が最も多く、以下、交通事業(同7.6%)、下水道事業(同0.2%)の順となっている。

また、資金不足比率が経営健全化基準以上である会計数は、交通事業(当該事業における資金不足額のある会計数の50.0%)及び下水道事業(同60.0%)が最も多くなっている。

イ 公営企業会計の資金不足額

公営企業会計の資金不足額の状況を団体区分別にみたものが第99図であり、都道府県52億円、政令指定都市137億円、市区78億円、町村10億円、一部事務組合等14億円であり、合計292億円となっている。

このうち資金不足比率が経営健全化基準以上である会計の資金不足額は、都道府県及び一部事務組合等は該当する会計がなく、政令指定都市120億円(資金不足額がある会計の87.6%)、市区2億円(同2.6%)、町村3億円(同30.0%)で、合計125億円(同42.8%)となっている。

資金不足額の状況を事業別にみたものが第100図であり、交通事業が最も多く、次いで病院事業となっている。

また、資金不足比率が経営健全化基準以上である会計の資金不足額は、交通事業(当該事業の資金不足額合計額の86.5%)が最も多くなっている。

(6)個別団体の財政健全化

令和2年度決算に基づく健全化判断比率が財政再生基準以上の団体は、北海道夕張市の1団体のみとなっている。夕張市では、令和11年度までの財政再生計画に基づき、市民生活に直結したサービスを維持しながら、早期の財政の再生に向けた最大限の取組を行っており、職員数の削減や職員給与の見直しなど、行政のスリム化等による歳出削減と、固定資産税・軽自動車税の超過課税や各種使用料・手数料の引上げなど、住民負担の増加を伴う取組等による歳入確保により、財政状況の改善を図っている。平成29年3月には、引き続き財政の再生を図りつつ、財政再生計画の終了後も持続的に存立・発展していけるよう、地域再生に資する事業の追加等の内容を盛り込んだ、同計画の大幅見直しを行い、同計画に基づき財政再生と地域再生の両立に向けた取組を行っている。

これにより、再生振替特例債の償還等の財政再生に向けた取組は着実に進み、令和2年度決算に基づく将来負担比率は336.0%となり、初めて早期健全化基準(350%)を下回った。

また、地域再生への取組として、令和2年3月に支所、図書館、多目的ホール等の機能を持った拠点複合施設が供用を開始し、令和3年4月に認定こども園が供用を開始した。

資金不足比率が経営健全化基準以上の公営企業会計については、平成29年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となった1会計の公営企業は、平成30年度に経営健全化計画を策定し、資金不足額が減少するよう、収益の増加や経費の節減等の取組を継続している。

令和元年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となった5会計のうち、2会計(資金不足比率が経営健全化基準以上の期間が令和元年度限りであった3会計については、経営健全化計画の策定を要しない。)については、令和2年度末までに同計画を策定済みである。2会計はいずれも、経営健全化計画に基づいて、収益の増加や経費の節減などの取組を行った結果、地方公共団体財政健全化法に基づいて令和3年度中に完了報告を行った。

令和2年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となったのは9会計であった。このうち、令和3年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となる見込みである会計については、同年度末までに経営健全化計画を策定し、経営健全化のための取組を行うこととしている。

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