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4 公共施設等の適正管理の推進

我が国においては、高度経済成長期に大量に建設された公共施設等が一斉に更新時期を迎える中、人口減少や少子高齢化等による公共施設等の利用需要の変化や地方財政の厳しい状況等を踏まえると、各地方公共団体においては、地域における公共施設等の適正管理に向けた取組を着実に推進する必要がある。また、「地球温暖化対策計画」(令和3年10月22日閣議決定)において、2050年カーボンニュートラルの実現を目指すとともに、我が国の中期目標として、2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すこととされたことを踏まえ、地方公共団体における公共施設等の脱炭素化を推進していく必要がある。

(1)公共施設等の適正管理の更なる推進

総務省においては、「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」(平成26年4月22日付け総務大臣通知)により、各地方公共団体に対し、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行うための中期的な取組の方向性を明らかにする計画(以下「総合管理計画」という。)を策定するよう要請し、令和3年3月31日時点で、都道府県においては100%、市町村においても99.9%の団体が、総合管理計画を策定している。

そのような中、総合管理計画については、その策定を要請した平成26年度以降、一定の期間が経過していることも踏まえ、総務省としては、地方公共団体に対して、個別施設ごとの長寿命化計画(個別施設計画)の内容を反映しつつ、中長期のインフラ維持管理・更新費の見通しや適正管理に取り組むことによる効果額を盛り込んだ上で、充実を図り、令和3年度までに見直しを行うよう要請してきた。その上で、地方公共団体における総合管理計画の見直しを推進するため、「令和3年度までの公共施設等総合管理計画の見直しに当たっての留意事項について」(令和3年1月26日付け総務省自治財政局財務調査課長通知)により、総合管理計画の見直しに当たって記載すべき事項の考え方等について、改めて周知するとともに、市町村における総合管理計画の見直しのための専門家の招へいや業務委託等を支援してきた。その結果、令和3年9月末時点で91.3%の団体が令和3年度中に見直し予定となっている。なお、新型コロナウイルス感染症の影響等により見直しの完了が令和4年度以降となる地方公共団体においては、適切に見直しを進め、令和5年度末までに見直しを完了するよう要請している。

また、地方公共団体による公共施設等の適正管理の取組を推進するため、平成29年度に事業期間5年間で創設した「公共施設等適正管理推進事業費」について、令和4年度以降も、地方公共団体が引き続き公共施設等の適正管理に積極的に取り組んでいけるよう、事業期間を令和8年度まで5年間延長し、後述する脱炭素化事業を加えるとともに、長寿命化事業の対象に空港施設とダム(本体、放流設備等)を追加することとしている。

なお、総務省においては、同事業費の活用例を施設や事業の内容ごとにまとめた手引きを公表しており、各地方公共団体においては、同事業費や基金などの財源を活用しながら、公共施設等の適正管理に係る取組を積極的に進めていくことが求められる。

(2)公共施設等の脱炭素化の推進

「地球温暖化対策計画」において、地方公共団体は国が政府実行計画に基づき実施する取組に準じて率先的な取組を実施することとされたことを踏まえ、脱炭素化のための地方単独事業を計画的に実施できるよう、令和4年度から、公共施設及び公用施設における太陽光発電の導入、建築物におけるZEB(一定の省エネルギーを図った上で、再生可能エネルギー等の導入により、エネルギー消費量を更に削減した建築物)の実現、省エネルギー改修の実施及びLED照明の導入を対象とする脱炭素化事業を「公共施設等適正管理推進事業費」に追加することとしている。脱炭素化事業の事業規模は1,000億円とし、令和4年度の地方財政計画に、「公共施設等適正管理推進事業費」全体で対前年度比1,000億円増の5,800億円を計上している。なお、事業期間については、「地球温暖化対策計画」において、令和7年度までを集中期間として、脱炭素を前提とした施策を総動員することとされたことを踏まえ、令和7年度までとしている。

併せて、公営企業の脱炭素化の取組についても、上記の脱炭素化事業と同様の事業を対象に、令和7年度までを事業期間として、新たに公営企業債(脱炭素化事業)を充当できることとしている。

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