難視聴解消に向けた公開実証試験を実施
− 携帯端末向けマルチメディア放送 −
平成26年2月4日up
平成25年12月25日、札幌市南区において、携帯端末向けマルチメディア放送の難視聴解消に向けた公開実証試験を行いました。
携帯端末向けマルチメディア放送(VHF-High帯)は、地上テレビ放送のデジタル化により空いた周波数を使用して、スマートフォンやタブレットなどで手軽に視聴できる新たなメディアとして平成24年4月より東名阪及び九州・沖縄でサービスが開始されました。現在、全国で放送エリアの拡大が進められており、平成25年度内には、全都道府県においてサービスが開始される予定です。北海道では同年12月より札幌及び旭川、翌年12月より帯広を放送エリアとしてサービスが行われています。
しかし、電波の特性上、ビル陰や山陰等の送信所からの電波の届かない場所は難視聴地域となり、良好に放送が受信できない場合があります。
北海道総合通信局では、平成25年7月に調査検討会を立ち上げ、携帯端末向けマルチメディア放送の良好な受信環境確保に向けた難視聴地域における中継送信システムの技術的条件や、非常災害時等における衛星波中継方式による情報伝達手法について調査検討を進めてきました。
今回の難視聴地域の試験フィールドとして、手稲山送信所からの放送波が藻岩山の陰となるため良好に受信できない札幌市南区内の一部地域を選定しました。
本実証試験では、手稲山からの放送波が良好に受信できる地点で受信した信号を、光回線により試験用に設置した中継送信システム(ギャップフィラー)に伝送し、その後、同システムのアンテナから難視聴地域に再送信を行いました。その結果、放送受信が大幅に改善され、さらに、手稲山からの放送波と中継送信システムからの放送波が同一チャンネルであっても妨害を受けずに受信可能であることを確認しました。
参加者各自が携えた受信端末には、中継送信システムから電波が発射されると同時に、きれいな放送映像が映し出され、難視聴エリアの解消が可能であることが実証されました。
今後、調査検討会では、この実証試験の結果を踏まえ、報告書として取りまとめることとしており、携帯端末向けマルチメディア放送の受信環境確保のための技術資料として役立てられることとなります。
【調査検討会概要説明】
座長・北海道大学大学院情報科学研究科
インテリジェント情報通信研究室
大鐘 武雄 准教授
【受信点】
視聴可能エリアに受信アンテナを置き、再送信システムまで光ケーブルにより放送データを伝送
【送信点】
受信点から光ケーブルにより、放送データの伝送を受け、車内に設置したシステムにより放送電波を再送信
実証試験デモンストレーション
1 「難視の現状とメカニズム」
- 再送信波の品質(スペクトラム波形、コンスタレーション、遅延プロファイル等)確認
- 受信端末による受信状況改善の確認
2 「置局における技術的課題の検討」
- 受信改善確認(SFN混信、送受間の回り込みレベル確認)
- 受信端末による視聴可能エリアの確認
【送信システム(車内)】
受信データを電波にして再送信
参考
【送信アンテナ】
送信システムから八木アンテナ(〇印)を介して電波を発射
【測定】
中継送信システムにより放送波が受信可能となったエリアにおいて、測定器で放送信号データを確認
【受信端末】
再送信により、山陰で放送波を良好に受信できなかったエリアでも視聴が可能に
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