四国総合通信局は、平成22年12月21日(火曜日)に愛媛県松山市において、JGN2plus四国連絡協議会及び国立大学法人愛媛大学と共催で、「JGN2plus四国連絡協議会セミナーin松山」を開催しました。
近年、環境問題への意識が高まる中、低炭素社会を実現する方策としてスマートグリッドが注目されています。スマートグリッドは、発電設備から末端の機器までを通信網で接続し、電力流と情報流を統合的に管理することにより、自動的な電力需給調整を可能とし、電力の需給バランスを最適化する仕組みです。
本セミナーでは、スマートグリッドをテーマに、4つの講演をおこないました。
はじめに「OpenPLANET(オープンプラネット)の経験と四国型スマートグリッドへの一提案」と題して、株式会社四国総合研究所 電子技術部 主席研究員 中西 美一 氏から、四国電力が10年前に取り組んだスマートメータ計画である「OpenPLANET」について、電力量計サーバを中心としたシステム構成、商用化に向けて検討された各種サービス・ビジネスモデルが説明されました。また、「OpenPLANET」の経験について、技術面の課題は現在では解決されているがビジネスモデルは現在も課題として残っていると指摘されていました。
続いて「スマートグリッドにおけるスマートメーターの通信方式と標準化動向」と題して、独立行政法人情報通信研究機構 新世代ワイヤレス研究センター 主任研究員 児島史秀 氏から、スマートグリッドは今や国際的な取り組みであるが米国、欧州、日本で着目点が大きく異なっているとの背景の違いと、スマートメータの無線通信規格としてIEEEで標準化が進められているSUN(スマートユーティリティネットワーク)の概要及び検討状況が説明されました。
その後、「松山市におけるスマートレジデンス実証プロジェクトの紹介」と題して、鹿島建設株式会社 環境本部 新エネルギーグループ 課長 藤田晋 氏から、建設会社である同社が取り組むスマートグリッド時代に対応した新しい街づくりと、総務省「環境負荷軽減型地域ICTシステム基盤確立事業」における松山市での地域実証実験について説明がありました。
最後に、「IPv6で広がるセンサーネットワーク《スマートメータからビル管理まで》」として、IP Infusion,Inc. Principal Enginee 村上哲也 氏から、家電機器など多数の機械にセンサーを付けネットワーク化するには事実上無限のIPアドレスを持つIPv6の導入が必須であり、ワイヤレス・センサーネットワークにIPv6を適用するための技術開発の状況について説明がありました。また、今後期待されるマーケットとして、電気を効率的に消費する知的家電ネットワークや省エネ監視・制御を自動化・一元化するビル管理システムなどが紹介されました。
約120名の参加者は、急速に注目を集めているスマートグリッドの今後の展開について、真剣な表情で聞き入っていました。
JGN2plus四国連絡協議会セミナーin松山の様子