四国総合通信局は、平成23年11月17日(木曜日)に愛媛県松山市の愛媛大学において、四国情報通信懇談会ICT研究交流フォーラム及び愛媛大学と共催で、「スマートグリッドセミナーフォローアップ勉強会」を開催しました。
地域の課題解決につながるICTの研究開発を推進することにより、四国の地域活性化を図ることを目的としている四国情報通信懇談会の専門部会「ICT研究交流フォーラム」では、技術セミナーをフォローアップするための勉強会を開催し、「研究開発の種(シーズ)の掘り起こし」や「研究者のマッチング」を推進することを目指しています。
今回はこのフォーラム活動の一環として、昨年12月21日に愛媛大学で開催されましたJGN2plus(ジェージーエヌツープラス)四国連絡協議会セミナーin松山(スマートグリッドセミナー)をフォローアップするために、スマートグリッドやスマートメータに関する理解を深めるための勉強会を開催したものです。「四国におけるスマートメータ実証実験の事例分析」をテーマに実施され、愛媛県内外から42名が参加しました。
勉強会では、はじめに「松山市ていれぎ実証実験の成果発表」と題して、鹿島建設株式会社 環境本部の藤田晋氏による講演があり、総務省の平成22年度「環境負荷軽減型地域ICTシステム基礎確立事業」に採択された松山市高井町の「ていれぎ」を実証フィールドとして実施された実証実験について、成果報告がおこなわれました。
太陽光や風力の発電状況、各種センサ情報やメータ情報の解析、エコカルテによる見える化(家庭毎の比較)等について報告があり、システムの不具合とデータ欠損等に関する課題や、現地に合わせたローカライズの必要性について指摘がありました。
続いて、本勉強会のコーディネーターである愛媛大学大学院理工学研究科 准教授の都築伸二氏から、平成23年度SCOPE研究課題「スマートメータとSNS連携による再生可能エネルギー利活用促進基盤に関する研究開発」について説明がありました。
本研究では、再生可能エネルギーで発電している人、あるいは興味を持っている人たちのコミュニティをSNSで形成し(SNSのイメージは「ウェザーリポートCh」)、発電量をスマートメータで定期的に計測し、クラウドサーバに集めて、PCや携帯端末に表示するシステムを開発します。発電している人に「見える化」する従来の取り組みに加えて、我が家のエコ自慢等をつぶやいてもらうことにより、他人にも「見せる化」することによって、コミュニティを活性化することと、それに必要な要素技術を開発することが特徴です。参加者からは、ユニークな研究に対していくつも質問が出されていました。
さらに、「新型電子式メータの実証実験の紹介」と題した四国電力株式会社 情報通信部長の小川正俊氏による講演では、四国電力株式会社が来年度を目処に実施を予定している実証実験の内容について紹介がありました。また、再生可能エネルギー導入に伴う課題や、ラストワンマイルの各無線通信方式の特徴と評価についても説明がありました。
その後、一般参加者からの発表が3件ありました。松山市環境事業推進課の吉田真氏からは「松山サンシャインプロジェクト」について、S.R.L代表の武智伸三氏からは「スマートメータの展開を考える 歴史は繰り返す」、高知工科大学の菊池豊教授からは「再生可能エネルギー、ホワイトスペース、スマートグリッドin地域」と題した発表がありました。
最後に、全体討論として、既設住宅に対するHEMS導入の問題点やスマートメータの普及に関する課題について、専門分野の異なる各参加者の立場から、さまざまな意見等が出されました。
全体討論については少し時間が足りませんでしたが、参加者からは質問や意見が積極的に出されたこともあり、四国におけるスマートメータの実証実験に関する最新の情報について、参加者全員で共有することができ、大変有意義な勉強会となりました。