四国情報通信懇談会ICT研究交流フォーラム第8回技術セミナーを開催

 総務省四国総合通信局は、平成25年6月27日(木曜日)高知県高知市において、四国情報通信懇談会ICT研究交流フォーラムと共催で、「ICT研究交流フォーラム第8回技術セミナー」を情報通信月間参加行事として開催しました。

 本セミナーは、ICTの利活用による地域課題の解決を目指した研究開発の取組と成果を発表し、併せて研究成果等のデモンストレーションを実施し、ICT研究開発の必要性を広く認識いただくとともに、セミナー参加の大学・企業等技術者により、研究開発への参加・協力・連携等の新たな展開も期待して開催したものです。

  セミナーでは、まず、愛媛大学総合情報メディアセンター助教 佐々木 隆志(ささき たかし)氏が、「スマートメータとSNS連携による再生可能エネルギー利活用促進基盤に関する研究開発」と題して、再生可能エネルギーで発電している人、興味を持っている人達のコミュニティをSNSで形成し、発電している人に“見える化”する従来の取組に加え、我が家のエコ自慢などをつぶやいてもらう等の他人にも“見せる化”によって、コミュニティを活性化する取組と、それに必要な要素技術の研究開発について発表がありました。

  次に、高知工業高等専門学校電気情報工学科教授 今井 一雅(いまい かずまさ)氏が、「ホームネットワークを用いた高齢者安否確認システムと人材育成に関する研究開発」と題して、プライバシーを考慮した画像センサ、温度・湿度センサ、人感センサ、電力量検出センサ等と「高知IPv6マイコンボード」を組み合わせた高齢者の安否を確認するシステム開発について発表がありました。

  続いて、高知工科大学システム工学群教授 高木 方隆(たかぎ まさたか)氏が、「『救荒植物(災害時食糧備蓄となる植物)』栽培適地評価システムと森林資源をリアルタイムに公開する地域基盤情報システムの研究開発」と題して、地域植物資源のフィールド調査からデータ整理・蓄積さらに利活用を支援するプラットフォームLupinesを起点として、災害備蓄としての意味を持つ「救荒植物」の自生環境の評価と、GISを基盤とした栽培適地の選定の方法論を開発して実際の栽培に役立て、地域社会の持続安定的な発展に資する新しい森林環境・植物資源評価ICTツールの確立に関する取組が紹介されました。

  さらに、平成24年度情報流通連携基盤の地盤情報における実証・実証会合 高知「選定フィールド実証」検討委員会事務局 土屋 彰義(つちや あきよし)氏が「情報流通連携基盤の地盤情報における実証〜総務省オープンデータ戦略〜」と題して、国や自治体等が所有する大量の地盤情報(ボーリング・地質データ)を電子的な収集・管理により、他分野・どこからでも利用できる環境を整備するために、高知県内7市町を対象とする選定フィールドで実施した実証実験について発表がありました。発表では、地震・土砂災害の危険性予測や軟弱地盤分布など大規模災害への備えに利活用が広がってきているという紹介もありました。

 その後、技術コンサルタント事務所S.R.L代表 武智 伸三(たけち しんぞう)氏が「10ミリワットの挑戦(特定小電力無線利用の限界に挑戦する)」と題して、LPガス事業では検針等のため624万のメーターが監視センターとネットワークされ、スマートメーターの目指すネットワーク世界を先行し実用化している現状についてと、LPガス事業通信ネットワークでの特定小電力システムの開発・導入に様々な課題を克服しながら実用化した取組について紹介がありました。

 最後に、独立行政法人情報通信研究機構テストベッド研究開発室マネージャー 田向 忠雄(たむかい ただお)氏が「JGN-Xの仮想化技術等の実装環境と利用事例」と題して、新世代通信網テストベッド(JGN-X)上での仮想化技術の実装状況、大規模エミュレーション基盤(StarBED³)環境の紹介、提供サービスの概要、各種研究・利活用事例の紹介がありました。

  講演後には、研究開発成果のデモンストレーションも実施され、課題先進地と言われる高知で地域課題の解決を目指した研究開発の取組と成果を共有する機会となり大変有意義なセミナーとなりました。

講演の様子

講演の様子

デモンストレーション実施会場の様子

デモンストレーション実施会場の様子

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