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クラウドは、さまざまな社会の壁をどんどん壊していきます!

サイボウズ(株) 代表取締役社長 青野 慶久(あおのよしひさ)氏

クラウドについて、この二年間語り続けてきました。

・ここ五年ほど、時代が変わってきていると感じていまして、2008年のリーマンショックあたりから、世の中が大きく動いています。今までのように、ソフトを作って売るという商売では厳しいということで、サイボウズ(株)では投資先をクラウドに大きくシフトしてきました。

・クラウドとは何でしょうか。クラウドの一般的な定義は、「システムを構築せず、申し込んで利用するだけ」ということになります。乗用車で例えますと、今までは乗用車を買っていたのをレンタカーにしますということです。

・では、クラウドの何がすごいのか。大した変化ではないのでは?と私も最初はそう考えていました。ところが、実際にシステムがこのレンタル型に変わると、ユーザーにとって絶大なメリットがあります。

・まず、サーバーを買う必要がありませんから、故障や経年劣化の対応が不要です。社員の増大に伴ったハードの増強も不要です。サーバーを置く場所もいりません。監視する必要もありません。セキュリティも必要ありません。ソフトも買わなくてよいです。バージョンアップやバックアップも不要です。そして気に入らなければ、すぐに解約できます。

・このことに気付いた人がこう言っています。「これはインターネット以来の大きな変化だ」と。大型コンピュータからオープン化、そしてインターネットの次はクラウドの時代が来たということです。これがこの二年間、私が語り続けてきたことです。そして、この流れは、どうやら本物になってきていると感じているのです。

クラウド革命は端末革命です。

・皆さんはクラウドを見たことがありますか?これだけ話題になっているクラウド、その正体はデータセンターです。データセンターの中に入ると、サーバーが何千台、何万台と並んでいます。そして、誰もいない。誰もいないところで大きな音を立ててサーバーだけが動いているのです。これを見た瞬間に、私は衝撃を受けました。今までのシステム構築というのは、「家内制手工業」だったなと。それまでは一個一個サーバーを買ってきてソフトを導入していたわけですが、それが「機械制大工業」に2ステップもジャンプアップしたのだなと思いました。

・実際にクラウドが登場したために、いろんな産業で大きな変化が起きています。例えば広告です。今や広告は、Googleのクラウドに集約されつつあります。Googleが世界中の広告インフラになっているわけです。音楽もそう。スマートフォンでは1曲単位でダウンロードができます。ゲームも大変なことになっています。ソーシャルゲームの配信会社のクラウドに徹底的に集約されていて、世界中にゲームが配信されています。そんなことが今起きているのです。これはもう企業のシステムに影響が出るであろうと直感しています。

・一つポイントがありまして、クラウド革命による変化というのは、データセンター側では起きていません。ユーザー側、端末側で起こっているのです。ユーザーが持っているデバイスも、スマートフォンやタブレットに変わってきています。

・クラウド革命は端末革命なのです。クラウド+スマートフォン・タブレットはクラウド端末であり、この端末側も含めて、革命的な変化が起きているのです。企業システムもPC中心ではなくなっています。

クラウドの導入効果を御紹介します。

・まず、クラウドは営業現場を強くします。いろいろなシステムを簡単に構築できる「簡便性」と、ニーズに沿った機能を簡単に追加できる「拡張性」が魅力です。

・次に、クラウドは顧客サービスも強くします。クラウドの特徴は、システムが社内にないので、IDを発行すれば、社外の人にもすぐに参加してもらえることです。このことは大変興味深くて、会社と顧客という関係すら変えることになります。大切なものを中心にして、その関係性が再構築されていくわけです。今までのような縦割りの関係は、クラウドで終わりにすることができます。そんな時代を作っていきたいと考えています。

・クラウドは、会社と会社の垣根だけではなくて、モノとヒトの垣根すら越えようとしています。例えば、愛媛といえばミカンですが、みかんの木にセンサーを付けると、ミカンの木の情報がクラウド上に上がってきます。センサーを付ければ、世界中のありとあらゆるデータを、ほぼリアルタイムにクラウドに集約させることができます。その情報を共有することで、人間は考え、議論し、作業を実行していくことができます。もうそんな時代がきているのです。

・このような時代の中では、今までのようにサーバーを買ってきて、システムを組み立てる仕事は価値がなくなっていると言えます。このクラウドという新しいテクノロジーを使った新しいサービスを提供しないと、生き残れません。

地域の情報を共有して、新しいことを考えてみたい。

・システムインテグレーターといわれる人たちも、業態を変革していかなくてはいけません。今まではシステムを作る「一品料理」でしたが、今はそうではありません。ユーザーの要望に常に応え続ける、「継続サービス」でなくてはいけないのです。クラウドだとそれが可能です。これまでの業態を転換していかなくてはいけないのです。

・IT業界では、クラウド化やモバイル化という新しい技術の流れの中で、大きな変化が生まれようとしています。しかもそれは「業界だけの変化」ではなく、「社会変化」になるでしょう。おそらくクラウドは、いままで私たちが当たり前だと思っていた、さまざまな社会の壁をどんどん壊していくと思います。それに一早く応えられた会社が、21世紀の新しいリーダーカンパニーになっていくのです。

・特に私は今、「地方・地域」に注目しています。縦の壁を壊すのは、なかなか都会だと難しい側面があります。地域の中にも、今まであたり前に縦割りだと思っていた、さまざまな壁があります。それらの壁を一回壊してみませんか。地域の情報を、みんなで共有して新しいことを考えてみようと思います。そこに大きな可能性を感じています。クラウドにより、新しいチームワークを作っていきたいと思います。

サイボウズ(株) 代表取締役社長 青野 慶久(あおのよしひさ)氏

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