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G空間シティ構築事業「地域報告会(四国)」を開催
≪徳島県、東北大学提案実施事業成果の発表≫

 四国総合通信局及び東北総合通信局は平成27年2月23日(月)、高知市の高知会館においてG空間シティ構築事業の「地域報告会(四国)」を開催しました。
 総務省では、G空間情報(地理空間情報)のICTによる利活用を促進し、経済の成長力の底上げ及び国土の強靭化を図るため、「G空間シティ構築事業」を実施しています。四国においては、高知県、高知市を実施地域とする「リアルタイム津波浸水・被害予測・災害情報配信による自治体の減災力強化の実証事業」と徳島県、美馬市を実施地域とする「戦略的災害医療“G空間”プロジェクト」の2件を実施してきました。
 本報告会は、両事業の実施状況を発表するとともに、「G空間プラットフォーム構築事業」についても説明を行い、関係者等との意見交換を通じ、事業成果の他地域への普及展開を実現することを目的として開催したものです。

 開催に際しては、来賓として高知県危機管理部長 野々村 毅(ののむら たけし)氏から御挨拶をいただきました。高知県は「リアルタイム津波浸水・被害予測・災害情報配信による自治体の減災力強化の実証事業」の共同提案者であり実証フィールドとして御参加をいただいています。

高知県危機管理部長
野々村 毅(ののむら たけし)氏

地域報告会の様子

 

 初めに基調講演として、東京大学空間情報科学研究センター教授 柴崎 亮介(しばさき りょうすけ)氏より、「G空間情報に関する最新動向の紹介」と題して御講演をいただきました。

 講演では、スマートフォンの爆発的な普及や測位衛星による位置情報の取得など通信インフラ環境の整備により、G空間情報とICTの連携によって、これまで以上にG空間情報を活用した新たな産業・サービスの創出や防災・地域活性化の取組が可能となっていることや、普及に向けて世界中でも横並び一線で競争が始まっていることなどの紹介がありました。また、散在するG空間情報を円滑に利活用するために、その中核に共通プラットフォームを構築し、シーズとデマンドのマッチングが求められていることや、活用するために個人情報の取扱いについて整理が必要であるなどの課題が述べられました。また、総務省が取り組んでいる「G空間×ICT」の取組について説明され、G空間シティ構築事業として全国各地でモデル事業が行われていることが紹介されました。

東京大学空間情報科学研究センター教授
柴崎 亮介(しばさき りょうすけ)氏

 

 続いて成果紹介の一つ目として、徳島県危機管理部危機管理政策課政策調査幹 坂東 淳(ばんどう まこと)氏より、「戦略的災害医療“G空間”プロジェクト」と題して御講演をいただきました。

 徳島県では山間部や過疎地における豪雨・洪水の迅速な把握や情報伝達が課題となっており、すでに県が全県的な災害時の情報共有基盤として構築している「災害時情報共有システム」を活用・改良して、「地域SNSの活用による情報収集体制の強化」や「データ活用による避難所ニーズの把握」など5つのG空間プロジェクト事業をおこなっている旨の説明がありました。県では3月5日に徳島県美馬市木屋平地区をモデル地区に構築したシステムの実証実験を予定しており、その有効性などを検証していくことが説明されました。

徳島県危機管理部危機管理政策課政策調査幹
坂東 淳(ばんどう まこと)氏
【配布資料】戦略的災害医療“G空間”プロジェクトについて(PDF 3.8MB)PDF

 

 成果紹介の二つ目として、東北大学災害科学国際研究所特任教授 村嶋 陽一(むらしま よういち)氏より、「リアルタイム津波浸水・被害予測・災害情報配信による自治体の減災力強化の実証事業」と題して御講演をいただきました。

 東北大学では高知県や高知市など連携をして、東日本大震災における教訓を踏まえ、G空間情報と世界最先端の津波防災技術を融合させたG空間防災モデルを導入し、地方自治体の災害対策・対応業務の効率化および住民へのサービスの質の向上を図る実証事業について説明がありました。
 実証事業としては、リアルタイム津波浸水・被害推定、沖合の津波観測による津波予測精度の向上など7つの実証事業をおこなっていますが、特に、津波予測ではスーパーコンピュータを活用して、地震発生後の20分以内に津波発生から浸水予想・被害推定が可能であることを実証しており、平成26年12月21日に行われた高知県の避難訓練において、津波情報の提供をおこなった旨の紹介がありました。

東北大学災害科学国際研究所特任教授
村嶋 陽一(むらしま よういち)氏
【配布資料】リアルタイム津波浸水・被害予測・災害情報配信による
自治体の減災力強化の実証事業(高知・静岡・宮城)(PDF 4.3MB)PDF

 

 成果紹介の三つ目として、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)執行役兼ソーシャルICT推進研究センター副研究センター長 細川 瑞彦(ほそかわ みずひこ) 氏より、「G空間プラットフォームの開発・実証」と題して御講演をいただきました。

 NICTでは、官民が保有するG空間関連データを自由に組み合わせて利活用を可能とするG空間プラットフォームの開発・実証をおこなっており、G空間情報を整理するためにアンケート・ヒアリング調査を踏まえ、利用者ニーズを把握し、それに基づいた機能設計・開発をおこなっていることや、G空間プラットフォームの機能検証として、実際に観光や地域活性化などテーマを決めて全国4箇所で検証をおこなっている旨が説明されました。
 このうち、高知県・高知市では防災・減災をテーマに、津波シミュレーション結果と、携帯電話利用者の位置情報を重ね合わせ、推定浸水エリア内の車・人を把握するための検証が行われている旨の説明がありました。

独立行政法人情報通信研究機構
執行役兼ソーシャルICT推進研究センター副研究センター長
細川 瑞彦(ほそかわ みずひこ) 氏
【配布資料】G空間プラットフォーム構築事業全体概要(PDF 2.1MB)PDF

 

 そして最後に、御講演をいただいた講師の方々に加え、高知県危機管理部 副部長(総括) 酒井 浩一(さかい こういち)氏 にも御参加をいただき、総務省情報流通行政局地域通信振興課 課長補佐 村上 理一 (むらかみ りいち)の司会でパネルディスカッションを行いました。
 登壇者から、G空間情報のICTによる利活用促進に向け、実証プロジェクトから見えた各地域の課題や、今後の事業展開などについて御発言をいただきました。最後に、柴崎 亮介(しばさき りょうすけ)氏から、(1)ICTの進展や様々なデータが整備されてはいるが、限られた予算の中では、土台としてプラットフォームの活用を図るべき。(2)プラットフォームに共有された全国データを検証して、警報の出し方など今後の政策に反映させるべき。(3)プラットフォームづくりは一つの組織で行うことは困難なので受益者が共同して横断的な取組をすべき、と述べられました。

パネルディスカッションの様子

 

 本報告会には74名が参加され、G空間情報のICTによる利活用促進に向け、 理解を深めていただく機会となりました。四国総合通信局では、防災等地域の様々な課題の解決に向けて、ICTの利活用による防災・地域活性化の取組を推進して参ります。

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