徳島県では、平成26年度に総務省の委託を受けG空間シティ構築事業「戦略的災害医療“G空間”プロジェクト」を実施しています。この事業では山間部や過疎地等における豪雨・洪水被害の迅速な把握と情報伝達をテーマに、すでに全県的な災害時の情報共有基盤として構築・運用している「災害時情報共有システム」を活用・改良して、「地域SNSの活用による情報収集体制の強化」、「データ活用による避難所ニーズの把握」など5つのG空間プロジェクト事業に取り組んでいます。
平成27年3月5日(木)には、「戦略的災害医療プロジェクト」の一環として美馬市木屋平地区で行われた避難所運営訓練において、本事業により得られた成果について検証が行われました。
徳島県では、災害時と平時のつなぎ目のない「シームレス」な医療提供体制を構築するため「戦略的災害医療プロジェクト」を実施しています。
避難所運営訓練は、その一環として木屋平地区の16の自主防災組織や徳島県、美馬市などから105名が参加し、午前9時から木屋平中学校体育館で行われました。木屋平地区ではこれまでにも、住民参加による避難所運営の机上検討をおこなっていますが、実地訓練は初めての取組です。訓練では、あらかじめ避難所を準備する参加者の役割を決めずに、分担を決めるところから始まりました。参加者はまとめ役の住民の指示に従い、その場で割り当てられた役割にそって、避難者受付、居住スペースの設営、救護担当、各種情報の管理などを手際よくおこなっていきました。1時間もしないうちに避難所の運営が始まり、手順や情報の流れなどを検証しました。最後に、参加者全員で意見交換を行い、食料物資担当による炊き出しで昼食をおいしくいただき、訓練を終了しました。
避難者の受付
居住スペースの設営1
居住スペースの設営2
負傷者等の救護1
負傷者等の救護2
各種情報の管理
今回の訓練では、徳島県「戦略的災害医療“G空間”プロジェクト」の成果についても検証を行いました。
(1)地域SNSの活用による情報収集とGIS上での可視化
今回の事業では、災害情報の迅速な把握と情報伝達を行うため、徳島県が運用している安否確認サービス「すだちくんメール」を強化して、住民が地図上に様々な情報を自由に書き込める「すだちくんSNS」機能を追加するとともに、住民などが日頃からコミュニティ内で要配慮者等の情報共有を行う「見える化マップ」を構築しました。また、集約された情報は徳島県の構築している「総合地図提供システム」と連携を図りました。
訓練では、住民や行政職員がスマートフォン等で入力した現地の道路状況など災害情報の収集体制や、GIS上での可視化による情報共有について検証を行いました。また、利用者の使い勝手なども検証しました。
「すだちくんメール」のトップ画面
「すだちくんSNS」への登録情報
「見える化マップ」で可視化された情報
「災害時情報共有システム」で可視化された情報
(2)データ活用による避難所ニーズの把握体制の構築
住民が避難所の運営をするために必要となる物資等を調達するために、ネット通販事業者が運営する通販サイトの「ほしいものリスト」を活用した支援物資調達体制を構築しました。
訓練では、避難所の運営をおこなった際に、住民が必要と感じたものについて意見を出し合い、それを実際に住民がパソコンから入力して、支援物資調達体制構築の検証を行いました。
「ほしいものリスト」を活用した訓練の様子
徳島県では、今回の検証を踏まえ、さらにシステムの改良を行うこととしています。
総務省では、今後とも、G空間情報とICTの連携による利活用を促進し、安心安全で災害に強い社会の実現、活力ある地域社会の実現を図ることとしています。