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G7香川・高松情報通信大臣会合プレイベントセミナー
ICTセミナー2016in高松を開催

 四国総合通信局は、平成28年4月29日から30日まで高松市で開催する「G7香川・高松情報通信大臣会合」のプレイベントとして、情報通信の普及啓発を図り、大臣会合開催に向けた地域の気運を高めるために、平成28年2月2日(火)、かがわ国際会議場において「ICTセミナー2016in 高松」を開催しました。

会場の様子

 

 最初に主催者を代表して、四国総合通信局 佐藤 裁也(さとう たつや)局長から、「2016年主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて、4月29日・30日の両日、G7香川・高松情報通信大臣会合がここ高松市のかがわ国際会議場で開催される。四国で初めての大臣会合というだけでなく、サミット史上我が国で初めての、情報通信を主要テーマとした関係閣僚会合であり、総務省としても、香川県、高松市はじめ、四国の関係機関と連携しながら大臣会合の成功に向け取り組んでいきたい。大臣会合に関連して開催されるさまざまなイベントを含め、会合の成功は、開催地の高松にとどまらず、四国を海外にPRする絶好の機会であり、今後、観光・産業・文化面など多くの分野で波及効果が期待される。プレイベントセミナーの開催により、情報通信の普及啓発や大臣会合開催に向けた地域の気運がさらに高まることを期待している。」との開会あいさつがありました。

佐藤(さとう)局長の開会あいさつ

 

 続いて、香川県の浜田 恵造(はまだ けいぞう)知事と、高松市の大西 秀人(おおにし ひでと)市長から、それぞれ来賓のあいさつがありました。
 浜田(はまだ)知事は、「香川県では香川産業成長戦略の中で、全国に先駆けて構築した全県的な遠隔医療ネットワークであるK−MIXの関連産業育成プロジェクトを重点プロジェクトの一つに掲げ、健康増進と医療・介護の連携など新たな視点に立った機能の拡充を推進し、医療・福祉関連分野でのICT産業の振興を図っている。こうした取組が評価されたこともあり、G7香川・高松情報通信大臣会合が香川県で開催されることになった。本会合は、香川県のみならず四国全体の観光振興あるいは経済への波及などの地域の活性化も期待されることから、地方創生の観点からも大変喜ばしい。」とあいさつされました。

浜田(はまだ)知事の来賓あいさつ

 

 また、大西(おおにし)市長は、「高松市ではG7香川・高松情報通信大臣会合の開催を機会に、サンポート高松やJR高松駅の周辺地域、さらには観光客や買い物客で賑わう中央商店街をフリーWi−Fiエリアにしていこうと、香川県とも連携しながら鋭意、整備を進めている。さらには、観光情報を提供するデジタル・サイネージの設置や、総務省の協力の下、多言語音声翻訳システムの利活用実証実験も実施しているところである。ICT環境を整える様々な取組を、本会合を機会に積極的に進めていく。」とあいさつされました。

大西(おおにし)市長の来賓あいさつ

 

 セミナーは、総務省情報通信国際戦略局国際政策課の新井 孝雄(あらい たかお)課長の基調講演から始まりました。新井(あらい)課長は、「ICT分野における海外展開の推進」と題して、伊勢志摩サミットを控える我が国の情報通信政策の動向について講演されました。

 1つ目の講演テーマである「ICTに関する政府の国際戦略」については、主に「総務省のICT海外展開戦略」について説明されました。本戦略においては、「我が国のICTの特徴・強み(技術力の高さ、人材育成、インフラとICTのパッケージ)を活かした質の高いインフラ投資を推進していること」、「株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)の積極的活用を図るとともに、関係機関と有機的・機動的に連携して意欲ある民間企業を積極的に支援し、政府全体のインフラ輸出戦略に貢献していること」、「我が国のICTの海外展開を通じて、新興国等の経済発展、社会課題解決や人材育成に貢献していること」等が解説されました。

 2つ目の講演テーマである「ICT海外展開活動の推進」については、質の高いインフラへのICTの海外貢献事例が豊富に紹介されました。ICTインフラへの貢献としては「海底ケーブル」、「無線通信」、「衛星」、「地上デジタル放送」、「生体認証」、「サイバーセキュリティ対策」の各事例が、インフラへのICT活用としては「公共交通の料金徴収」、「道路・橋の耐久性審査・交通管理」、「防災の情報分析等」の各事例が紹介されました。
 さらに、ICTの海外展開の4つのポイントとして、「トップセールスが重要であること」、「相手国のニーズや規制の調査が必要であること」、「我が国の技術の強みをアピールすること」、「相手国の人材育成に貢献すること」が示されました。

 3つ目の講演テーマである「国際機関を通じた貢献」については、ICT分野の国際機関の概要が紹介された後、特に国際電気通信連合(ITU)の概要と世界無線通信会議(WRC)に関する最近の話題について解説されました。

 4つ目の講演テーマである「主な国際会議等の動き」については、最近の国際会議で議論されている主要なテーマが、「地球規模の課題解決にICTをどう活用していくのか」、「デジタル・ディバイドの解消」、「サイバーセキュリティへの対応」、「インターネットのガバナンスの確保」の4つであることが示されました。
 さらに、G7香川・高松情報通信大臣会合について、今後予定されている総務省・香川県・高松市の各関連事業ととともに、開催目的や意義等について紹介され、関係者の参加と協力を呼び掛けました。

 そして最後に、「ICTを活用したイノベーションや経済成長のソースが生まれることにより、2016年以降、社会は新しいステージに移ろうとしている。ICTの恩恵を世界全体が享受していく必要があり、経済成長や雇用の創出のために、我々は何をなすべきなのかを真剣に議論する時期である。高松のG7香川・高松情報通信大臣会合の役割は、まさに将来に向けた新しいICT社会の枠組み作りを考えていくことである。この新しいICT社会への第一歩が高松から始まるよう、実りのある大臣会合にしていきましょう。」と述べて、基調講演を締めくくりました。

 講演後、会場の参加者からは「講演を聞いて大変わくわくしている。高松を新しいICT社会の発信地としたいので、今日参加している産学官の関係者で協力できることがあれば、ぜひ協力させていただきたい。」との意見が発表されました。

新井(あらい)課長の講演の様子

 

 続いて、かがわ情報化推進協議会の副会長であり高松大学・高松短期大学の佃 昌道(つくだ まさみち)学長が、「地方創生におけるICTの役割」と題して、香川県におけるICT産業の振興や「K−MIX」を核とした遠隔医療の推進等、香川県のICTの動向と地方創生におけるICTの役割や今後の展望について講演しました。

 1つ目の講演テーマである「地方創生とICT」については、「ICTは地方創生にどのように貢献できるのか」という切り口から、地方創生にICTは不可欠であり、地域情報化の取組を通じてICTによる地域活性化や地域課題解決には一定の成果が達成されているものの、「地方への人の流れを作る」という大きな潮流を呼び起こすには至っておらず、そのためには「テレワークを中核としたICT利活用」や「地方への訪問者の増加(地方の情報をスマホ等で多言語で収集可能)」といった、地方のポテンシャルを引き出すICTの活用策で地方創生に貢献すべき、と提言しました。

 2つ目の講演テーマである「香川県の取組事例」については、研究開発・新規産業創出の拠点である「香川インテリジェントパーク」、かがわ遠隔医療ネットワーク(K−MIX)、かがわ医療情報ネットワーク(K−MIX+)、訪問看護・介護支援システムのCareluxl(ケアラクスル)、イクメン香川やNPO法人による子育て支援、情報通信交流館(e−とぴあ・かがわ)、かがわ情報化推進協議会の各取組概要について紹介されました。

 3つ目の講演テーマである「今後の展望」については、テレワークによる企業誘致、K−MIXの機能拡充、新たな香川ブランドの開発、観光、防災等のWi-Fi環境の拡充、人材育成といった「成長戦略」のもと、香川の情報発信を強化し、「気に入ってもらう」、「何度も来てもらう」ことにより「移住・定住」につなげていくことが必要である、と提言されました。

佃(つくだ)講師の御講演の様子

 

 続いて、メロディ・インターナショナル株式会社の尾形 優子(おがた ゆうこ)代表取締役が、「安心、安全な出産を全てのお母さんへ」と題して、遠隔医療の取組事例の紹介をしました。

 最初に、産婦人科医が減少し高齢出産が増加している社会状況が示された後、岩手県遠野市において尾形(おがた)氏が導入に尽力した遠隔診療システムの事例が、ビデオ映像を交えて紹介されました。

 そして、安心安全な出産を実現するクラウド型遠隔診療プラットフォームの実現に向け、低コスト、小型、軽量、多言語対応、データを無線で送信できる機能を装備したものを実現したモバイル型の超音波胎児心拍計の開発について説明し、発展途上国の医師不足は我が国よりも更に深刻であるため、この医療ICTシステムを途上国に導入できるのではないか、と提案しました。

 さらに、最新の取組として、ドローンを使って遠隔の島々に医薬品を運ぶ実証実験がビデオ映像を交えて紹介され、「香川県は産官学がまとまりやすく、関係者の協力の下、我々のような小さい企業でもこういう取組が実現できる、大変素晴らしい環境である。」と訴えました。

 最後に、「医療分野は規制も多く、全てをICTで解決できるわけではないが、ICTの力は間違いなく医療に役立っている。我々のような小さな企業が海外にも着目してもらえるのは、やはりいろいろな役割の企業・大学・行政が協力できたからだと思う。こういう香川の素晴らしい点を、大臣会合ではアピールしたい。」と決意を述べられました。

尾形(おがた)講師の御講演の様子

 

 最後は、西日本電信電話株式会社ビジネス営業本部クラウドソリューション部の井口 法文(いぐち のりふみ)地域ICT推進担当部長が、「ICT活用による地域活性化へ向けた取組み」と題して、NTT西日本が推進しているICTを利活用したまちづくり、地域社会の活性化に向けた「スマート光タウン」等の取組について、具体的な事例を交えて講演しました。

 1つ目の講演テーマである「地方創生を実現する取り組み」については、ICTの活用により新しいサービスを創出することにより、地方創生における課題の解決が期待できるとし、ICTによる地方創生の成功事例として、テレワークによる定住・移住促進と人口増加に貢献した徳島県神山町の事例と、効率的・効果的な鳥獣被害対策に貢献した長野県塩尻市の事例が説明されました。

 2つ目の講演テーマである「NTT西日本のスマート光ソリューション」については、ICTを活用して「家庭」「企業」「街」をつなぎ、住民に便利で快適なサービスや価値を創造する取組として、安全かつ安心して生活できる暮らしやすい街、便利な生活を実現する街づくりに向けたスマートな街づくり「スマート光タウン」について紹介されました。

 3つ目の講演テーマである「ICT活用の事例紹介」については、住民とともに安全な街を作る「熊本市の防災ハザードマップ」、双方向の新たな行政サービスを目指す「京都府和束町の茶源郷行政情報配信システム」、お年寄りの健康づくりに寄与する「香川県小豆島町のひかり健康相談」、高齢化社会を乗り切る「沖縄県南城市のまちづくり推進事業」の各取組が説明されました。

 4つ目の講演テーマである「Wi-Fiの積極的展開」については、まず訪日外国人旅行者が外国語対応や無料Wi-Fi整備の遅れに不満はあるものの徐々に解消されてきているということが説明され、2016年3月より高松中央商店街エリア及びサンポート高松地区で公衆無線LANサービスが提供開始されることに伴い、香川県内全域に拡大中のかがわWi-Fiスポットと併せ、国内外からの観光客や来訪者の回遊促進や地域住民の利便性の向上による地域活性化が期待できるとしました。その上で、一度の登録で複数のフリーWi-Fiを利用できるワン認証や、九州でのビッグデータ活用事例等、NTTグループが展開するWi-Fiサービスが紹介され、講演は終了しました。

井口(いぐち)講師の御講演の様子

 

 今回のセミナーには定員を大幅に上回る160名の方が参加されました。

 四国総合通信局は、G7香川・高松情報通信大臣会合を契機に、ICTを活用した地域活性化に更に努めて参ります。

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