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「四国ICTセミナーinまつやま」を開催

 四国総合通信局は、一般社団法人テレコムサービス協会四国支部と共催で、平成28年3月15日(火)に松山市において「四国ICTセミナーin まつやま」を開催しました。

 ICTは社会経済活動や日常生活のあらゆる面で利用されており、我々の暮らしに必要不可欠な社会的基盤となっています。個人情報の保護に関する法律が全面施行されて10年を経過したところですが、現状のICTやシステムの現状に則していない部分もあり、個人情報保護に関する課題はまだ多いと考えられることから、個人情報保護の更なる意識の向上と対策の充実を図る目的で、本セミナーは開催されました。

会場の様子

 

 最初の講演は、四国総合通信局の佐藤 裁也(さとう たつや)局長が、「ICT政策の現状について -四国における実勢と可能性-」と題して講演しました。

 まず、ICT以外の四国の実勢について、四国における全交通機関の生活圏別年間流動先の順位に着目し、1990年と2010年のデータを比較することにより、2000年のエックスハイウェイの完成を経て、四国全域で四国内の相互交流が非常に活発化したと概観しました。例えば、香川県東部における、徳島県と岡山県南部の関係性が逆転し、その数も1990年の岡山県南部よりも徳島県のほうが圧倒的に大きいことから、他ブロックとの交流の重要性に加え、四国内の各地域における「知見」や「人材」の共有化による、産業振興や過疎からの脱却という「波及」の可能性があるのではないかと述べました。

 次に、ICTに関する四国の実勢について、超高速ブロードバンドの利用可能世帯率が平成26年度には東京や大阪と遜色のないほぼ100%になったことや、自治体が関与した公衆無線LANのアクセスポイント数が一年間で4倍に急増していること、またCATVの普及率については徳島県が4年連続第1位であり、他の三県についても増加傾向にある等、四国の卓越した現状が紹介されました。

 続いて、四国各県におけるICTの特徴について解説されました。
 香川県は、K-MIX+による遠隔医療、お遍路におけるWi-Fi、そして離島におけるドローン等の各利活用が進んでおり、さらには平成28年4月29日・30日にG7香川・高松情報通信大臣会合が四国で初めて開催されることから、この大臣会合をきっかけにさらにICTの普及や利活用が進むであろう状況が紹介されました。
 愛媛県は、えひめ結婚支援センター「愛結び」におけるビッグデータ活用、NHKやNTT西日本等「管区」によるICT人材の集積、全国屈指のサイバーセキュリティシンポジウム道後の開催、坊ちゃん劇場等のコンテンツの内外展開等があり、西日本・四国屈指のICT基盤の集積を活かしている現状が紹介されました。
 高知県は、防災×ICTの利活用、高知型のテレワークセンターの将来発展、アニメ等のコンテンツの集積、高知工科大学と高知工業高等専門学校という2つの「工」校の人材育成等があり、南海トラフ巨大地震対策を発展のバネにできる現状が紹介されました。
 徳島県は、4K・8Kの実証集積、徳島型テレワークの発展、遠隔教育やドローンの利活用、葉っぱビジネスや4Kコンテンツ加工によるリアルな街づくり、G空間やマイナンバーカード等、条件不利をチャンスに活かしている現状が紹介されました。

 最後に、四国では各県境で情報交換しながら、ICTに関する人材や知見が波及や利活用により共有されているとし、今ある魅力を磨き、真の付加価値を見つけ、ストーリーに編むことが必要であるとしました。また、G7香川・高松情報通信大臣会合の開催をきっかけに、四国の各地域の強みを活かしながら、人材が交流し知見を持ち寄り、それぞれの地域で活躍することによって、四国がますます発展していくことを期待する、と結びました。

佐藤(さとう)講師の講演の様子

 

 二番目の講演は、電気通信個人情報保護推進センターの諮問委員であり、総務省ICTサービス安心・安全研究会の構成員である桑子 博行(くわこ ひろゆき)氏が「改正個人情報保護の概要および総務省タスクフォースにおける匿名化等の検討状況について」と題して講演しました。

 まず、昨年9月に成立した個人情報保護法の改正の概要について解説があり、今回の法律改正の背景として、ICTの進展により膨大なパーソナルデータが収集・分析され、ビッグデータ時代が到来していること、個人情報として取扱うべき範囲が曖昧であるため、企業が利活用を躊躇していること、個人情報大量流出の事例発生により、個人情報の取扱いについて国民の懸念が増大していること、が指摘されました。
 また、今回の改正で、個人情報の定義を明確化することによりグレーゾーンを解決しつつ、誰の情報かわからないように加工された匿名加工情報については企業の自由な利活用を認めることで、経済を活性化させることや、必要に応じて個人情報の流出経路をたどることができるようにしつつ、不正に個人情報を提供した場合の罰則を設け、不正な個人情報の流通を抑止することに対応している、と解説されました。
 その上で、個人情報の定義の明確化、適切な規律の下での個人情報の有用性確保、利用目的の制限の緩和、小規模取扱事業者への対応等、具体的な改正内容についての説明がありました。

 次に、改正個人情報保護法における匿名加工情報の取扱いについて解説があり、特定の個人を識別できないように個人情報を加工し、復元することができないようにしたものを匿名加工情報と定義していること、作成するときは個人情報保護委員会規則で定める基準に従って加工する必要があり、匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目を公表しなければならないこと、第三者に提供する場合は匿名加工情報である旨を明示しなければならないこと等について、関連条文の抜粋を参照しながら説明されました。

 続いて、平成28年1月1日付けで特定個人情報保護委員会を改組し新設された個人情報保護委員会について解説があり、事業者に対する報告徴収、立入検査、指導・助言、勧告、命令や、事業所管大臣への権限の委任、認定個人情報保護団体に対する認定・認定取消、報告徴収、命令等の機能権限について説明されました。

 さらに、総務省において検討中の改正個人情報保護法を踏まえたガイドライン等の見直しについて紹介され、タスクフォースでの検討状況については、改正により匿名加工情報等の新たな概念が導入されたことから、電気通信事業分野ガイドラインに盛り込むべき記載の整理やガイドラインの既存規定と改正法の規定との整合性の確保等について検討していること、さらにはパーソナルデータ利活用の新たな動向を踏まえたプライバシー保護に係る課題について検討・整理していること、等が説明されました。
 また、法改正を踏まえて実施された事業者団体へのアンケートの結果についても、匿名加工情報や小規模事業者の事業活動で懸念される点に関する意見・要望等が紹介されました。

 最後に、改正個人情報保護法の施行スケジュールについて紹介され、平成29年1月または4月に全面施行される予定であることが示されました。

桑子(くわこ)講師の講演の様子

 

 本セミナーには、愛媛県内外から80名が参加しました。四国総合通信局は、今後もセミナー等の開催等を通じて、ICTに関する最新情報の提供を図っていきます。

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