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南海トラフ巨大地震に備えるICT防災セミナーin高知を開催

 四国総合通信局は、平成28年3月29日(火)に高知市において「南海トラフ巨大地震に備えるICT防災セミナーin高知−多言語(外国語・日本語)災害情報提供システムも紹介−」を開催しました。

 本セミナーは、南海トラフ巨大地震等による災害に備えるため、四国4県の中で最も甚大な被害が想定される高知県において、自治体職員や地域づくりに関心のある方、広く一般向けに、総務省及び関係団体が取組んでいる新たなICT施策を紹介することを目的に開催しました。

会場の様子

 

 最初に、主催者を代表して四国総合通信局 情報通信部の三好 伸明(みよし のぶあき)部長が、「南海トラフ巨大地震の津波被害で、かなりの世帯が孤立することが考えられ、正確な情報の伝達が非常に重要になってくる。情報伝達の手段としては、テレビ、ラジオ、インターネット等様々考えられるが、発生前、発生直後、発生後の様々な場面において、それぞれのメディアを活用していくことが重要である。」と開会のあいさつをしました。

三好(みよし)部長の開会あいさつ

 

 続いて、高知県 危機管理部の渡辺 憲弘(わたなべ のりひろ)副部長から、「災害への備えの中でも、通信手段の確保が重要。防災行政無線やコミュニティ放送等、災害時における様々な通信手段を確保しておくことが、迅速かつ効果的な被災者支援につながる。本日のセミナーが、参加された関係者の皆様にとって有意義なものとなることを祈念する。」と、来賓のあいさつをいただきました。

渡辺(わたなべ)高知県危機管理部副部長の来賓あいさつ

 

 セミナーは、四国総合通信局 情報通信部 放送課の松本 義明(まつもと よしあき)課長の講演「臨時災害放送・コミュニティ放送に関する施策について」から始まりました。

 まず、南海トラフ巨大地震等への対応を総括し、住民等への情報伝達について、「テレビ・ラジオは、災害時でも大量の情報を即時に正確に伝達することが可能である。特に携帯ラジオは災害時に機能を発揮する。常日頃からのメディア特性に配慮した情報伝達が大切である。」と指摘しました。また、「東日本大震災の際は、発生直後から、テレビ・ラジオともに特別編成番組に移行し、長期間にわたり、被災情報・安否情報・生活情報等、必要とされる情報を提供し続けた。」として、災害時における放送の有用性を解説しました。
 次に、四国総合通信局が平成27年6月から実施している自治体への臨時災害放送局用機器の無償貸出しに関して、機器の貸出手順や無線局の免許手順、開設に必要な無線従事者資格等、重要なポイントについて説明しました。また、臨時災害放送局の開設を想定した四国での受信調査の事例として、四国総合通信局が高知県安芸市において平成27年9月に実施した受信調査と、高知県黒潮町が平成27年8月に実施した受信調査の概要を紹介しました。
 最後に、災害時におけるコミュニティ放送の特色として「自治体が発表する停電・断水、救援活動等の情報を、リアルタイムできめ細かく提供することが可能である。」、「送信所等の場所や機材、人材が確保されており、臨時災害放送局へもスムーズに移行可能である。」と解説しました。ただ、コミュニティ放送局の経営状況は全国的にも厳しいため、開設の際には慎重な検討が必要であると指摘しました。

松本(まつもと)放送課長の講演
【講演資料】臨時災害放送・コミュニティ放送に関する施策について(PDF 2.6MB)PDF

 

 続いて、一般社団法人日本CATV技術協会 四国支部の渡辺 稔(わたなべ みのる)事務長が、「四国地域避難所等電波受信調査事業について」と題して講演し、日本CATV技術協会が実施している避難所等電波受信調査事業について紹介されました。

 まず、本事業の意義について、「避難所における災害発生時のテレビ・ラジオ放送の受信状況を調査しておくことは、避難者への情報提供手段の確保に必要な事前対策の判断材料になる。」とし、本事業は「災害発生に備え、避難所等でのテレビ・ラジオ放送の確実な受信に向けて実施しており、調査結果は自治体に報告書として無料で提供している。」と説明しました。
 本事業は、平成27年度を第1期として実施し、平成27年10月から平成28年3月まで、今後南海トラフ巨大地震の発生が想定される徳島県と高知県で実施され、徳島県内ではコミュニティセンターや学校等の避難所60箇所、高知県内ではデイケアセンターやグループホーム等の施設を中心に179箇所で調査したことが報告されました。
 なお、平成28年度以降は、協会予算および平成27年度の実施結果を踏まえて検討していくこととされています。

渡辺(わたなべ)事務長の講演
【講演資料】四国地域避難所等電波受信調査事業について(PDF 440KB)PDF

 

 最後に、一般社団法人ゲートウェイ・アップ・ジャパン(以下、GAJa)の小松崎 道夫(こまつざき みちお)事務局長が「多言語(外国語・日本語)災害情報提供システムの利用開放について」と題して講演されました。

 まず、GAJaの目的について、「現在使用している情報の伝達ネットワークが損壊する可能性を想定し、全ての手段で備え、いずれかの方法で情報を伝えること」、また「平時に使い慣れていることにより、非常時にも情報を獲得しやすくし、非常時のために平時利用を促進し非常時の仕組みを維持すること」であるとし、そのためには「訪日外国人への多言語化した観光と災害情報を伝達するおもてなしアプリ」と「在住外国人や日本人への多言語化した災害情報を伝達するコミュニティアプリ」の整備が必要であると解説されました。
 次に、平時に有効だった情報伝達の手段が失われたときの対策として、アドホックネットワークの検証と社会実装について紹介がありました。これは、車載ルータを活用したアドホックネットワークにて情報を伝搬し、不通となっていないデータ通信網にたどり着いた場合に、インターネットに情報を引渡し伝達するものであり、平成28年の夏から一年ほどの実証実験が予定されています。
 最後に、平成28年8月頃にGAJaが自治体向けに利用開放することを予定している「おもてなしアプリ」について紹介されました。これは、津波アラートの一斉配信と被災地での救護・救援情報等のエリア別配信を可能とする仕組みと外国人旅行者や在住外国人に対する多言語対応災害情報提供の仕組みを備えたクラウドベースのアプリです。訪日外国人へのフリーWi−Fi・多言語災害情報の提供を実現するため、訪日外国人の同意の下、属性情報や測位情報を取得し、広く民間のマーケティング需要を呼び込みつつ、自治体の多言語災害情報提供の仕組みをサポートする一連のエコシステムであることから、開放後の自治体での利用を呼び掛けられました。

小松崎(こまつざき)事務局長の講演
【講演資料】多言語(外国語・日本語)災害情報提供システムの利用開放について(PDF 2.3MB)PDF

 

 本セミナーには、高知県内外から50名が参加し、セミナー終了後には個別の相談会も実施されました。
 四国総合通信局は、今後も防災セミナーの開催等を通じて、災害時における通信手段の確保について考える機会を作って参ります。

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