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「愛媛県内の医療機関における電波利用推進協議会(仮称)」設立準備会合を開催

 四国総合通信局は、平成29年6月14日(水)、愛媛県医師会館において、「愛媛県内の医療機関における電波利用推進協議会(仮称)」設立準備会合を全国に先駆けて開催しました。
 会合には、愛媛県医師会長、愛媛県内の主要病院の院長、愛媛県臨床工学技士会会長、四国医療技術専門学校、通信事業者、医療機器ベンダ、病院建設事業者等の構成員予定者及びIT関連企業などの陪席者を含め50名が出席しました。

 開催に先立ち、塩崎厚生労働大臣からのメッセージが紹介されました。続いて主催者である四国総合通信局 佐藤 裁也(さとう たつや)局長が、
 「高市大臣の経験がきっかけとなり、電波環境協議会に『医療機関における電波利用推進部会』が設置され、昨年4月、『医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き』として取りまとめられた。今回、当局の所在地である愛媛県を軸に医療機関における安心・安全な電波利用推進の中核的な場として、通信事業者、医療機器ベンダ、建設事業者等の皆様の御協力を得て協議会を設立し、周知や対策に継続的に取り組みたいと考えた。また、協議会では、電波管理等の知識を有する人材の育成及びその支援、さらに進めて医療機関におけるICT実装・利活用の推進を行えたらとも考えている。この会合は、全国に先駆けて開催するものであり、全国のモデルとなれるような協議会にしたい。」
と挨拶しました。

佐藤(さとう)局長

 次に、総務省 総合通信基盤局 渡辺 克也(わたなべ かつや)電波部長から、
 「5GやIoTなどの新たなサービスの進展とともに、電波は医療にとって、益々不可欠なものとなる。総務省と厚生労働省では、安全な電波利用に関する周知啓発に努めており、全国の医療機関に取組が広がりつつある。また、病院内での仕組み作りなどの、より具体的な事例が必要との要望が多く寄せられている。そのため電波環境協議会では、病院内での電波利用に関するルールのひな形について検討し、今月中に策定する見込みであり、御活用いただきたい。今月末には、総務省において『全国代表者会議』を開催し、高市大臣から地域レベルでの取組の重要性について号令をかけていただく。愛媛大学石原教授からは、フロントランナーとして、今日の成果など、積極的に情報を発信していただきたい。」
と挨拶がありました。

渡辺(わたなべ)電波部長

 

久野(ひさの)愛媛県医師会長

 

 構成員を代表して、愛媛県医師会 久野梧郎(ひさの ごろう)会長から、
 「我々の医療環境は、医療用の多くの機器が使用されている状況にある。生命を預かる我々の仕事で電波障害による事故があってはならない。機器の面から、電波の面から、あるいは建物の面から関係者に集まってもらい、原因追及と対策の検討を協議会で行うことになる。医師会としても積極的に協力していくので、皆様の御協力をお願いする。」
と挨拶がありました。

 その後、四国総合通信局山下 敬介(やました けいすけ)電波監理部長から、協議会の会則案と今後の予定について説明があり、引き続き勉強会が開催されました。

会合の様子

 始めに、愛媛大学大学院 医学系研究科 医療情報学 石原 謙(いしはら けん)教授から、「フル活用!患者も喜ぶ医療現場の電波資源〜心配性の日本人は電波利用でも自縄自縛〜」と題して講演がありました。

(講演要旨)
1 日本は世界一の平均寿命と医療環境であるにもかかわらず、健康不安を持つ人が多い。

2 心配性で不安な日本人の生命保険契約はGDPの6倍にも達し、世界の生命保険の半分を日本人が支払っていることは、消費経済活動に足かせとなっている。

3 最も日常的な電波活用である携帯電話の規制や文化をみても、マナーの良いことは誇れるが、事故も起こっていないのに、車内や病院内などでの「念のため使わないで」の規制が多く、外国人から奇異に感じられている現状がある。

4 米国の権威あるFDAからの勧告や海外の研究では、携帯電話による医療機器障害の懸念は否定的で、まして一律の禁止規定などは非現実的とされている。

5 遺伝子を見ても日本人は不安になりやすく、アメリカ人は楽天的だが、天変地異の多い日本では災害への念のための備えという不安からの行動は生存にメリットだったろう。だが世界相手のビジネスでは不利。素早い行動なら仮に失敗しても修正ができるが、2番手では世界を動かせない。

6 今、医療機関内で上手に電波を使えば患者も、病院スタッフも、病院の経営陣や、国家や関係企業も、皆幸せになれる。

7 そのための適性のある専門家には臨床工学士などMEの専門家が既に居る。
以上のことを踏まえ医療現場における電波資源の積極的有効利用策を推進すべきである。

石原(いしはら)教授

 

澤部(さわべ)主席研究員

 

 次に、(株)三菱総合研究所 社会ICT事業本部サイバーセキュリティグループ澤部 直太(さわべ なおた)主席研究員から、「病院における電波利用の状況及び電波環境に関する調査結果報告」と題して、平成28年度に実施した調査結果について講演がありました。

(講演要旨)
1 医用テレメータを導入する病院のうち、無線チャネル管理表を適切に保管・更新している病院は4割程度にとどまる。最も多いトラブル事例は「電波が届かない」であり、医用テレメータ導入病院の35%が経験している。

2 無線LANを導入する病院のうち、無線LANのチャネル設計を実施している病院は5割強。主な用途は「医療情報システム用」と「病院スタッフのインターネット接続用」。無線LANの電波環境調査を実施していない病院が3割程度ある。

3 携帯電話の病院内の使用制限については、一部利用可が71.1%、全面使用可が25.1%、全面使用禁止は3.6%。使用制限の理由としては、「呼び出し音や通話による他人への迷惑」と「医療機器への影響」が多い。

4 電波利用機器のルール・手続きを定めている病院は調達のためが17.7%、運用保守のためが16.7%。電波管理責任者の設置率は43%。院内組織の設置状況は27.6%。病院での電波環境の管理体制の整備において専門知識を持つ人材不足が最も大きなネックとなっている。

 四国総合通信局では、本協議会の設立総会を9月目途に開催し、医療機関における電波利用機器の安心・安全な利用の促進及びICTの実装・利活用の推進を図ることを目的に、先進的医療施設への視察や安心・安全な電波利用に関する勉強会等を開催したいと考えています。

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