今後の行政改革の方針(抜粋)

平成16年12月24日
閣議決定

8 地方分権の推進

(1)市町村合併の推進

 地方分権の推進や少子・高齢化の進展、国・地方を通じる財政の著しい悪化など市町村行政を取り巻く情勢が大きく変化している中にあって、基礎的地方公共団体である市町村の行政サービスを維持し、向上させ、また、行政としての規模の拡大や効率化を図るという観点から、与党行財政改革推進協議会における「市町村合併後の自治体数を1000を目標とする」という方針を踏まえて、以下のとおり、引き続き自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化する。

 現行の「市町村の合併の特例に関する法律」(昭和40年法律第6号。以下「現行合併特例法」という。)においては、平成17年3月末までに市町村が議会の議決を経て都道府県知事に合併の申請を行い、平成18年3月末までに合併を行ったものについては、現行合併特例法の規定を適用することとする経過措置規定が設けられており、この経過措置規定の適用期限内にできる限り市町村合併を進めるよう強力に推進する。
 現行合併特例法が失効する平成17年4月以降においては、先般制定された「市町村の合併の特例等に関する法律」(平成16年法律第59号)に基づき市町村合併を進めることとなる。この法律においては、総務大臣が定める基本指針に基づき、都道府県が市町村合併の推進に関する構想を策定し、当該構想に基づいて、合併協議会の設置の勧告、あっせん・調停、合併協議推進勧告等の措置を講じることができることとされており、このような措置を有効に活用することとし、引き続き市町村合併を強力に推進する。

(2) 地方行革の推進

 地方公共団体の行政改革については、これまでも平成9年の「地方自治・新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針」(以下「平成9年地方行革推進指針」という。)等に基づき地方公共団体に積極的な推進を要請し、各地方公共団体において真摯に取組が行われてきているところであるが、社会経済情勢の変化を踏まえ更に積極的な取組を促進するため、以下の事項をはじめとする行政改革推進のための新たな指針を平成16年度末までに策定する。
(ア)
 地方公務員全般にわたる定員管理及び給与の適正化の一層の推進等
 地方公務員の定員管理については、平成9年地方行革推進指針に基づき、各地方公共団体において数値目標を定めた行政改革大綱を策定するなどの取組が行われてきているところであるが、社会経済情勢等を踏まえ、更なる定員管理の適正化をより強力に進めるとともに、定員適正化計画の策定・見直しを推進する。
 地方公務員の給与については、なお一部に見られる不適正な給与制度・運用について、業務の性格や内容を踏まえ、その適正化を強力に推進する。特に特殊勤務手当等の諸手当について各地方公共団体自らが総点検を行うとともに、昇格・昇給の適切な運用について、重点的な取組を行うよう要請する。また、地域の民間給与の状況をより的確に反映し決定できるよう、人事委員会機能の強化をはじめとして、地方公務員の給与の在り方の見直しに向けた取組を推進する。
  さらに、地方公務員の定員・給与等の状況の公表内容の充実を図り、議会や住民への情報公開を徹底する。
(イ)
 民間活力を最大限活用した民間委託等の推進
 民間委託等の推進の観点から、事務事業全般にわたり改めて点検を行うよう要請するとともに、団体区分ごとの委託実施団体の比率、民間委託等の代表的事例や効果等を各団体で比較検討できるよう広く情報提供を行い、積極的かつ計画的な民間委託等の推進を図る。併せて、PFI事業の適切な活用を図るよう要請する。
(ウ)
 指定管理者制度の積極的活用
 現行の管理委託制度により出資法人等へ管理委託している公の施設について、平成18年9月の指定管理者制度への移行期限までに、施設の廃止を含め管理の在り方について総合的に点検するよう要請する。現在直営で管理している公の施設についても、同様に、施設の廃止を含め管理の在り方について総合的に点検するよう要請する。
(エ)
 第三セクターの抜本的な見直し
 第三セクターについては、地方公共団体に対し、第三セクターの経営改善の一層の推進のため、以下の取組を行うよう要請する。
  1.  監査体制及び点検評価の充実・強化、積極的かつ分かりやすい情報公開を行うとともに、統廃合、民間譲渡、完全民営化を含めた既存法人の見直しを一層積極的に行うこと
  2.   特に、指定管理者制度の創設を踏まえ、第三セクターに公の施設の管理を委託している地方公共団体にあっては、第三セクター以外の民間事業者の活用について積極的に検討を行うこと
(オ)
 地方公営企業の経営健全化等の推進
 地方公営企業や地方公社について、民間との適切な役割分担を踏まえた業務の在り方の見直しや民間的経営手法の積極的な導入等により、経営健全化等を一層推進する。
(カ)
 電子自治体の推進
 総合行政ネットワーク(LGWAN)、住民基本台帳ネットワークシステム、公的個人認証サービスなどの基盤を活用し、セキュリティの確保にも十分留意しながら、電子自治体を推進することにより、住民サービスの向上を図るとともに、地方公共団体の業務改革を促進する。
(キ)
 行政評価制度の効果的・積極的な活用
 地方公共団体の政策・施策・事務事業について、行政評価を効果的・積極的に活用し、戦略策定−実施方針決定−実施−評価−見直しといったサイクルを確立・活用することによって、その目的、手段、投入した経営資源等の必要性、有効性、妥当性等を検証し、地方公共団体の効率的・効果的な行政組織運営を図る。
(ク)
 公正の確保と透明性の向上
 地方公共団体が住民等への説明責任を果たし、議会や住民等の監視の下に、地方公共団体における公正の確保と透明性の向上を図る必要がある。このため、情報公開条例や行政手続条例の制定やパブリックコメント手続制度についても引き続き積極的に活用するよう要請する。
 地方公務員の人事制度については、地方分権の進展、住民の行政に対するニーズの高度化・複雑化等に対応して、公務の能率的かつ適正な運営を確保するため、より客観的な評価制度の導入を通じた能力・実績重視の人事制度の確立や職員の任用・勤務形態の多様化の取組を支援するなど、地方公共団体における改革を推進する。
 地方公務員の定員・給与等の状況をはじめとする人事行政運営の状況、民間委託等の実施状況等の取組状況、バランスシート、行政コスト計算書等の財務状況などについて、住民等に対し他の団体と比較可能な形での公表など住民等にわかりやすい形での公表を一層推進するよう地方公共団体に要請するとともに、地方公共団体の行政改革に関する取組状況を平成17年度から順次公表し、優良事例についても幅広く周知を図る。
 また、地方公共団体の効率的な運営を促進し、客観的な指標により経営努力に応える地方交付税の算定を実施する。
 なお、地方公共団体の行政改革を阻害する要因となる国の制度・施策については、不断の見直しを行うものとする。

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