(別記2) 調停条項

調 停 条 項
昭和50年10月28日・11月14日成立

(航空機騒音に係る環境基準の計画的達成)
1 被申請人は、本件空港の航空機騒音を軽減し本件空港を申請人ら周辺住民の静穏な生活環境との調和を保ちつつ運用するため、本件空港に関する航空機騒音に係る環境基準(昭和48年12月27日環境庁告示第154号。以下「環境基準」という。)を達成し維持することを目標として発生源対策、空港周辺対策等の所要の施策を実情に即し計画的かつ段階的に実施すること。
 (1) 被申請人は、当面、環境基準の「5年改善目標」を達成するため、発生源対策として、航空機材の改良及び運航方法の改善等を推進し、環境基準設定当時のWECPNL85の地域における騒音量をおよそ同5低減させること、及び空港周辺対策として、WECPNL85以上の地域に居住する申請人らに対し本件騒音障害の程度に応じ、住宅の騒音防止工事の助成、建物の移転補償及び緩衝地帯整備等の諸対策を円滑に実施するよう努めること。
 (2) 被申請人は、引き続き、環境基準の「10年改善目標」の達成をめざして、発生源対策においては更に航空機材の改良及び運航方法の改善等を推進し、環境基準設定当時のWECPNL85の地域における騒音量をおよそ同10低減させるよう努める一方、空港周辺対策においては、計画的土地利用及び住宅防音方法の研究開発等を促進し、望ましい生活環境の再創造に努めること。更に、最終目標としては、可及的速やかに環境基準を達成するよう努めること。

(機材改良)
2 被申請人は、国際的に認められている航空機騒音基準に適合するいわゆる低騒音大型機への移行が本件空港周辺地域の環境基準達成のための発生源対策の一であることに鑑み、申請人らに対し更に進んで関係資料の開示その他所要の措置を講じるようできる限り努めること。
 また、エンジン低騒音化について、可及的速やかにその改修等を行うため、必要な措置を講じるよう努めること。

(運航方法の改善)
3 被申請人は、航空機騒音の軽減に資するため、運航の安全性に十分配慮しつつ、急上昇方式、ディレイド・フラップ方式等運航方法の改善に努めること。

(便数調整)
4 被申請人は、本件空港の機能、発着回数の削減による騒音軽減寄与度等を総合勘案し、当面の施策として、低騒音大型機の本件空港への就航と相まって本件空港におけるジェット機の発着回数を逐次減少させ、同就航後半年以内を目途としてジェット機の発着回数を年末年始及び盆の時期の措置は例外として、1日当たり200回に減少させるよう努めること。

(発着時刻調整)
5 被申請人は、申請人らの夜間における生活環境の保全のため、国内線及び国際線の利用に著しく不便を与えない範囲内で、本件空港における最終便の予定発着時刻をできる限り繰り上げるよう努めること。

(土地利用の適正化等)
6 被申請人は、本件空港周辺整備の実施に当たり本件空港周辺整備計画を踏まえ、航空機騒音障害に関し第3種区域に指定されている地区については、可及的速やかに緑地帯その他の緩衝地帯としての実をあげるよう努力し、同じく第2種区域に指定されている地区の土地の買上げ、家屋の移転及び除却に対する補償等について、特に実情に即したきめ細かい配慮を行うとともに、大阪国際空港周辺整備機構が代替地の供給事業を適切に行うよう指導すること。

(民家防音工事等)
7 被申請人は、第1種区域に指定されている地区に係る申請人らの住宅の騒音防止工事の助成措置の実施について、更に創意工夫をこらすとともに、その実施につき大阪国際空港周辺整備機構が実情に即して弾力的に対処し得るよう同機構を指導すること。
 また、被申請人は、航空機騒音によるテレビ受信障害対策の実施に当たっては、実情に即し更にその充実に努めること。

(共同利用施設の整備)
8 被申請人は、航空機騒音により申請人らの生活が著しく阻害されていると認められる地区の共同利用施設の設置について関係市と一致協力して、その整備が円滑に行われるよう努めること。

(騒音防止電話の設置等)
9 被申請人は、財団法人航空公害防止協会によって実施されている「騒音防止電話」及び「テレビ音量調節器」の設置について、申請人らの要望をも参酌して適切に行われるよう当該協会を指導すること。

(安全対策)
10 被申請人は、本件空港周辺の地理的条件に鑑み、更に安全運航対策を推進するとともに、空港敷地内にある燃料タンク及び航空燃料輸送の安全対策についても指導を強化すること、また、不測の事態の発生に対処するため空港周辺地域の消防施設を含む安全施設の拡充について関係地方公共団体に協力し、消防救難体制の整備に一層努めること。

(対策実施区域の見直し)
11 被申請人は、本件航空機騒音軽減施策を当該騒音により生ずる影響の程度に応じて経時的に実施することとし、その施策の基準となる地域指定については、適当な時期に関係地方公共団体と緊密に協力して見直しを行うことにより区域指定が適正になるよう努めること。

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