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(別記6) 大阪国際空港騒音調停申請事件申請第1項の取扱いについて

大阪国際空港騒音調停申請事件
申請第1項の取扱いについて
公害等調整委員会調停委員会
昭和55年5月26・27日
 申請人及び参加人(以下「申請人ら」という。)は、大阪国際空港騒音調停申請事件(以下「本件調停申請事件}という。)において、大阪国際空港(以下「本件空港」という。)を昭和五十六年から飛行場として使用しないことを調停事項の一つとして求めている。この点に関し、被申請人は当初から、この問題は国の総合交通体系の一環として取扱われるべきもので、元来、当委員会の調停になじまないものである旨主張し続けてきた。
 当委員会は、この問題は国の内外の社会、経済情勢の急速な変動推移を無視して早急に決着をつけることのできない高次元の国の政策にかかわるものであることを考慮して、まず本件調停申請事件の当面の作業として、申請人らが強く主張している空港騒音対策の樹立と強化を取り上げて調停手続を進め、幸いにして騒音、安全にかかる若干の基本的対策について当事者双方の合意を取り付けることができた。
 次いで、当委員会は、申請人らが求めている騒音等にかかる被害に関する慰藉料等の問題の処理について調停手続に入ったが、たまたま大阪高等裁判所の判決に対する上告事件が最高裁判所に繋属して(最高裁判所昭和51年(オ)第395号事件)審理が進められたため、慰藉料等の請求は元来法律論によって判断せられるものであること、また当委員会は準司法機関であることにかんがみ上告審の最終判断を俟って調停手続を進めることが法律上もまた実際上も妥当であるとの見地に立って、当事者間の合意を求めたが、これまた幸いにして合意が成立した。そこで当委員会は、その際、更に進んで、本件空港の安全対策のための施策を強化し、本件空港周辺都市の土地利用計画を含む環境の整備を都市計画的観点から検討して実施に移すために、被申請人が地方公共団体を始めとする関係人とともにその基本調査や行政施策の策定に当たる必要があることを提唱した。そして、これらの点についてもまた当事者双方の間に合意が成立した。
 このようにして、本件調停申請事件の手続としては、本件空港の存廃の問題が残ることとなった。思うに空港をいかなる地域に設けるかは、国の内外の文化、情報の交流、産業、経済の振興等に密接にかかわる国の総合交通政策の一つであり、その存廃もまた国の重要な施策であることは多言を要しないところである。したがって、当委員会としては、当事者双方が本件空港の存廃を単に騒音等の対策という観点からのみで見ることなく、広く国全体の総合施策の一つとして問題をとらえ、特にこの際、近畿圏全般の文化、情報、産業、経済等と本件空港の機能との関連を更に科学的に調査するとともに、これまでの騒音対策や今後の対策によって、本件空港周辺都市の発展のために支障となる要素がどの程度まで解消できるのか、またこれらの周辺都市が本件空港の便益を利用することによって、都市発展のための新しい機能を生むことができるのか、更に目下調査中の関西国際空港(仮称)の開港が本件空港周辺都市及び近畿圏全般にどのような影響を与えるかなどを種々の角度から真剣に探究し、かくして本件空港の存廃が、関西国際空港の開港時までに、国家的次元において解決されることを望むものである。
 そこで当委員会は、被申請人がこの際、適切な方法で以上に述べた調査研究を行うとともに、最終結論の出るまでの間に、申請人ら、関係地方公共団体その他の利害関係人に調査研究の結果を適宜開示して、これら関係人の意見を充分聴取し、当事者双方とも本件空港の存廃について後日に問題を残さないように努めることを切望するものである。
 
調停条項案の骨子
1 被申請人は、大阪国際空港(以下「本件空港」という。)の存廃を決定するに必要な資料を得るため、例えば、本件空港と空港周辺都市を含む近畿圏の社会、経済との関係、関西国際空港(仮称)の開港が近畿圏に及ぼす影響などの調査研究を行うこと。
2 被申請人は、調査研究を関西国際空港の建設決定後可及的速やかに行い、その結果を申請人ら及び関係地方公共団体等に適宜開示して、その意見を充分聴取すること。
3 被申請人は、関西国際空港開港時までに本件空港の存廃を決定すること。

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