総務省トップ > 組織案内 > 外局等 > 公害等調整委員会 > 広報、報告、統計 > 機関誌「ちょうせい」 > 第111号(令和4年11月) > 公害等調整委員会設立50周年記念シンポジウム「50年を迎える公害等調整委員会」(第2回 パネルディスカッション(1): 公害紛争処理制度の現状及び課題)

公害等調整委員会設立50周年記念シンポジウム「50年を迎える公害等調整委員会」(第2回 パネルディスカッション(1): 公害紛争処理制度の現状及び課題)

公害等調整委員会事務局

 前回に引き続き、去る5月19日に開催された「公害等調整委員会設立50周年記念シンポジウム」の模様をご紹介いたします。
 第2回は、パネルディスカッション(1)『公害紛争処理制度の現状及び課題』です。
 なお、第1回(基調講演)の模様は、こちら別ウィンドウで開きますからご覧いただけます。

全体写真

パネルディスカッション(1)『公害紛争処理制度の現状及び課題』

プログラム

【栗田奈央子(公害等調整委員会事務局次長)】
 次に、パネルディスカッションに入ります。
 それでは、パネリストを御紹介させていただきます。
 公害等調整委員会委員長、荒井 勉 様。
 上智大学大学院法学研究科長・教授、北村 喜宣 様。
 早稲田大学人間科学学術院教授、倉片 憲治 様。
 静岡県公害審査会会長、松田 康太郎 様。
 社会福祉法人品川区社会福祉協議会事務局次長、三ツ橋 悦子 様。
 以上、5名の皆様になります。パネリストの皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、パネルディスカッションに入りたいと思います。
 ただいま北村様から、これまで公害紛争処理制度が果たしてきた役割や評価、将来展望と今後の課題について基調講演がございました。ほかのパネリストの皆様におかれましては、これまで様々なお立場で公害紛争処理制度に携わってこられたそれぞれの御経験から、公害紛争処理制度が今まで果たしてきた役割についてのコメントや御紹介をお願いしたいと思います。なお、最初に自己紹介も含めた御発言を併せてお願いできればと存じます。
 それでは、荒井様、よろしくお願いいたします。
荒井氏講演資料
投影資料はこちらからPDF[PDF 1MB]

【荒井 勉(公害等調整委員会委員長)】
 公害等調整委員会委員長の荒井でございます。
 私は40年間裁判官を務めまして、退官後に、平成29年7月から現在の委員長を務めております。ちょうど今年の6月末で任期の5年を終えるということになりますので、任期の最後にこの50周年のシンポジウムということで、大変感慨深く思っております。  このシンポジウムの開催に当たりまして、壇上の有識者の皆様、また会場にお集まりの皆様、またオンラインでも御参加、御視聴いただいているかと思います。こうした方々に心から感謝を申し上げる次第でございます。また、OBの方々、当委員会の委員あるいは事務局のOBの方々にも多数今日は御出席いただいているようでございます。これまでの当委員会の活動を支えてきていただいた方々にもお集まりいただいたことを大変ありがたく、うれしく思っているところでございます。
 当委員会は、この50年という大きな節目を迎えるに当たりまして、これまでの活動が期待された役割を果たしてきたと言えるのかということを冷静に振り返るとともに、これから先、10年先、20年先といった将来において、国民の環境意識あるいは社会生活の在り方など、環境をめぐる様々な状況、これは刻々と変化していくものでございますので、そういった中で、社会のニーズに応えていくためにはどうしたらいいのかということを考える機会にしたいと考えております。
 ただいま北村先生からは基調講演を賜りました。制度創設当初の理念や議論から説き起こしていただきまして、近年の事件処理における様々な問題を御指摘いただきました。また、将来のビジョンとして、公害に限定せずに、環境紛争として大きく捉えて制度を構築し、地方分権の流れを踏まえて、地方中心で調停主体の制度を構想していくというようなことでございました。
 私ども実務に追われている立場ではなかなか思いつかない、大変示唆と刺激に富む内容でございました。長年環境法を研究してこられた北村先生ならではのお話だったと思います。これからの在り方を考える大きな指針をいただいたと思います。心から感謝を申し上げます。
 1点、実務の立場から補足させていただきたいと思う点がございます。これは御講演の中で、相隣関係の事案について、でございます。確かに、立法当初の議論からすると、現在の運用が変容してきているように見えるのだなということは、今日のお話を伺っても感じたところでございます。
 ただ、私ども実務をやっている立場からの考え方を若干だけ御説明しておきますと、私どもも公害の社会性・公共性という観点から相当範囲性が要件とされているということは重く考えております。その観点から、広がりを持たないような純粋な相隣関係事案であれば、この相当範囲性を満たさないということで却下するということをしております。これまでもシックハウスの事案などはそういう実績がございます。ただ、騒音、音の世界になりますと、音は周辺に伝播する性質がございますので、被害者が仮に1人のように見えても、それがもっと周辺に及んでいる可能性があるということから、仮にそれが隣家の騒音だということであっても、純粋な相隣関係ではないと考えて、原則として相当範囲性を認める運用をしております。
 エコキュートの事案ですとかエアコンの室外機の事案、これは、当委員会だけではなくて、地方の公害審査会でもたくさん扱われているのではないかと思います。これらはそういう考え方に基づくものでございます。もちろん、相当範囲性の解釈として、別の見方、厳しい見方があることは承知しておりますが、私どもとしては一貫してこういう考え方を取っておりまして、法の解釈可能な範囲内で極力被害者を救済したいという観点で、そういう運用をしているということを御理解いただければと思っております。
 私のほうから、まず50年を簡単に振り返りたいと思います。
 御承知のように、当委員会が設立されました昭和47年、これは先ほど北村先生のお話にもありましたように、大きな社会問題となっていた公害に対して我が国が抜本的な対策を取り始めた時期でございます。当委員会は、その対策の一環として、公害紛争処理と土地利用調整という2つの任務を担って設立されました。設立当初からしばらくの間は、水俣病に代表されるような企業による水質汚濁に起因する健康被害ですとか、あるいは水産被害といったものについての調停事件、あるいは大阪空港や地下鉄工事等による騒音や地盤沈下に関する調停事件が係属いたしました。いわゆる産業型公害事案というものが多くを占めておりました。
 その後、平成時代に入りますと、スパイクタイヤによる粉じん被害事案ですとか、ゴルフ場の農薬被害の事案、新幹線等の鉄道による騒音や振動の事案、豊島の産業廃棄物事件をはじめとする廃棄物の事案など、広域にわたる大型事件が多数係属いたしました。その中には、先ほどお話にもありました、いわゆるおそれ公害と言われる事案も含まれております。こうした時代を経まして、国民の努力、あるいは企業や地方公共団体の努力、技術の進歩によりまして、環境は次第に改善してまいりました。産業型の公害事案はほとんど見当たらなくなりました。
 平成の時代の後半、今世紀に入ってからという感じだと思いますが、環境をめぐる国民の意識の高まり、あるいは経済・社会構造の変化などを反映して、近隣の住宅や店舗の室外機からの騒音や、飲食店や工場からの悪臭といった、人口・住宅が密集している都市部における比較的小規模な公害紛争が徐々に増加してまいりまして、最近ではほとんどがこうした都市型・生活環境型の公害紛争となっているわけでございます。
 こうした50年の大きな流れの中で、当委員会あるいは公害紛争処理制度が果たしてきた役割として、誠に雑駁な私の個人的な感想として4点だけ挙げられるかなと考えております。
 1つ目は、行政型ADRとしての役割でございます。御承知のように、スパイクタイヤの事件ですとか豊島の事件などをはじめとしまして、当委員会での調停成立あるいはそのプロセスとしての調査結果を契機に、原因行為を規制する立法につながる、国としての行政施策に大きな影響を与えたということが言えるかと思います。また、豊島の事件では調停成立から22年経過した現在でも調停内容の進行状況をフォローアップしておりますし、宮古島のサンゴの事案でも現在でもフォローアップを継続しているところでございます。また、同種被害を未然に防止するという観点から、調停成立時に委員長談話を発表するなどして注意喚起を促したり、最近の事案でも、関係行政機関に対しまして、事案から得られた知見を提供して、注意喚起をしたケースもございます。これらは全て行政型ADRとしての機能と言えるかと考えているところでございます。
 2点目として、職権調査を活用した事案の解明と紛争解決の機能ということを挙げました。当委員会の特徴であります国費の負担による職権調査、これが十分に活用されて、それによって事案の解明と解決に大きく貢献しているように思います。そして、それを支えていただいているのは、各方面の専門家で構成されております専門委員の存在でございます。30名弱のメンバーが専門委員に登録されておりますけれども、事案に応じて新たに選任する必要があるという場合でも、タイムリーに適切な専門委員をお願いできております。それは、当委員会の事務局が多くの省庁の出身者で構成されておりますために、様々なルートを駆使して各分野の専門家を選定できていると思います。この点は、裁判手続などで適切な鑑定人を選任するだけで大変な時間と労力を費やすということが経験上ありますので、それを考えますと、この公調委の制度において、専門委員の制度は非常に大きなアドバンテージになっていると思います。
 専門委員の方々には、お忙しい中、事件の処理の当初から様々なアドバイスをいただいて、また、多くの場合、現地調査にも同行していただいて、現地を見聞した上で的確な意見書を執筆していただいております。専門的知見に基づく判断を特徴とする当委員会の手続を支えていただいているのは、この専門委員制度であると言っても過言ではないのではないかと思います。これは内部で仕事をして初めてそのありがたみを痛感している状況でございます。
 3点目ですが、紛争解決の多様性と、裁定と調停の柔軟な運用ということを挙げました。当委員会の事件処理は、先ほど御説明しましたように、当初、大規模事案のときは調停手続がほとんどでございましたけれども、事案が小規模な都市型・生活環境型になるに従いまして、裁定申請事件が大半を占めるという状況になっております。ただ、裁定事件でありましても、委員会のほうで、これは和解相当事案であると判断した場合には、職権調停に付しまして、当事者間の調整を試みて、その結果、調停が成立するというものもかなりの件数ございます。最近の統計では、終結した裁定事件の二、三割、そのような形の解決を見ておりまして、裁定と調停の柔軟な運用がある程度できていると考えております。
 また、裁定においては現地に赴くということを基本線にしておりまして、現地調査あるいは現地での期日の開催ということで当事者の負担軽減を図っております。
 また、多様性という点では、加害行為と被害との因果関係だけを判断する原因裁定という手続、これは当委員会ならではの独特な手続と言えるものでございます。最近ではこの原因裁定の利用がかなり拡大してきておりまして、責任裁定申請よりも原因裁定申請のほうが多い年も見られるところでございまして、多様な紛争解決のニーズに対応しているということが言えるのではないかと思います。この原因裁定に関しては、裁判との連携という点でも重要な意義を有します原因裁定嘱託、こちらについても最近かなり利用が拡大しているという状況にございます。
 4点目ですけれども、地方と中央との役割分担ということを挙げました。近年では調停による紛争解決はほとんど都道府県の公害審査会等に申請されておりますし、また、最も身近な環境問題につきましては、地方自治体の公害苦情相談によって機動的に解決していただいております。この公害苦情相談では典型7公害以外の事案も幅広く取り扱っておりまして、最近の統計でも全体の約3割は典型7公害以外の事案ということになっております。また、当委員会に申請された裁定事件を見ますと、その約4分の1は公害審査会の調停を経て申し立てられているという状況でございまして、これらからいたしますと、地方の公害苦情相談、公害審査会、そして中央の当委員会の3者で合理的な役割分担が一定程度機能していると言えるのではないかと思います。
 そうした観点から、機関誌の活用ですとか、あるいは各種研修の充実ということを通じて、もちろん十分とは言えないですけれども、当委員会と地方の公害担当者との情報交換や連携が徐々に深まってきているように感じられるところでございます。
 このような感想を持っております。極力、客観的な見方を心がけたつもりですが、何といいましても、内部におりますので、手前みそになっている部分も多々あろうかと思います。先ほどの北村先生の御講演にありますように、現状についての問題点あるいは将来の課題といったこともあろうかと思いますが、それはこの後のテーマの中で触れたいと思います。時間を大分超過いたしまして、失礼いたしました。私からは以上でございます。
荒井氏
【栗田】
 ありがとうございました。続きまして、倉片様、よろしくお願いいたします。

倉片氏講演資料
投影資料はこちらからPDF[PDF 0.2MB]

【倉片 憲治(早稲田大学人間科学学術院教授)】
 私、倉片と申します。公害等調整委員会では専門委員という立場で随分長いこと携わらせていただきました。今日もその立場でお話をさせていただこうかと思います。ただ、専門が騒音なものですので、今日のお話は騒音に関することが多くなるかなと思います。しかも、法律的な話ではなくて、どちらかといいますと技術的なお話になるかもしれません。そうはいいましても、騒音は苦情の件数としてはかなり多くの割合を占めるかと思います。集計の仕方にもよるかもしれませんけれども、半分ぐらいが騒音に関するものでしょうか。また、ほかの公害とも関係するところ、通ずるものがあるかと思いますので、そういった立場で、何か今回皆様にお役に立つお話ができればなと考えております。
 今までのお話を受けまして、私のほうからは、環境に対する一般の人の意識あるいは企業側の対応の変化というものにちょっと触れてみたいと思います。
 昨今のこの50年間の間に何が変わってきたといいますと、言うまでもなく、環境、公害に対する社会の意識とか、あるいはそれに応じて対応する公調委の課題というものはもちろん大きく変わってきたかと思います。まず何よりも社会全体の環境に対する意識が非常に高くなってきておりますし、もう一つ、個人ですね。個人が環境に対してどのように考えるかという権利意識、個人の権利意識というのが強くなってきているというのが特徴ではないかなと思います。
 つまり、公害といいますと、公共の利益と、もう一つ個人の権利と、その対立が典型的な形かと思いますけれども、例えば航空機騒音なんていうのはまさにその例かと思いますが、そういったものは比較的少なくなってきまして、最近は個人の利益と別の個人の権利、その対立が強くなってきているのではないかなと感じます。例えば、今日幾つか取り上げようと思いますが、先ほども委員長のお話にもありました近隣騒音とか、あと地方ですと野焼きですか。それも似たような事例かもしれません。
 繰り返しよく言われていますけれども、騒音公害が産業型から都市型・生活環境型に変わってきたというのは、単純に産業構造の変化云々ということだけではなくて、今申しましたように、個人の権利意識でしょうか。あるいは、自己とほかの人を切り分けるプライバシー意識と言ったらいいかもしれません。自分のテリトリーに踏み込んでほしくないと、そういう意識ですね。そういうものがどうも私、背景にあるのではないかなという感じがいたします。
 その個人の権利意識といいますのは、裏を返しますと、他者に対する不寛容さ、それが増えていると言えるかもしれません。いわゆる「お互いさま」が利かない世界、そういう状況ですね。そういった、他者に対して過度に防衛的になるといいますのは、いわゆる、よく言います「お一人様」とか、あるいは、そうでなくても、何らかの事情で一人暮らしをすることになった、そういう人が増えているというのもあるのかもしれません。1人で住んでいますと、自分の身の回りのことというのは自分で常に監視しないといけないですので、ほかの人に対しても勢い警戒心を抱いたり猜疑心を抱いたりということが増えてくるかもしれません。そんなのが原因になっているのだというような考察もあります。
 結果的に、企業の側から見ますと、これまでの例えば有害物質を出してはいけないとか、何々してはいけないという明確な基準というのはだんだん作りにくくなってきて、一人一人、それぞれ大切にするものが違っていますので、先ほどの日照権の話ではありませんけれども、そういった意味で公害の問題の発生を予測しにくい事態に企業としては直面している。予想外の苦情、あるいは人によって異なる苦情に対応しなければいけないというつらい状況に直面しているのかなという感じを抱いております。私からは以上です。
倉片氏
【栗田】
 ありがとうございました。次に、松田様、よろしくお願いいたします。
【松田 康太郎(静岡県公害審査会会長)】
 平成30年に静岡県公害審査会の会長をお引き受けいたしまして、その翌年から公害等調整委員会の政策評価懇談会の構成員を務めさせていただいております。本業は静岡市内において弁護士をやっております。
 静岡県公害審査会のここ7年間の申立件数は、平成27年度が2件、平成28年度が5件、平成29年度が2件、平成30年度が1件、令和元年度が2件、令和2年度が1件、令和3年度が1件の合計14件となっております。平均すると年2件のペースとなります。先ほど事務局から報告がありましたが、大体平均どおりになっております。
 この7年間に申し立てられました事件の結果を見ていきますと、うち係属中が1件、成立が4件、残りが打切りないし取下げとなっております。件数だけ見ると、ちょっと寂しいというイメージを抱かれるかもしれませんが、後で現状のところで細かく述べさせていただくとおり、この制度は非常に重要な制度であると思っております。
 先ほど北村先生から御指摘のあった日弁連から令和2年2月21日付『公害紛争処理制度の改革を求める意見書』というものが出ておりますが、これはネットで調べればすぐ出てきます。これは基本的に紛争処理制度としての現行制度を否定するものではなく、存在価値を認めつつ、さらなる拡充を求めているものであると認識しております。先ほど講演にもありましたが、拡充するに越したことはないのですが、簡単な問題ではないというのも皆さん御承知かと思います。戦後の高度経済成長に伴うひずみの一つである公害問題から広く環境問題に国民の意識が向けられているというような状況にあることは衆目の一致するところですが、先ほどの北村先生御指摘のとおり、どこで議論するかという話になると、やはり民主的な機関を通じて議論を深めていかざるを得ないのではないかと思っております。
 ただ、その風が吹いていないと北村先生はおっしゃったのですけれども、実際に統計で典型7公害以外の問題が出ております。これが何なのかというのを分析していく必要があります。これは環境問題とはちょっと違う可能性もありますけれども、典型7公害以外の問題について、どのように類型化ができるのか、どのように調整することができるのかということを研究していくことによっても、いろいろなまた問題提起ができるのではないかなと思っております。この点については以上になります。
松田氏
【栗田】
 ありがとうございました。最後に、三ツ橋様、お願いいたします。
【三ツ橋 悦子(社会福祉法人品川区社会福祉協議会事務局次長)】
 皆様、こんにちは。今回、50周年の公調委の設立ということで、本当に長い間設立されていて、また今後の展開ということもありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、環境の部門の現場サイドとして環境の係長、苦情相談とか環境調査という部分を実施、着任しておりまして、その後、スライドして環境の課長ということで実際に携わっておりました。そして、今、いろいろな部署を踏まえて、社会福祉協議会という事務局の次長に着任しているところでございます。
 今回、北村先生の講演でございましたが、なかなか現場は、目の前の苦情だったり、電話だったり窓口であったり、本当に大変で、非常に苦労しているという部分が本当に、何ていうのですかね。実際に携わった職員として、本当に大変だということは十分承知していて、現場の皆様方の御苦労を本当にねぎらい、偉そうに言うつもりはないのですけれども、ねぎらいたいなと思っているところです。そして、目の前の苦情だけではなく、今回の講演は、50周年ということで、なかなか自分たちがひもとかない部分からずっと歴史を追って教えていただいているので、貴重な講演だったと思います。ありがとうございました。以上です。
三ツ橋氏
【栗田】
 ありがとうございました。ディスカッションを続けてまいります。続きまして、討議のほうに移ります。
 公害紛争処理制度は、今年で50周年という節目に当たりますが、公害紛争処理制度が、環境の保全や、国民の期待に応えるため、現在どのように機能しているのか、パネリストの皆様がそれぞれのお立場から見た現状と課題について御発言をお願いいたします。
 まず三ツ橋様、よろしくお願いいたします。
【三ツ橋】
 現場の部分を踏まえて――私、公害等調整委員会の公害苦情相談アドバイザーの立場から、こちらに参加させていただいております。
 現場は本当に大変で、私が公害苦情相談アドバイザーとしてそれぞれの部署に行く場合には、大きくポイントを3つ伝えております。
 まずは初期対応を丁寧にということです。こちら、最初の段階でボタンの掛け違いになってしまうと、どんどん大変な苦情になってしまいますので、そこはすごく丁寧にということを考えております。
 また次に、現場確認というのは原則というふうに考えております。これは、ただ単に電話で聞いただけではなく、実際に現場に行ってみると、あっ、そうだったのかということがいろいろありますので、やはり現場の確認というのは原則として大事だと思っております。
 そして最後に、誠実な対応と考えております。これは、約束したら必ず守る。例えば、いついつ行きますよと言ったときに行けない場合は、もちろんいろいろな理由があって行けないこともあると思うのですけれども、そういう部分に関しては、こういう理由で少し延びますよとか、こういう理由でほかの者が行きますよとか、そういうふうに言っていって、本当に現場が大変にならないように少しのアドバイスをしているところです。
 そして、職員の皆さんのモチベーションが下がらない、できるだけ上がっていけるようなことを考えたり、またストレスですね。ストレス解消するのは、睡眠、食事、様々な部分があると思うのですけれども、そういうことを考えながら、現場の一人一人が元気になるように考えているところです。また、自分たち一人一人で抱え込むのではなく、係であったり課であったり、そして、私は東京の品川区なのですけれども、23区の連携というものが大事だと思っております。以上でございます。
【栗田】
 ありがとうございました。
 続きまして、松田様、よろしくお願いいたします。
【松田】
 私は、静岡県にあります藤枝市役所というところで、よろず相談というものを担当しております。このよろず相談は、弁護士が直接相談者から相談を受けるという普通の法律相談とは少し異なっておりまして、藤枝市独自と思われますけれども、人権擁護委員の先生や民生委員の先生、行政相談員の先生などが2人1組になって、今2つの島なのですけれども、2つの島をつくりまして、お困り事を何でも相談してくださいというような体制になっています。その中で、弁護士が必要なときには弁護士が対応するというような立てつけになっております。
 ここは法律問題を全面的に押し出すのではなくて、法律相談に至るかどうか分からないというような相談事もたくさん来ます。まさにそれがこの相談を設けた目的であると思いますけれども、相談に来る方というのは、これが法律問題なのかどうかというのは正直言って分からないわけですね。だから、いざ弁護士に相談に行って、「これは法律問題じゃありません」と言われるよりは、「これは法律相談で弁護士に相談したほうがいいね」というような立てつけにしたほうが相談しやすいのだろうなと思っております。そのような性格もあって、例えば相談事には近隣トラブルも一定程度存在します。中には、市の公害苦情相談窓口やほかの担当部署に相談されて、その担当者が「よろず相談で相談を受けてください」というふうに回すケースもあります。その相談の中で典型7公害に該当しそうなものについては、私は静岡県公害審査会を紹介することにしております。
 そのようにしても必ずしも公害審査会に対する申立てに結びつくというわけではありませんけれども、公害問題で困っている人は、まず自分の住む市町村に相談することが多いものですから、市町村の相談から県の公害審査会へ、そしてさらには公害等調整委員会への接続を確保するというのが非常に重要ではないかなと思っております。
 公害審査会の果たす役割なのですけれども、公害審査会への申立ては、さきにも述べましたとおり、件数が多いとは言えませんけれども、重要な役割を果たしていると私は思っております。
 日弁連の先の意見書でも触れられておりますけれども、公害問題を訴訟的に解決しようとすると、いろいろな問題があります。代表的なものとしては、時間がかかり過ぎることや解決方法が限られているということがあります。解決方法が限られているというのは、損害賠償という金銭的な解決か、公害の原因の差止めということぐらいしかありません。また、訴訟になると完全に敵対的になるという印象を抱かれることも多いため、近隣紛争では避けられるという傾向にあります。
 その点で、公害審査会が行政を利用した話合いの手続であることによって、時間を短縮することが可能であることや柔軟な解決が可能であるということがメリットになると思います。最適な事案としては、当事者双方が話合いによる解決を望んでいるのだけれども、双方その解決手段が見つからないため困っており、その方たちに適切な方法を教えてあげることができれば解決につながるというような事案です。そのような事案というのは幾つかありまして、実際に後ほど紹介しますが、そのような事案については非常に役に立つ制度だと思っております。公害審査会におきましては、委員の中に産業技術の専門家を入れる場合がありまして、静岡はそうなのですけれども、裁判官や弁護士では発想することができない柔軟かつ効果的な解決方法を提示してくれることがあります。
 また、公害等調整委員会の原因裁定ほどではありませんけれども、またこれは県によっても異なってくるとは思いますけれども、知識を有する職員が専用の機器を用いて、騒音を測定したり、臭気を測定したりすることができる場合があります。素人である一方当事者が測定したものと違いまして、第三者である職員がある程度の知識を基に正確に測定するということによりまして、その数値には一定程度の説得力が出てきます。訴訟などで苦労するのはその証拠集めでして、資金が潤沢にある依頼者であればいいのですけれども、そういう方たちばかりではありませんので、専門業者に委託することができません。そうすると、訴訟等の解決も諦めざるを得ないということになってきます。弁護士としては、客観的な数字によってその後に採る手段もいろいろと異なってきますので、その意味でも非常に意味があると思っております。
 これは静岡県公害審査会で取り扱った事案になりますが、ちょうど先ほどの事務局の報告にも入っていた案件です。食品加工工場で加工の際に粉じんが発生しました。それが近隣の住民からクレームが来て、それが調停になったという事案です。解決までに4回の調停期日で9か月ほどかかっておりますが、無事に成立して解決したという事案になっております。これは専門的な知識を有する産業技術に関する専門家のアドバイス等を生かして解決した事案となっておりまして、まさに訴訟では解決できないという事案です。公害審査会にかけていただいて本当によかった事案ではないかなと思っております。
 調停なので、成立すればそれが一番いいわけなのですけれども、成立しなければ駄目なのかという問題も考える必要があろうかと思っております。弁護士という世界は、もちろん和解で終わる案件も多いわけですが、勝訴、敗訴があって、片方の依頼者の方は涙をのむということもあります。ただ、私の依頼者が敗訴したときでも、依頼者によっては「ありがとうございました。言い分を十分聞いてもらえて本当にうれしかったです」と言ってもらえることがあります。
 市町村の相談を受けて、県の公害審査会で実際調停に申し立てられなかった事案でも、多分県の職員の方が地道に聞き取りする、その前にも市の職員の方が地道に聞き取りをするということがあろうかと思います。そのように聞き取りを十分にしてもらえた、自分の言い分を聞いてもらえたということでも人間というのは非常に高い満足感を得られることがあって、結果として相談された方の原因は除去されないとしても、心の安寧は得られているケースも多いのではないかなと思っております。ですから、成立だけに目を向けるのではなくて、相談される方の心に沿った対応をされるということ、先ほど三ツ橋先生もおっしゃっていましたけれども、そういったことによってかなり解決する問題もあろうかと思いますので、これは非常に重要な制度だと思っている次第です。以上です。
【栗田】
 ありがとうございました。
 次に、倉片様、よろしくお願いいたします。
【倉片】
 私のほうからは、現状と課題ということで、近隣騒音をテーマにお話ししたいと思うのですが、要点をスライドにまとめてみました。
 まず皆さん感じるところは恐らく、近隣騒音というのはそもそも公害なのかと。先ほど北村先生、荒井委員長のほうから、相隣関係とか相当範囲性なんて言葉が上がっていましたけれども、私、法律上の建付けはよく分かりませんが、技術論的に考えても、近隣騒音はやはり公害と捉えておくべきではないかなと考えています。
 理由は2つありまして、1つは、何か新しい技術とか新しい製品というのが世の中に出てきたときというのは、必ずと言っていいぐらい騒音問題が起こるのです。それが近隣の騒音の問題だからといって無視していると、その後、重大な大きな騒音問題につながる、その可能性を見過ごしてしまうということがあるかと思うのです。例えば、これは近隣騒音と言わないかもしれないですけれども、皆さん御存じの、よく問題になりましたのは風力発電施設の騒音です。ああいった大きな、30メートル、40メートル、もっとありますか。ブレードという羽根ですよね。あれが民家の近くでぐるぐる回ったときに一体何が起こるだろうかということをあらかじめ予測できた技術者、あるいは行政担当者というのは恐らくいなかったのではないのかなと思います。
 公害というのは恐らく最初は本当に小さな、ローカルな問題から始まるのだと思うのです。さっきちょっと水俣病の話もありましたけれども、水俣病も、私が聞いている話では、最初は、港近くによたよた変な歩き方をしている猫がいると。後になってそれを振り返ってみると、実はあの猫は水俣湾の魚を食べた猫だったのだと、後になって事の重大さに気がつくわけなのですよね。そんなことも考えますと、最初は小さな近隣問題だったかもしれないけれども、それが全国的な規模で広がりかねないということも考えて、まずは慎重に扱うべきではないかなというのが1つ目の理由です。
 2つ目の理由ですけれども、騒音は特にそうだと思うのですけれども、騒音というのは全ての人が加害者になり得るのです。
 ちょっと野焼きは別かもしれないですが、大気汚染とか水質汚濁といいますのは、あれは公害と言えるレベルの被害を起こすためには相当な物質をばらまかないといけませんので、個人ではできなくて、大体企業レベルの問題ですよね。
 ところが、騒音というのはそうではないのですよね。先ほども委員長の例で挙がっていましたけれども、家庭用のヒートポンプ給湯器とか、あと燃料電池を使ったコージェネシステムもそうですが、ある家が設置して、その音が隣の家に届いて被害を起こすということがありますね。今は被害者かもしれないですけど、被害者のおうちもそのシステムを導入したら、今度はその被害者だった人が元の加害者に対して、あるいはそのほかの近隣の住民に対して被害を及ぼしてしまう。加害者とか被害者という言い方は公調委の場合にはふさわしくないかもしれないですが、話を分かりやすくするために言いますと、そういうことです。ですので、加害者が被害者になり得て、被害者がまた逆に加害者になってしまうことがあるというのが近隣騒音の特徴なわけで、そうした場合に、では、本当の意味での被害者は誰なのだろうかということを我々考えないといけないわけです。
 恐らくその場合の被害者というのは、例えばそういう何とかシステムというものは環境のために良いものだという宣伝文句に引かれて買った人たち、あるいは、ちょっと批判めいた話になりますけれども、国のエネルギー政策でそういうものが必要だということを言われて信じて買ってしまった、つまり、さっきの加害者、被害者、両方ともが被害者なのですよね。ですので、そういった意味で考えますと、近隣騒音とはいいましても、行く行くはそれが公の被害となって、日本全国にやはり広がっていく可能性というのがあるわけです。
 よく紛争処理制度の場合に「被害者の救済を」というような言い方をしますけれども、それはそうなのですけれども、近隣騒音の場合になって考えますと、では本当に我々がその問題を通して是非を問わなければいけないものは何なのかといった場合には、そういうローカルな問題ではなくて、もっと大きな、例えばそういった脱炭素と言われるようなエネルギー政策は本当に正しいのかどうかということを考えなければいけない。そちらがむしろ本来の問題なわけですね。
 そういうふうに考えてみますと、近隣騒音の問題というのは決して当事者、2つの家の問題だけではないということになります。また、誰もが加害者になり得るということを考えますと、極端な規制を加えたりとか、あるいは使用者に対して重過ぎる責任を負わせたりというのは、行く行く、住みにくい、ぎすぎすした世の中になっていってしまうのではないかなということを私、懸念いたします。ですので、新しい問題、騒音問題が発生したときも、言わば悪しき前例をつくらないように、一つ一つの事件を、何が本当の問題なのかということを考えながら丁寧に対応していくということが我々公調委には求められているのではないかなということを日々業務に携わりながら感じます。以上です。

パネリスト

【栗田】
 ありがとうございました。次に、北村様、よろしくお願いいたします。
【北村】
 先ほど荒井委員長が近隣騒音、近隣公害についておっしゃいました。これは非常に興味深い整理でした。と申しますのは、委員長がおっしゃったのは、客観的に影響というのがそこそこ広がって、言うならば、両当事者が相隣関係的にしかいなくても、それは相当範囲性があるのだと、こういう御整理をなさったということです。要するに、潜在的な被害者も考えろと。そして、公調委というのは、そこに救済の手を差し伸べていくのだということになりますと、結構、潜在的被害者との関係では未然防止的なこともやっていると整理されるわけですね。私はそのような見方でこの法律を読んだことがなかったものですから、非常に勉強になりまして、ちょっともう一度読み直してみたいと考えました。どうもありがとうございました。
 今の騒音のところも非常に示唆的ですね。一般的に騒音規制法といいますと、業として何かやっているというのが規制対象になります。基本的に家庭というのはそうではありません。家庭には悪臭防止法だって、騒音防止法だって入っていかない。そこで、しかしながら、多くのものが起こっているという現状をどう考えるのかとなってまいりますと、これはマナーの話ですかということになってまいります。しかし、そういうことがなかなか共有されていないというのは、先ほど静岡の例でも、お一人様という話もございましたので、そういう点にもつながるかなと考えたところです。
 一個一個の紛争事例がどのようなメッセージを発しているのかということを行政担当者としてどのように受け止めるべきなのかということも結構重要かと考えます。しかし、この制度を運用なさっている都道府県、市町村の御担当者が、そういう規制関係のところの担当者であるのかというと、必ずしもそうでない。組織間で個々のケースが発するメッセージをどう共有して対応していくのかというのは1つ大事なように思われます。応答的な組織であってほしいというのが私の期待です。
 法律も曖昧なことが多いのです。先ほど野焼きの話をなさいました。野焼きも最近すごく問題になっているようですね。あれも実は廃棄物処理法で一応ルールはあるのですけれども、ただ、軽微とか、やむを得ないとか、そうなってきますと、一線が引けないというところで、御指導なさっている方は本当にお困りのようです。あるところでは、そういう法律が曖昧過ぎるところに踏み込んで、もう少し具体的に地域ルールをつくっていくことで合意していくというようなこともされているようです。
 過去のケースがどういうメッセージを発しているのかということを自治体として受け止めて、ルールづくり、場合によっては条例対応ということにつなげていくという、この紛争処理制度が潜在的に持っている動態的な法の展開も、この制度の効果、機能として注目していきたいと考えました。
北村氏
【栗田】
 ありがとうございました。最後に、荒井様、よろしくお願いいたします。
【荒井】
 私のほうからは、公調委として現在考えている課題として3点挙げたいと思います。
 1つ目は、広報の一層の強化の必要性ということであります。この公害紛争処理制度が国民に十分に認知されていないという状況を打開するために、近年はかなり広報に力を入れてきております。国民一般、法曹関係者、市区町村の公害苦情担当者など、対象を分けて、それぞれの広報ツールを工夫したり、講演会や周知文書を配布するようなことをしているところでございまして、ある程度その成果も現れているように思います。その顕著な現れが、先ほどもちょっと触れましたけれども、裁判所からの原因裁定嘱託の利用状況でございます。これは当初はほとんど利用されておりませんで、四十数年たっても合計で13件ぐらいしか係属しておりませんでしたけれども、昨年度は、昨年度だけで4件受理しております。そういう形で広報の効果がある程度現れている。
 また、最近では当委員会のホームページもかなり充実してきておりますし、本年4月からはツイッターも開設するといったような様々な工夫をしているところでありますけれども、まだまだ十分とは言えないと思います。今後さらに政府の広報ですとかSNS、各種広報媒体などを含めて、年齢、関心などに応じた取組を積極的に進めていきたいと考えています。
 2点目は、地方との連携の強化の必要性でございます。先ほど来出ておりますように、近年の動向として、ほとんどが都市型・生活環境型の公害紛争になっております。また、最近の新型コロナウイルス感染症の拡大など、国民の生活環境の変化などによって、公害苦情の相談件数、大幅に増加しているというような状況に照らしますと、地元密着で紛争解決を図る都道府県の公害審査会あるいは地方自治体の関係職員の役割は、ますます重要なものとなってくると思います。そうした観点から、機関誌の充実あるいは研修の充実といったようなことを考えて、地方公共団体の担当者と当委員会との情報交換を一層深めて、連携を強化していく必要を感じております。また、地方公共団体の公害担当者の方々も、先ほど三ツ橋先生から、非常に慌ただしく日々に追われているというお話が出ましたけれども、担当者のノウハウを伝承していくとか、あるいは人材を育成していくというようなことも課題であろうと考えております。ここら辺につきましては、地方で担当されている皆様から、実情や、あるいは当委員会への要望など、御意見をお聞かせいただきたいと考えているところでございます。
 3点目は、少し中身の問題であります。先ほどもお話が出ておりましたけれども、環境に敏感な被害者に対する対応でございます。日々事件をやっておりますと、以前と比べて、生活環境は大幅に改善しております。その反面として、各人の環境に対する意識が高くなってきている。近隣に対する環境意識、要求水準、逆に言うと被害意識というものが高くなってきているように感じられます。先ほど倉片先生も言われましたけど、都市部における個の意識というのでしょうか。仲間意識というものが希薄化してくる、「お互いさま」というような意識が希薄になってきているということもベースにあるような気もいたします。昨今のコロナもそれを助長しているということが言えるかと思います。
 こうした事案を検討する際にいつも考えるのは、受忍限度をどのように考えたらいいかということで、大変悩ましいと思います。社会生活の在り方ですとか、あるいはそうした環境への意識によって、受忍限度というものは変動していくべきものだろうとは思いますけれども、かといって、そういうことに即応して受忍限度を考えていっていいのだろうかと。敏感になったからといって基準を高めていっていいのだろうかというと、そこはなかなか困難な問題をはらんでいるように思うところでありまして、今後とも幅広い観点で多角的に受忍限度のありようということを継続的に検討していく必要があると考えているところでございます。私からは以上でございます。
【栗田】
 ありがとうございました。

次回予定

 次回の公害等調整委員会設立50周年記念シンポジウム「50年を迎える公害等調整委員会」(第3回)では、パネルディスカッションのテーマ(2):公害に関する紛争処理の将来展望の紹介を予定しています。引き続きご覧ください。

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