「情報アクセシビリティ好事例2023」開催結果の公表
1.開催目的
誰もがデジタル活用の利便性を享受し、豊かな人生を送ることができる社会の実現のためには、ICT機器・サービスの情報アクセシビリティの確保が重要であることから、
総務省では、
(1)国民全般に広くアクセシビリティに配慮した製品を知っていただくこと
(2)情報アクセシビリティに特に配慮している企業等やその取り組みを奨励すること を主な目的として、令和5年度からの新たな取組として情報アクセシビリティ好事例を募集し、審査の結果、24件の製品・サービスを「情報アクセシビリティ好事例2023」として公表することとしました。
2.開催結果
3.開催概要及び審査総評
開催概要及び審査総評は以下のとおりです。
1.開催概要
(1) 募集期間:令和5年11月7日(火)から令和6年1月19日(金)
(2) 対象製品:情報アクセシビリティに配慮したICT機器・サービス
※「ICT機器・サービス」は、以下を指します。なお、自社で開発・製造しているICT 機器・サービスのみを対象。
・パーソナルコンピューター ・電気通信機器 ・ウェブコンテンツ
・アプリケーション ・事務機器 ・対話ソフトウェア
(3) 応募数:24件
(4) 審査:審査項目(※)に基づき、書面による審査
本年3月に審査委員(学識経験者、障害者団体及び業界団体)による審査会を実施
(5) 審査結果:24件のすべてを好事例として公表
※審査項目
(1) 情報アクセシビリティに配慮したICT機器・サービスであるか。
(2) 当該ICT機器等の開発にあたって、高齢者・障害等当事者、支援者等の状況を理解している専門家の意見を踏まえているか。
(3) 企業として、情報アクセシビリティに取り組むための対応がとられているか。
2.審査委員の総評
今年度初めての取組であったが、国内外を問わず24件に及ぶ多様なICT機器・サービスの応募があった。一般向けのICT機器・サービスで、情報アクセシビリティに配慮したものもあれば、特定の障害に特化した福祉的な支援機器・サービスなどもあった。
個人開発者から企業等まで事業規模に関わらず全ての応募者に共通していたことは、社会貢献に対する真摯な姿勢とユニバーサル社会実現に向けた高い志であり、審査委員一同、深い感銘を受け、心から敬意を表するものである。
各審査項目に基づく審査の概要は、以下の通りである。
○審査項目(1)製品の情報アクセシビリティへの配慮
一般向けで情報アクセシビリティ対応に努めている製品については、専門職を含む様々な職種において多様な人が従事・活躍することを視野に入れた工夫がなされている点が高く評価された。また、いわゆる支援機器・サービスについても、最新技術を活用した多様な機能を備えたものでありつつ、障害の特性に応じたカスタマイズが可能なものや、シンプルな操作性が確保されている等、円滑なコミュニケーションの実現や日常生活の質を向上させる価値の高いICT機器・サービスを提供している。また、提供後のサポート体制についても、直接利用者の元に出向き、様々な療養シーンに対応できるよう調整し改善工夫を行っている点などが高く評価された。
○審査項目(2)当事者ニーズを踏まえた開発
例えば、障害当事者を含めたチーム体制で開発、利用場面を広範かつ具体的に押さえ、ろう学校等の協力を得ながら開発するなど、各事業者が様々な取組を行っていることが分かった。企画・開発・提供後のそれぞれの段階において、実際の利用者のみならず、支援者、家族、地方公共団体の関連部局、当該分野の専門家等の意見を丁寧に把握したり開発過程で体験してもらったりすることで、より高いクオリティを求めて努力されている姿勢が伺えた。
○審査項目(3)企業としての情報アクセシビリティ確保に向けた取組
アクセシビリティ推進に係るチームの組成、ガイドライン・チェックリストの策定、当事者による定期的な点検等、継続的に情報アクセシビリティを確保する仕組を有している点が高く評価された。また、社内での取組を広く世間に公表したり、SNSを積極的に活用し、障害当事者に最新情報が届くよう情報発信の体制を強化しているところもあり、評価に値する。
併せて、アクセシビリティに配慮した一般向けICT機器・サービスは、本年4月施行の民間企業の法定雇用率の引上げ(※)を踏まえると、障害者の一層の社会参画や就労促進、さらには起業の可能性に大きく寄与するものであり、審査委員としても、これらの製品が様々な場面で活用されることを期待している。
このような好事例を公表することは、情報アクセシビリティに配慮したICT製品・サービスやそれに関わる企業等の前向きな取組を広く世間に周知することとなり、障害当事者を含む多様な者がデジタル活用の利便性を享受し、豊かな人生を送ることができる社会の実現に資するものと考えられる。今後も、企業等における情報アクセシビリティへの取組の広がりを大いに期待したい。
※ 障害者雇用促進法43条第1項により、令和6年度4月より民間企業の法定雇用率は2.5%となる。
4.審査委員(団体名等五十音順)
(1)学識経験者
・榊原 直樹 清泉女学院大学 専任講師
・山田 肇 東洋大学 名誉教授
(2)業界団体
・一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)
・一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)
・一般社団法人 ビジネス・機械情報システム産業協会(JBMIA)
(3)障害者団体
・社会福祉法人 全国盲ろう者協会
・特定非営利活動法人 せんだいアビリティネットワーク
・一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
・一般財団法人 全日本ろうあ連盟
・社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合
・社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会
(4)オブザーバー
・経済産業省
・厚生労働省
・デジタル庁
5.情報アクセシビリティ自己評価様式について
「情報アクセシビリティ好事例2023」の応募書類として提出を求めた「情報アクセシビリティ自己評価様式(自己評価様式)」は、企業等が自社のICT機器・サービスについて情報アクセシビリティ基準を満たしているかを自己評価した結果を公表し、企業・公的機関や障害当事者がICT機器・サービスを選択する際の参考とするための様式です。この自己評価様式は、米国における情報アクセシビリティ基準適合に関する自己評価の仕組み(VPAT)を参考にしたもので、米国では法律で政府が電子情報機器を調達する際に、アクセシブルな機器調達が義務づけられています。総務省では、その様式を官民双方における活用を促進するための取組を行っています。
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