「ICTを利活用した農業の高度化等をテーマとしたセミナー」を開催
平成26年2月18日up
北海道総合通信局は、北海道テレコム懇談会との共催により、1月21日(火曜日)札幌市内において、ICTを利活用した農業の高度化等をテーマとしたセミナーを開催しました。
北海道の主要産業の一つである農業は、少子高齢化時代の到来と国際競争力の強化が課題となっていることから、効率化・高度化した次世代農業の実現が重要となっています。このような中、現在注目されているG空間(地理空間)情報と、農業のロボット化の推進や農地からのセンサー情報、農作業履歴、生育情報等について、ICTを利活用して蓄積・利活用することで、高度な農業の展開が期待できます。
本セミナーには、通信や農業分野をはじめ、自治体や企業等からも多くの参加があり、受講者からは多くの質問が出されるなど関心の高さがうかがえました。
主催者代表あいさつ
北海道総合通信局長 杉浦 誠(すぎうら まこと)
セミナーの概要
【講演1】
空間技術と通信技術を融合させ、暮らしに新たな革新をもたらす
− G空間×ICT推進会議報告書等 −
【講師】
総務省 情報通信国際戦略局技術政策課 国際共同研究企画官 井上 淳(いのうえ じゅん)
<内容>
世の中のほとんどの情報はG空間情報と言われているが、G空間情報の利活用は、産業面や防災面はもとより、様々な分野において高まる。政府は、「地理空間情報活用推進基本法」 及び「地理空間情報活用推進基本計画」に基づき、誰もがいつでもどこでも必要な地理空間情報を使うことや高度な分析に基づく的確な情報を入手し行動できる「地理空間情報高度活用社会(G空間社会)の実現」を目指している。
総務省においては、関係省庁等とも連携し、「G空間×ICT推進会議」を開催し、G空間とICTを組み合わせた革新的な新産業・新サービス創出の促進、世界最先端の防災対策の実現等のため、G空間プラットフォームの構築や世界最先端のG空間防災システムの構築に取り組んでいる。
G空間×ICTによる市場規模(売上高)は、2020年度には最大約62兆円に達するとの試算もある。経済成長に貢献する「G空間×ICT」社会の実現に向けて御理解と御協力をお願いしたい。
【講演2】
ICTを活用した総合型農業情報化システムとスマートロボットによる次世代農業の実現に向けて
【講師】
北海道大学大学院 農学研究院 教授 野口 伸(のぐち のぼる) 氏
<内容>
今日の日本の農産物自給率は先進諸国中最低となっており、農業就業者人口も激減し、高齢化が加速している。また、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参画した場合、北海道農業に大きな影響が出る。
農業は、土地と人が介在しなくては成り立たないが、日本農業が抱える課題を軽減し、国際競争力を向上させるために、ICT・ロボット技術の導入は不可欠である。
北海道大学大学院 農学研究院では、企業等と連携し、オートガイダンスシステム等による農業機械の自動化技術の確立を目指しているが、ロボット農業実現のためには、生産者との対話によるニーズとシーズのマッチングによる個別技術の実用化、安全センサーのロボットへの搭載や安全基準の策定による安全性の確立、また、ロボット農業体系による低コスト化や日本特有のインフラ(QZSS)の積極的活用(グローバルマーケット)による低価格化等の課題を解決する必要がある。
準天頂衛星システムは、農業ロボットの高精度・低コスト化に有望であり、南北に8の字を描くように飛行するため、日本はもとより、アジア、オセアニア地域に対して農業技術パッケージとしての海外展開も期待できる。
さらに、G空間情報の高度利用により、熟練農家の知識・知恵の保全・活用、農業のICT化による農業の魅力の向上と新規就農の促進、ロボットのスマート化にも寄与するものと期待している。
次世代の農業技術の実現のため、G空間情報プロジェクト社会実証事業により、統合型農業情報システムとして農業環境情報システム、先端農業支援システムの構築、また、スマートロボットの活用により、「ICT×ロボット農業特区」として社会実装を目指している。
北海道大学大学院 野口教授
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