近畿総合通信局は、2023年6月10日（土）に西日本の総合通信局4局（北陸、中国、四国及び九州）と合同で、サイバーセキュリティに興味はあるが、これまで学んだことのない学生等を対象に、セキュリティ人材の裾野を広げることを目的として「西日本横断サイバーセキュリティ・グランプリ」を開催し、大阪会場77名、他4会場計77名、オンライン416名の方にご参加いただきました。
冒頭、総務省を代表し、山内サイバーセキュリティ統括官が「社会のデジタル化が急速に進む中、サイバー空間の安全性及び信頼性を確保していくことがますます重要になっている。学生、若手社会人の皆さんが本イベントを通じてサイバーセキュリティに関心を持っていただければと思う。」と開会の挨拶を述べました。その後、各会場より、各総合通信局の取組や地元の名所等を紹介しました。
講演第1部では、東日本電信電話株式会社特殊局員で、独立行政法人情報処理推進機構（IPA）サイバー技術研究室長の登 大遊 氏に「コンピュータ技術とサイバーセキュリティにおける日本の課題、人材育成法および将来展望」と題して講演を行っていただきました。自身が開発された自治体テレワークシステムやSoftEther VPN等を実際のネットワーク実験の様子とともに紹介し、「セキュリティ等のプラットフォームを自ら生み出せるICT人材を育成するには、自分の手でコンピュータ・ネットワークの実験環境を構築し、自由に技術開発できるようにすることが重要。」と述べられました。
東日本電信電話株式会社 特殊局員
独立行政法人情報処理推進機構（IPA）サイバー技術研究室長
登 大遊 氏
続いて、西日本電信電話株式会社セキュリティプリンシパルの粕淵 卓 氏より、セキュリティにまつわる二択クイズを出題していただきました。
講演第2部では、初めに、Zホールディングス株式会社安心安全部マネージャーの日野 隆史 氏及びヤフー株式会社CISO室教育啓発チームの青黄 由美子 氏に「誰でもセキュリティ人材になれるのか〜セキュリティとキャリアについて〜」と題して講演を行っていただきました。セキュリティ業務について具体的にどのような職種があるのかといったことや、求められるセキュリティ人材になるためのポイント等をお話いただきました。
Zホールディングス株式会社安心安全部マネージャー
日野 隆史 氏
次に、LINE株式会社グループセキュリティ統制チームの中村 智史 氏に「求められるセキュリティ組織の変化〜LINEセキュリティの10年を振り返る〜」と題して講演を行っていただきました。会社の変化（成長）に併せて、必要なスキルも変化していくことを、自身の業務経験や実際に起こったインシデントへの対応経験などを交えながらお話いただきました。
最後に、西日本電信電話株式会社の四方 直樹 氏に、「海外で活躍するセキュリティエンジニア」と題して講演を行っていただきました。シリコンバレーで活躍されているエンジニアの方々を交えて、海外の大学で何を学んだのか、現在その学びがどう活きているのか等についてお話いただきました。
西日本電信電話株式会社 四方 直樹 氏
西日本電信電話株式会社セキュリティプリンシパルの谷口 貴之 氏より、株式会社マクニカによる作問協力のもと、セキュリティにまつわるCTFの問題を出題していただきました。本CTFでは、現地会場参加者、オンライン参加者に分けて3人1組でチームを組み、サイバーセキュリティに関する様々なジャンルの問題を解き、合計得点を競いました。
（※）CTF（Capture The Flag）とは、答えとなるFlagを探すゲーム形式のセキュリティコンテストのことです。
各会場にお越しいただいた地域の企業等に、3分間でセキュリティへの取組を紹介していただきました。ご発表いただいた企業等は以下のとおりです（発表順に掲載）。
（熊本会場）
・株式会社くまなんピーシーネット
・株式会社マクニカ
（広島会場）
・株式会社エネルギア・コミュニケーションズ
・広島県警察本部
・株式会社両備システムズ
（徳島会場）
・テック情報株式会社
・株式会社STNet
・徳島県警察本部
（大阪会場）
・大阪府警察本部
・株式会社ラック
・エムオーテックス株式会社
・フォーティネットジャパン合同会社
・独立行政法人情報処理推進機構
本イベントでは、参加者が講演を熱心に聞いている様子や、チームメンバーと話し合いながらCTFの問題を解いている様子が見られ、サイバーセキュリティに対する関心の高さを伺うことができました。また、参加者からは「クイズやCTFなどの参加型イベントが面白かった」や「セキュリティ人材になるためのイロハを知ることができました」といった声が聞かれました。
近畿総合通信局では、今後も、他の関係機関と連携して、地域のサイバーセキュリティ対策の周知・啓発に取り組んでまいります。
