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電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン
(平成10年12月2日郵政省告示第570号)

第1章 総則

目的

第1条
このガイドラインは、電気通信事業の公共性及び高度情報通信社会環境下における個人情報流通の増加に伴う個人情報侵害のおそれにかんがみ、電気通信事業者による通信の秘密に属する事項その他個人情報の適切な取扱いに関する基本的事項を定めることにより、電気通信サービスの利便性の向上を図るとともに利用者の権利利益を保護することを目的とする。

定義

第2条
このガイドラインにおいて、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

電気通信事業者 電気通信事業(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第4号に定める電気通信事業をいう。)を営む者をいう。
電気通信サービス 電気通信事業者が業務として提供する電気通信役務(電気通信事業法第2条第3号に定める電気通信役務をいう。)及びこれに付随するサービスをいう。
利用者 電気通信サービスを利用する者をいう。
加入者 電気通信事業者との間で電気通信サービスの提供を受ける契約を締結する者をいう。
個人情報 個人に関する情報であって、特定の個人が識別され又は識別され得るものをいう。
情報主体 前号の個人情報の本人をいう。

第2章 個人情報の取扱いに関する基本原則

個人情報の収集

第3条
電気通信事業者は、個人情報を収集するに当たっては、電気通信サービスを提供するため必要な場合に限り、かつ、できる限りその目的を特定するものとする。
  1. 前項で収集する個人情報の範囲は、前項の規定により特定された収集の目的を達成するため必要な限度を超えないものとする。
  2. 電気通信事業者は、個人情報を収集するに当たっては、適法かつ公正な手段により行うものとする。
  3. 電気通信事業者は、次の各号に掲げる個人情報を収集してはならない。ただし、自己又は第三者の権利を保護するために必要な場合その他社会的に相当と認められる場合はこの限りでない。
    思想、信条及び宗教に関する事項。
    人種、門地、身体・精神障害、犯罪歴、病歴その他社会的差別の原因となるおそれのある事項。
  4. 電気通信事業者は、個人情報を情報主体以外の者から収集する場合においては、自ら又は収集先において情報主体の同意を得るものとする。ただし、正当な理由がある場合は、この限りでない。

個人情報の利用及び提供

第4条
電気通信事業者が収集した個人情報の利用又は提供は、収集目的の達成に必要な範囲に限るものとする。

  1. 前項の規定にかかわらず、電気通信事業者は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、収集目的以外の目的のために利用し、又は提供することができる。ただし、これにより、情報主体又は第三者の権利利益を不当に害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。
    法令の規定に基づき、利用又は提供しなければならないとき。
    情報主体の同意があるとき。
    電気通信事業者が自己の業務の遂行に必要な限度で個人情報を内部で利用する場合であって、当該個人情報を利用することについて相当な理由があるとき。
    前3号に掲げる場合のほか、情報主体以外の者に提供することが明らかに情報主体の利益になるときその他個人情報を利用し、又は提供することについて特別の理由があるとき。
  2. 個人情報の利用又は提供に当たっては、通信の秘密の保護に係る電気通信事業法第4条等の関連規定を遵守するものとする。

個人情報の適正管理

第5条
電気通信事業者は、その管理に係る個人情報につき、利用目的に応じ正確かつ最新なものに保つよう努めるものとする。

  1. 電気通信事業者が管理する個人情報については、利用目的に必要な範囲内で保存期間を定めることを原則とし、当該期間経過後又は利用の目的を達成した後は、遅滞なく消去するものとする。
  2. 前項の規定にかかわらず、電気通信事業者は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、保存期間経過後又は利用目的達成後においても当該個人情報を消去しないことができる。
    法令の規定に基づき、保存しなければならないとき。
    情報主体の同意があるとき。
    電気通信事業者が自己の業務の遂行に必要な限度で個人情報を保存する場合であって、当該個人情報を消去しないことについて相当な理由があるとき。
    前3号に掲げる場合のほか、当該情報を消去しないことについて特別の理由があるとき。
  3. 電気通信事業者が個人情報を管理するに当たっては、当該情報への不正なアクセス又は当該情報の紛失、破壊、改ざん、漏えいの防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講ずるものとする。特に情報通信ネットワークにおける情報保護及び不正アクセスの防止に当たっては、情報通信ネットワーク安全・信頼性基準(昭和62年郵政省告示第73号)等の基準を活用するものとする。
  4. 電気通信事業者が個人情報の取扱いを外部に委託する場合は、個人情報を適正に取り扱っていると認められる者を選定し、委託契約等において、前項に定める個人情報の適切な管理のための必要な措置、秘密保持、再提供の禁止等情報の維持管理に関する事項について定めるものとする。
  5. 電気通信サービスに従事する者又は電気通信事業者から委託された個人情報の取扱いに係る業務に従事する者は、その業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。その職を退いた後においても同様とする。

個人情報の開示及び訂正等

第6条
電気通信事業者は、情報主体から自己に関する個人情報の開示の請求があったときは、当該請求に係る個人情報について遅滞なく開示するものとする。
  1. 前項の規定にかかわらず、電気通信事業者は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該請求に係る個人情報の全部又は一部について開示をしないことができる。
    電気通信事業者の業務の遂行に著しい支障を及ぼすとき。
    個人の生命、身体、財産その他の利益を害するとき。
  2. 電気通信事業者は、情報主体から自己に関する個人情報の訂正等(訂正、追加又は削除をいう。以下同じ。)の申出があったときは、遅滞なく調査を行うものとする。この場合において当該申出に係る個人情報に関して誤りがあること、保存期間を経過していることその他の訂正等を必要とする事由があると認めるときは、遅滞なく訂正等を行うものとする。

責任の明確化

第7条
電気通信事業者は、個人情報の取扱いに関する責任者(以下「個人情報管理者」という。)を置き、個人情報管理者において本ガイドラインに従った内部規程及び監査体制の整備等必要な個人情報保護措置を講ずるものとする。

  1. 個人情報管理者は、個人情報の利用、提供、開示又は訂正に係る苦情その他個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めるものとする。

第3章 各種情報の取扱い

通信履歴

第8条
電気通信事業者は、通信履歴(利用者が電気通信を利用した日時、当該通信の相手方その他の利用者の通信に係る情報であって通信内容以外のものをいう。以下同じ。)については、課金、料金請求、苦情対応、不正利用の防止その他の業務の遂行上必要な場合に限り、記録することができる。

  1. 電気通信事業者は、保存期間が経過したとき又は記録目的を達成したときは、速やかに通信履歴を消去するものとする。ただし、情報主体の同意がある場合、法令の規定による場合その他特別の理由がある場合はこの限りではない。
  2. 電気通信事業者は、情報主体の同意がある場合、裁判官の発付した令状に従う場合、正当防衛又は緊急避難に該当する場合その他の違法性阻却事由がある場合を除いては、通信履歴を他人に提供しないものとする。

利用明細

第9条
電気通信事業者が利用明細(利用者が電気通信を利用した日時、当該通信の着信先、これらに対応した課金情報その他利用者の電気通信の利用に関する情報を記載した書面。以下同じ。)に記載する情報の範囲は、利用明細の目的を達成するため必要な限度を超えないものとする。

  1. 電気通信事業者が利用明細を加入者その他の閲覧し得る者に閲覧させ又は交付するに当たっては、利用者の「通信の秘密」又は個人情報を不当に侵害しないよう必要な措置を講ずるものとする。

発信者個人情報

第10条
電気通信事業者は、発信者情報通知サービス(発信電話番号等発信者に関する個人情報を受信者に通知する電話サービスをいう。以下同じ。)を提供する場合には、通信ごと又は回線ごとに、発信電話番号等発信者に関する個人情報の通知を阻止する機能を設けるものとする。

  1. 電気通信事業者は、発信者情報通知サービスその他のサービスの提供に必要な場合を除いては、発信者個人情報を他人に提供しないものとする。ただし、情報主体の同意がある場合、電話を利用して脅迫の罪を現に犯している者がある場合において被害者及び捜査機関からの要請により逆探知を行う場合、人の生命、身体等に差し迫った危険がある旨の緊急通報がある場合において当該通報先からの要請により逆探知を行う場合その他の違法性阻却事由がある場合はこの限りでない。

位置情報

第11条
電気通信事業者は、情報主体の同意がある場合、裁判官の発付した令状に従う場合、前条第2項に規定する逆探知の一環として提供する場合その他の違法性阻却事由がある場合を除いては、位置情報(移動体端末を所持する者の位置を示す情報をいう。以下同じ。)を他人に提供しないものとする。

  1. 電気通信事業者が、位置情報を加入者又はその指示する者に通知するサービスを提供し、又は第三者に提供させる場合には、当該移動体端末の所持者の権利が不当に侵害されることを防止するため必要な措置を講ずるものとする。

不払い者情報

第12条
電気通信事業者は、電気通信サービスに係る料金不払いの発生を防ぐため特に必要であり、かつ適切であると認められるときは、他の電気通信事業者との間において、不払い者情報(支払期日が経過したにもかかわらず電気通信サービスに係る料金を支払わない者の氏名、住所、不払い額その他の不払い者に関する情報をいう。以下同じ。)を交換することができる。ただし、交換の対象とすることが情報主体の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

  1. 不払い者情報の交換をした電気通信事業者は、当該情報を加入時の審査以外の目的のために使用してはならない。
  2. 不払い者情報を提供し又は提供を受けた電気通信事業者は、当該情報の適正な管理に万全を期すとともに情報主体からの開示又は訂正等の請求を誠実に処理するものとする。

電話番号情報

第13条
電気通信事業者が電話番号情報(電気通信事業者が電話加入契約締結に伴い知り得た加入者名又は加入者が掲載、案内を希望する名称及びこれに対応した電話番号その他の加入者に関する情報をいう。以下同じ。)を用いて電話帳を発行し又は電話番号案内の業務を行う場合は、加入者に対し、電話帳への掲載又は電話番号の案内を省略するかどうかの選択の機会を与えるものとする。この場合において加入者が省略を選択したときは、遅滞なく当該加入者の情報を電話帳への掲載又は案内業務の対象から除外するものとする。

  1. 電気通信事業者が電話帳発行又は電話番号案内業務を行う場合に提供する電話番号情報の範囲は、各業務の目的達成のため必要な限度を超えないものとする。ただし、加入者の同意がある場合はこの限りでない。
  2. 電気通信事業者が電話帳発行又は電話番号案内を行う場合の電話番号情報の提供形態は、情報主体の権利利益を不当に侵害するものであってはならない。
  3. 電気通信事業者は、電話帳発行又は電話番号案内業務による場合を除き、電話番号情報を提供してはならない。ただし、次に掲げる場合はこの限りでない。
    電話帳発行又は電話番号案内業務を外部に委託する場合
    電話帳を発行し、又は電話番号案内の業務を行う者に提供する場合
    その他第4条第2項各号に該当する場合
  4. 電気通信事業者が電話番号情報を、電話帳発行又は電話番号案内業務を行う者に提供する場合は、当該提供契約等において、前各項に準じた取扱いをすることを定めるものとする。

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