総務省トップ > 組織案内 > 地方支分部局 > 四国総合通信局 > イベント報告2014年 > 「公衆無線LANで創る魅力ある地域づくりセミナーin高知」を開催 ≪外国人観光客誘致に向けた音声翻訳技術も紹介≫

「公衆無線LANで創る魅力ある地域づくりセミナーin高知」を開催
≪外国人観光客誘致に向けた音声翻訳技術も紹介≫

 四国総合通信局及び四国情報通信懇談会は平成26年12月5日(金)、高知市の高知新聞放送会館において「公衆無線LANで創る魅力ある地域づくりセミナーin高知」を開催しました。本セミナーは、地域活性化や防災など様々な分野で利用が進む公衆無線LANの先進的な取組や外国人観光客誘致にも役立つ音声翻訳技術を紹介し、魅力ある地域づくりを推進することを目的として開催したものです。

写真:セミナー会場の様子

セミナー会場の様子

 

 最初に、福岡市市長室広報戦略室広報課 主査 花田 絵里(はなだ えり)氏より、「新たな時代の都市インフラ≪福岡市無料公衆無線LANサービス Fukuoka City Wi-Fi≫」と題し、自治体主体で行う公衆無線LANサービスとしては国内最大級となる「Fukuoka City Wi-Fi」の取組について御講演をいただきました。花田(はなだ)氏は、インターネットの普及が急速に進む現代において、公衆無線LAN環境はもはやあって当たり前の「インフラ」であり、公衆無線LANの活用により、来街者の利便性向上や市の情報発信力の強化、災害時の活用を進めるこれらの取組が都市の魅力向上につながると考え、平成24年4月のサービス開始以降、民間との共働による拠点の拡大、さらに今年度は、利便性向上に向けた認証手続きの簡素化や多言語対応サイトの新設、認証数のオープンデータ化などに取り組んでいると話されました。
 整備にあたっては、サービスを「持続可能な取組とすることが重要」で、公衆無線LANを効果的な情報発信媒体として活用するため、利用者のブラウザ上に市政情報等を表示するバナー枠の実装や観光アプリ等の実証試験への取組についても紹介がありました。また今後の課題として、屋外への公衆無線LANの導入や多言語による情報発信力の強化、ユーザのICTリテラシー向上などを挙げられました。

写真:福岡市市長室広報戦略室広報課 主査 花田 絵里(はなだ えり)氏

福岡市市長室広報戦略室広報課 主査
花田 絵里(はなだ えり)氏

 

【資料】新たな時代の都市インフラ
≪福岡市無料公衆無線LANサービス Fukuoka City Wi-Fi≫(PDF 8.3MB)PDF

 続いて、独立行政法人情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 企画室 研究マネージャー 内元 清貴(うちもと きよたか)氏より、「世界の「言葉の壁」をなくす多言語音声翻訳技術」と題し、同機構が研究開発を進める多言語音声翻訳技術についてその背景や現状、今後の取組などについて御講演をいただきました。講演ではまず、音声翻訳の歴史や仕組みが解説され、同機構が世界一の認識精度を誇る音声認識技術を用いて開発した多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra」シリーズについて、その開発までの道のりや機能の紹介がありました。最新アプリのVoiceTra4Uは現在27言語間の翻訳が可能であり、その翻訳性能について内元(うちもと)氏は、日英でいうと「TOEIC600点の日本人に相当」し、さらに利用ログを用いて機械学習することで「使うほど賢くなる」仕組みになっていると述べられました。また、VoiceTraの音声認識・合成技術を応用して開発した聴覚障がい者支援アプリ「こえとら」や「SpeechCanvas」も紹介され、会場で実際に体験できるデモンストレーションが行われました。内元(うちもと)氏は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けた研究開発の計画として、医療やショッピング、観光などの分野での社会実装や対応言語の拡大を目指していると話し、2020年における具体的な利用イメージを示したうえで「全て機械だけで出来ることが理想だが、機械と人がそれぞれ得意なところで互いに補い合いながら実現していくのだろう」と語られました。

写真:独立行政法人情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 企画室 研究マネージャー 内元 清貴(うちもと きよたか)氏

独立行政法人情報通信研究機構
ユニバーサルコミュニケーション研究所 企画室
研究マネージャー 内元 清貴(うちもと きよたか)氏

 

【資料】世界の「言葉の壁」をなくす多言語音声翻訳技術(PDF 9.6MB)PDF

 最後に、株式会社NTTデータ パブリック&フィナンシャル事業推進部 オープンイノベーション創発室 シニアスペシャリスト 吉田 淳一(よしだ じゅんいち)氏より、「Wi-Fiは、魔法の道具ではない・・・でも組み合わせ・アイデアで、ビジネスとおもてなしが広がります ≪世界のWi-Fi事例紹介≫」と題し、Wi-Fiを整備する意義やWi-Fiが地域活性化・地域ブランディングに与える影響などについて御講演をいただきました。吉田(よしだ)氏は、訪日外国人が事前に訪問先の情報を知っているかいないかで、現地での行動に大きな違いがあるという実証試験のデータを示したうえで、口コミがいかに大切であるかを指摘し、「Wi-Fiは自分が体験したことをリアルタイムに共有するための大切な通信手段である」とその重要性を説かれました。また、訪日外国人が宿泊することによる現地への経済効果を示し、四国においてもお遍路などを糸口として訪日外国人を呼び込むことで人口減少する四国の消費を補えると指摘しました。さらに、国内各地や韓国、米国など海外でWi-Fiが活用されている数多くの最新事例を示しながら、ウェアラブル端末やAR技術、Beacon技術などとWi-Fiを組み合わせることで訪日外国人への新たなサービス提供ができる可能性を挙げられました。

写真:株式会社NTTデータ パブリック&フィナンシャル事業推進部 オープンイノベーション創発室 シニアスペシャリスト 吉田 淳一(よしだ じゅんいち)氏

株式会社NTTデータ パブリック&フィナンシャル事業推進部
オープンイノベーション創発室 シニアスペシャリスト
吉田 淳一(よしだ じゅんいち)氏

 

【資料】Wi-Fiは、魔法の道具ではない・・・でも組み合わせ・アイデアで、
ビジネスとおもてなしが広がります ≪世界のWi-Fi事例紹介≫(PDF 888KB)PDF

 当日は、大雪により一部の交通機関に影響が発生し欠席された方もおられましたが、本セミナーには自治体職員や民間事業者、観光関係者など52名が参加され、公衆無線LAN整備の先進的な取組やその意義、音声翻訳技術の現状や展望について認識を深めていただく機会となりました。四国総合通信局では、今後もセミナーや研修会等の開催を通じ、ICTを活用した魅力ある地域づくりの推進を図って参ります。


  ※ PDF(Acrobat)形式ファイルの無料閲覧ソフトが必要な方はこちら≫

ページトップへ戻る