国際電気通信連合(ITU)2012年世界国際電気通信会議 (WCIT-12)の結果
平成24年(2012年)12月3日(月)から14日(金)までの間、電気通信に関する国際連合の専門機関である国際電気通信連合(ITU)において、各国政府を法的に拘束する国際電気通信規則(ITR)を改正する世界国際電気通信会議(WCIT)が、アラブ首長国連邦(ドバイ)で開催され、ITRの改正文書が採択されました。我が国は、署名を見送ることとしました。
会議概要
(1)日時:平成24年12月3日(月)〜14日(金)
(2)場所:アラブ首長国連邦(ドバイ)
(3)目的:「国際電気通信規則(ITR)」の改正審議を目的として開催。
(4)参加者:152か国及び37団体から約1,600名が参加。我が国からは総務省及び外務省が参加。
※1 国際電気通信連合(ITU: International Telecommunication Union):電気通信に関する国際連合の専門機関。193カ国が加盟。(本部:スイス・ジュネーブ)
※2 現行の国際電気通信規則(ITR: International Telecommunication Regulations)(1990年7月発効):当時、一般的だった国営・独占形態を前提として、国際電話業務に関する一般原則、接続料金の計算・精算方法等を規定(各国を法的に拘束)。その後の民営化、競争導入等、電気通信を巡る環境の変化に伴い、2006年、ITUはITRの改正を審議するため2012年のWCIT開催を決定。
※3 世界国際電気通信会議(WCIT: World Conferences on International Telecommunications)
<参考>
◇報道発表資料
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin06_02000042.html
◇署名国
署名した国は89か国、署名しなかった国は55か国(日本を含む。)でした。
http://www.itu.int/osg/wcit-12/highlights/signatories.html
- 改正ITR全文(英文
(平成27年1月1日発効))
- 各国の宣言及び留保(英文1
・英文2
)
- 「WCIT-12の結果について」(総務省作成資料。和文
)
- WCIT-12に関するITUによるQ&A("The treaty signing process explained"英文
)
[関係情報]
- ITRの概要(和文
)
- ITRの改正におけるインターネット関連の議論(出典:ITUジャーナル Vol42)(和文
)
- 国際電気通信規則(ITR)の改正を巡る最近の議論について(出典:ITUジャーナル Vol42)(和文
)
- ITU憲章及び条約(英文
・和文
)
- 現行ITR全文(英文・和文
)
- ITUのWCIT-12ホームページ(英文
)
WCIT-12に関するITUによる意見募集ホームページ
WCIT-12に関する総務省による説明会
現時点における各国からのITR改正提案の内容のうち、インターネット関連部分を中心に、平成24年9月12日(水)(10:00〜12:00)に中央合同庁舎第2号館(10階)総務省第1会議室にて説明会を開催しました。
WCIT-12以降のITUにおける議論
第5回世界電気通信政策フォーラム(WTPF-13)
今回のWTPFは、「インターネットに関連する国際公共政策全般」をテーマに議論するもので、昨年12月のWCIT後のインターネット・ガバナンスに関する国際議論の動向を見極める上で重要な会合でありました。
会合の成果としては、「オピニオン」と呼ばれる、法的拘束力は持たないものの今後の議論の方向性に影響を与えうる文書が採択されました。
今回のWTPFでは、事前の準備会合でほぼ合意していた以下の6つのオピニオンが正式に採択されました。
(1)接続性向上の長期的解決法としてのIXP促進
(2)ブロードバンド接続性の成長と発展を実行可能にする環境の育成
(3)IPv6展開のキャパシティビルディング支援
(4)IPv6採用とIPv4からの移転支援
(5)インターネットガバナンスにおけるマルチステークホルダリズムの支持
(6)協力強化プロセスの運用を可能にするための支持
オピニオン全文(英文)
しかし、これらに加えて、ブラジル及びロシアからインターネット・ガバナンスにおける政府の役割の強化に関する新たなオピニオン案が提案されました。
多くの途上国・新興国(中東、中南米、アフリカ、中国等)が賛同しましたが、日米等の先進国は同オピニオンの策定に強く反対しました。ブラジル・ロシアから妥協案も示されましたが、検討の時間も足りなかったことから、今回の採択は見送られました。なお、このブラジル提案を今後どのように議論していくこととするのかについては、平成25年(2013年)6月に開かれるITU理事会において審議されることとなりました。
ブラジル提案(当初案及び修正案) (英文)
ロシア提案(英文)
ITU理事会においては、本件を引き続き議論する場に関して議論され、その結果、ITU事務総局長主催による、全てのステークホルダーも参加可能な非公式会合を開催し、政府の役割を議論し、その結果をインターネット関連国際公共政策に関するITU理事会作業部会に報告することになりました。また、政府の役割を作業部会で議論するかは、次回本年秋の作業部会に持ち越しされました。