経済協力開発機構 (OECD:Organization for Economic Co-operation and Development)は、経済・社会への様々な課題について協議する国際機関であり、自由な意見交換・情報交換を通じ、(1)経済成長、(2)自由かつ多角的な貿易の拡大、(3)開発援助 に貢献することを目的とする。
OECDのデジタル政策委員会(DPC:Digital Policy Committee)では、ICT分野について先導的な議論が行われており、総務省は、OECD事務局への人材や財政面の支援を行うほか、DPC議長(2020年(令和2年)1月〜)や、各作業部会副議長を輩出するなど、OECDにおける政策議論に積極的に貢献している。
2022年(令和4年)12月には、スペイン・グランカナリアでデジタル経済に関する閣僚会合が開催され、DFFT(Data Free Flow with Trust(信頼性のある自由なデータ流通))や信頼できるAI、次世代インフラ開発に向けた課題認識や方向性を取りまとめた「信頼性のある、持続可能で、包摂的なデジタルの未来」に関する閣僚宣言が採択された。
□総務省|報道資料|OECDデジタル経済に関する閣僚会合の結果
□「信頼性のある、持続可能で、包摂的なデジタルの未来」に関する閣僚宣言(原文/仮訳
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2023年(令和5年)3月には、フランス・パリで総務省とOECDの共催で第4回OECDデジタ ルセキュリティ・グローバルフォーラム(OECD Global Forum on Digital Security for Prosperity)が開催され、IoT製品のデジタルセキュリティ、AIのデジタルセキュリティ及び政策立案者と技術者の交流という3つのテーマを柱に、パネルディスカッションが行われた。
□OECD デジタルセキュリティと繁栄のためのグローバルフォーラム | 2023年イベント要約
2023年(令和5年)、我が国は、G7議長国として、生成AIに係る国際的なルール形成を行う枠組みである「広島AIプロセス」を立ち上げ、「国際指針」及び「国際行動規範」を取りまとめた。2024年(令和6年)のG7イタリア議長国下では、「国際行動規範」の遵守状況をAI開発企業等が自ら確認し報告するための手法(「報告枠組み」)を開発・導入することに合意。
2025年(令和7年)2月、OECDの協力のもと、OECDのwebサイトにて正式に「報告枠組み」の運用を開始した。
□広島AIプロセス
2024年(令和6年)5月には、フランス・パリでOECD閣僚理事会(Meeting of the OECD Council at Ministerial Level:MCM)が開催され、OECD加盟から60周年を迎える日本が議長国を務めた。MCMでは「広島AIプロセス」の成果も踏まえた議論が行われ、閣僚声明ではOECD加盟国がその成果に賛同し、実践に向けた取組を協力して進める旨が明記されるとともに、「AIに関する理事会勧告」の改定が行われた。
□総務省|報道資料|OECD閣僚理事会の結果
□2024年OECD閣僚理事会 閣僚声明(原文/仮訳
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□OECD「人工知能(AI)に関する勧告」改定版(原文/仮訳
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2016年(平成28年)4月に開催されたG7香川・高松情報通信大臣会合(日本語/英語)において、高市総務大臣(当時)がAIネットワーク化の進展を見据えたAIの研究開発に関するガイドラインをOECDなどの国際機関と協力した上で策定することを提唱し、参加国から賛同が得られた。
OECDは、2018年(平成30年)5月より、AIに関する理事会勧告の策定に向けた検討に着手。同年夏に専門家会合が設置され、世界各国から50名を超える産学民官の有識者や関係者が参加し、理事会勧告の内容を具体的に絞り込む議論が行われた。総務省は、有識者を会合に派遣するとともに、「国際的な議論のためのAI開発ガイドライン案」や「AI利活用原則案」、「人間中心のAI社会原則」等を説明する等、専門家会合の議論に大きく貢献してきた。
OECDは、専門家会合の結果を踏まえ、AIについての最初の政府間のスタンダードとなる「AIに関する理事会勧告」(OECD AI原則)を策定し、2019年(令和元年)5月にフランス・パリで開催されたOECDの閣僚理事会において採択・公表した。この勧告は、AIの関係者が共有すべき5つの価値観に関する原則と国際協力の推進を含む5つの加盟国政府等が取り組むべき政策で構成されている。2019年(令和元年)6月に開催された茨城つくばG20貿易・デジタル経済大臣会合においては、「人間中心のAI」の考え方に基づき、AIの研究開発や利活用の在り方等について議論が行われ、G20としては最初のAIに関する合意文書となる「G20AI原則」を採択した。この原則はOECDのAIに関する理事会勧告が土台となっている。なお、G20AI原則については、同月のG20大阪サミットにおいても首脳レベルの議論が行われ、G20大阪首脳宣言の附属文書としても採択された。
本勧告は2024年(令和6年)5月に、フランス・パリで開催されたOECD閣僚理事会にて「広島AIプロセス」の成果も踏まえた議論が行われ、改定された。(原文/仮訳
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