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2025年8月26日(火)、総務省主催による「ローカルスタートアップの拡大・創出に向けたセミナー」をオンラインにて開催しました。ローカルスタートアップの拡大・創出をテーマに、全国の自治体・中間支援事業者等の多様な参加者が集って実施された当該イベントについて、当日の様子(関係府省庁からの施策説明・先進事例紹介・マッチング交流会)をお届けします。
【セミナー開催レポート】
第2部:先行事例のご紹介
ローカルスタートアップに取り組んでいる自治体や中間支援事業者から、その取組内容について発表されました。
1.創業支援事例:長崎県東彼杵町
長崎県東彼杵町から、行政と事業者で連携して取り組む創業支援事例が紹介されました。
・東彼杵町は、人口が約7,300人と、長崎県で2番目に少ない町であり、人口減少によってコンビニエンスストアの撤退や農協の米倉庫の解体等が進み、生活利便性の低下が課題であった。
・そのため町では、起業時に必要な設備費等を対象とした補助金により起業を後押しするとともに、「東そのぎ仕掛け人プロジェクト」と銘打ち、地域おこし協力隊が地元の経営者と協力して新事業を立ち上げる取組を推進する等、起業・創業の機運醸成を図っている。
・また、町では第5次総合計画策定にあたって、町民による「まちづくり会議」を設置し、総合計画の策定段階から町民が参画し、運用においても町民が主体的に関わることができる仕組みを構築。総合計画には、「若者や移住者をはじめ、豊富な経験や技能、知識を持った人材の活躍の場を拡充し、地域の多様化するニーズに生かす取り組みを推進」する旨を記載。
・平成25年には、「まちづくり会議」に参加した若年層の有志が、町と協働して米倉庫をリノベーションし、平成27年に地域の交流拠点となる施設を整備。当該拠点の周辺エリアで、向こう5年間で5店舗の新規開業を創出することを目指し、拠点施設内の店舗は代わる代わる出店が可能な方式を取るとともに、イベントの開催等を通じてコミュニティの形成を促した。
・加えて、施設を活用して創業希望者・移住希望者に向けた空き店舗とのマッチングサポート・企業のリブランディング等を行ったことで、拠点開設からの5年間で、エリア内では新たに14店舗が開業。その波は地域全体へと広がり、現在では支援の有無に関わらず、計77店舗の開業が確認されている(商工会調べ)。
さらに、新たな交流拠点も誕生するなど、着実に創業の輪が広がっている。
東彼杵町説明資料
2.スタートアップ支援事例:栃木県高根沢町
栃木県高根沢町から、スマート農業における官民連携でのスタートアップ支援事例が紹介されました。
・高根沢町は関東を代表する穀倉地帯であり、皇室の食料を生産している「宮内庁御料牧場」もあることから農業が基幹産業となっていた。しかし、就農者の高齢化や都市部への若者流出による担い手不足から町の農業の将来が懸念されていた。
・そこで町では、生産性の向上・省力化のためのスマート農業の普及・定着が必要だと考え、令和3年度から「スマート農業推進事業」を開始。
・具体的には、ロボット技術・ICT等の先進技術を活用し、省力化・高品質生産等を可能にする新たな農業の普及・定着等を図ろうとする事業者に対し、実証実験の場を提供するとともに、実証実験によりスマート農業の有効性を確認できたものについては、成果を全農業者へ共有して、機器の購入補助を行った。
・令和5年度までに、町内の農家へ、水田の水位の遠隔操作等が可能なセンサーを146台、給水の自動制御ゲートを65台導入した。
・令和6年度には本事業により実証実験を実施した事業者と連携協定を締結。事業者が商品開発を行う際の実証実験を高根沢町の農家で実施したり、町内農家にデモ機を貸し出して意見のフィードバックを受け商品開発に生かしたりすることで、町から全国の自治体へ広がる新しいビジネスモデルを育てている。
高根沢町説明資料
3.ローカル10,000プロジェクト活用事例:香川県小豆島町
香川県小豆島町から、総務省の「ローカル10,000プロジェクト」を活用した取組事例が紹介されました。
・人口減少対策として移住定住促進を進めてきた中で、創業にかかる支援策の要望が大きくなってきたことから町独自の創業支援制度を設けていたが、補助上限額が低く設備投資には不十分であり、また独自性重視の要件があることで既存分野での創業や横展開が難しいという課題があった。
・民間事業者や金融機関と情報交換する中で、補助上限額も高く、地域の資源と資金を活用して、地域課題に資する事業の支援を行うローカル10,000プロジェクトが有効であることの認識を共有した。
・移住者から町に創業や新規事業立ち上げの相談があった段階で、ヒアリングを実施し、事業の方向性や地域資源との親和性について確認を行う。その後、町役場内及び関係団体(観光協会、商工会等)とも連携し、顔の見える関係性を活かした意見交換の場を設ける等したことで、関係者が連携して事業計画を磨き上げるスキームが段階的に形成。
・その結果、町内においてローカル10,000プロジェクトにより、令和6年1月から令和7年8月までの約1年半で13件の事業化を実現している。
・町で最初の採択事例としては、空き家を活用して加工製造所を整備し、地元事業者等と連携し、「海産物」、「農作物」などの規格外品・廃棄原料を活用した加工食品開発・販売事業を展開している。
・一次産業者等から、新規事業立ち上げに向けた積極的な相談・連携が増加している。
小豆島町説明資料
第3部:マッチング交流会
自治体と中間支援事業者の交流・意見交換の場も設けられ、参加者同士のネットワークや新たな連携の芽が広がりました。
セミナー参加者からの声
・「起業に関する支援策等詳しく知ることができた。また他の自治体や事業者の方との交流やお話も聞けて有意義な時間が過ごせた。」
・「色々な支援メニュー及び事例について聞けたのは大変勉強になった。」
・「官民連携のモデルケースをお聞きすることができ、大変勉強になった。 自治体とはうまくいっていたが地域の方と難しかった、またその逆もしかりということで、多様な課題のなかプロジェクトが進んで形になっているところに感銘を受けた。」
まとめ
本セミナーは、関係府省庁からの施策説明に加え、「ローカルスタートアップ拡大・創出」という課題に向き合う自治体・中間支援事業者の最前線を示す貴重な機会となりました。具体的な事例や参加者の声を通じて、地域の想いや課題を起点とした官民連携による創業・新規事業支援の重要性が示唆されました。全国各地で自治体と中間支援事業者が協働し、地域の新たなビジネス支援の仕組みが着実に広がっています。
総務省は、皆さまの前向きな取組が進むよう、今後も支援してまいります。