総務省トップ > 政策 > 白書 > 27年版 > 各国企業の新陳代謝(ICT企業の設立年別の分析)
第1部 ICTの進化を振り返る
第3節 ICT産業の構造変化

(2)各国企業の新陳代謝(ICT企業の設立年別の分析)

本項の冒頭でみたとおり、ICT産業は過去10年間、規模の拡大を続けてきたところである。こうしたトレンドは、様々な事業者が市場に参入したり、退出したりするなど、新陳代謝を繰り返し、産業の拡大に寄与する新たな市場の創出やイノベーションを起こしてきたからに他ならない。

ここでは、各国におけるICT産業の新陳代謝の状況について評価・比較する。主要8か国を対象に、各年の企業数合計に占める1990年以降に設立された企業の割合と当該企業の売上高が売上高合計に占める割合を図表1-3-2-7に示す。各国とも共通して、過去10年間に当該企業が占める割合は増加してきている。最も高いのが中国の企業であり、現在は全体の9割が1990年以降に設立された企業が占めている。2013年時点では、日本を除き、諸外国とも企業数の概ね半分以上は1990年以降に設立された企業が占めている。

図表1-3-2-7 各国ICT企業数合計及び売上高合計に占める1990年以降に設立された企業数の割合
(出典)総務省「グローバルICT産業の構造変化及び将来展望等に関する調査研究」(平成27年)

しかしながら、日本は、当該比率は増加しているものの、他国と比べると企業数比率、売上高比率ともに非常に低い水準に留まっており、設立年数がより長い企業に依存している構図がみてとれる。これは、インターネット普及が本格化してからも、グローバル全体と比べると上位レイヤー系事業者が占める割合が小さい点とも関係性があると考えられる。このように、企業が長く存続できる事業環境は、企業の持続性や安定性を担保するものの、一方で今後我が国にとって重要となる産業構造の転換やイノベーション促進等による生産性の向上といった方向性においては、課題であるといえる。

1990年以降に設立された企業について、企業数合計について占める割合、売上高合計に占める割合、1社あたり売上高、の3つの視点から2013年時点の実績を整理すると、日本が他国と比べていずれも低い水準であることが明らかである(図表1-3-2-8)。

図表1-3-2-8 各国ICT企業(1990年以降設立)の位置づけ(2013年時点)
(出典)総務省「グローバルICT産業の構造変化及び将来展望等に関する調査研究」(平成27年)
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