総務省トップ > 政策 > 白書 > 27年版 > スマートフォンの位置情報ゲームを利用した取組(岩手県)
第2部 ICT が拓く未来社会
第3節 地域の課題とICT

(3)スマートフォンの位置情報ゲームを利用した取組(岩手県)

地域への交流人口拡大に向けたユニークな取組として、スマートフォンの位置情報ゲーム「Ingress」を活用した岩手県庁の取組がある。

IngressはGoogleのNiantic Labsが開発・運営する、位置情報と拡張現実技術とを活用したスマートフォン向けのオンラインゲームである。Ingressでは、ユーザーが緑と青の陣営に分かれて、「ポータル」と呼ばれる場所をめぐって陣取り合戦を行う。ポータルは現実にある場所6に設定されており、これを攻略するにはユーザーが現地に直接行く必要がある(図表3-3-1-6)。全世界のダウンロード数は2014年11月時点で800万件7を超え、うち日本は世界第2位のユーザー数となっている。

図表3-3-1-6 Ingressの画面例
(出典)Google Playホームページ

Ingressは「ユーザーがその地域に出向かないと遊ぶことができない」という特徴をもったゲームである点に着目し、Ingressを地域活性化につなげるため、2014年9月、岩手県庁内に「岩手県庁Ingress活用研究会」が結成された。同研究会には、県庁の秘書広報室のほか、政策地域部、商工労働観光部、農林水産部、復興局、国体・障がい者スポーツ体育局、教育委員会事務局、人事委員会事務局等の各部署から、有志14名が参画した。

2014年11月には、同研究会が中心となって、「ポータル探して盛岡街歩き」というイベントが開催された(図表3-3-1-7)。同研究会結成時には、岩手県ではポータルの数が少なかったため、参加者がポータルを申請するという趣旨のイベントとなった。このイベントには、約2割の県外からの参加者を含む20〜30代を中心とした54名が参加し、291か所のポータル申請が行われた。2015年2月には、「もりおか雪あかり」という地域のイベントの開催にあわせ、第2弾となる「ポータル大量発生感謝!ハック&キャンドルin盛岡」が開催された。リアルわんこ(Ingressユーザーの間で使われる用語「ワンコレゾ」にちなんでわんこそばを食べるミニイベント)、盛岡再発見街歩き(ガイド付きの街歩きをしながらハックやポータル申請を行うミニイベント)等の様々な企画を実施したほか、市内5つの地元店舗と連携し、参加者への甘酒の提供や、スマートフォンの無料充電サービスの提供なども行った。このイベントには160名が参加し、うち、県外からの参加者は40名であった。

図表3-3-1-7 岩手県庁Ingress活用研究会の取組
(出典)岩手県提供資料

当初から狙いとしていた県外からの観光客誘致に一定の効果があっただけでなく、イベントを通じて住民がそれまで知らなかった地元の魅力を再発見する効果もあったと同研究会では評価している。同研究会では、今後、東日本大震災の被害が大きかった沿岸部に観光客が足を運ぶ仕掛けのひとつとしてIngressを活用することを検討している。また、2016年に岩手県で国民体育大会・全国障害者スポーツ大会が開催されることから、スポーツのみならずポップカルチャー等も含めた文化芸術面での盛り上げにIngressを活用することについても検討している。



6 原則として、ポータルは芸術や知識に関係する地点(たとえば、記念碑や、彫刻、壁画)やその他のランドマークが該当。

7 Ingress 公式発表による。 https://plus.google.com/+Ingress/posts/DPvxyp7BnU2別ウィンドウで開きます

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る