本節の冒頭でみたように、ネットショッピングの世帯利用率は過去約10年間で全年代的に上昇した。今回のウェブアンケート調査の結果をみると、ネットショッピングの個人利用率は全年代平均で7割を超えている。年代別にみると、60代以上の利用率は30代や20代以下の利用率をやや上回っており、少なくともインターネット利用者に限定する限り、シニア層のインターネット利用者が他の年代のインターネット利用者に比べてネットショッピング利用に消極的という事実は見られない (図表2-2-4-1)。
「ネットショッピングを利用する」と回答した人にその理由を尋ねたところ、年代によって若干の差が見られた。「買いたいものが検索機能等ですぐに探し出すことができ、時間の節約になるから」や「自宅に持ち帰るのが大変な重いものが手軽に買えるから」を理由として挙げる人の割合は、年代が上がるにつれて上昇する傾向にある。「実店舗に出向かなくても買い物ができるから」を理由に挙げる人の割合も、60代以上が最も高い。これに対し、「実店舗よりも安く買えるから」や「実店舗よりも品揃えが豊富だから」を理由に挙げる人の割合は、60代以上では他の年代に比べて低くなっている (図表2-2-4-2)。総じて、商品の安さや豊富な品揃えを求めてネットショッピングを利用する人は若い年代に特に多く、実店舗で商品を購入する時間や労力を省くためにネットショッピングを利用する人はシニア層に特に多いことがわかる。
「ネットショッピングを利用しない」と回答した人にその理由を尋ねたところ、やはり年代によって差が見られた。60代以上では、「決済手段のセキュリティに不安があるから」、「ネットショッピング事業者の信頼性が低いから」、「実店舗で実物を見たり触ったりして購入したいから」を理由として挙げる人の割合が、他の年代に比べて顕著に高い。アンケートで「利用しない理由」の候補として提示した15項目中の10項目で、60代以上のポイントが最も高くなっている。
図表2-2-4-1でみたように、インターネット利用者に回答者が限定される今回のウェブアンケート調査において、ネットショッピングを利用しない人の割合は全年代平均で約25%にとどまるが、これらのネットショッピング非利用者のうち、特にシニア層は、具体的な理由に基づいてあえてネットショッピングを利用していないことがうかがえる(図表2-2-4-3)。