総務省トップ > 政策 > 白書 > 27年版 > 注目分野でのICT利活用状況
第2部 ICT が拓く未来社会
第3節 地域の課題とICT

(3)注目分野でのICT利活用状況

近年注目されている分野におけるICT利活用状況を把握するため、マイナンバー、ビッグデータ、地理情報システム(GIS)について尋ねた。

ア マイナンバー

社会保障・税番号(以下、「マイナンバー」)制度は、住民票を有する全ての人に1人1つの番号を付番して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものである。2015年10月に国民に個人番号が通知され、2016年1月から順次利用が開始される予定となっている。本調査ではマイナンバーを活用したいサービスや課題等について尋ねた。

(ア)マイナンバーの活用

マイナンバー制度の導入に際して、活用に関心のあるサービス等について尋ねた。活用に向けて検討しているサービス等では「行政による照合作業・現地調査等の削減」(14.6%)が最も多かったものの2割に達しなかった。検討には至っていないものの関心があるという回答を含めると、いずれも8割を超える結果となり、検討段階には入っていないものの多くの自治体が活用に関心があることがうかがえる(図表3-3-3-18)。

図表3-3-3-18 マイナンバーの活用
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成27年)
「図表3-3-3-18 マイナンバーの活用」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
(イ)情報連携基盤の導入状況

マイナンバー活用には、地方公共団体が保有する各種情報システム間の連携を可能とするための情報連携基盤(例:地域情報プラットフォーム)等を導入することが有効であると考えられる。そこで情報連携基盤の導入状況について尋ねた。「導入済み」(33.3%)、「共通番号への対応に合わせて導入予定」(36.3%)、「次期システム更新期に合わせて導入予定」(10.5%)を合わせると8割を超える自治体で導入済み、または導入予定であることがわかる。また、昨年度調査に比べて「導入済み」、「共通番号への対応に合わせて導入予定」が大きく増加しており、マイナンバー制度をきっかけにして多くの自治体で導入が進むものと思われる(図表3-3-3-19)。

図表3-3-3-19 情報連携基盤の導入状況
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成27年)
「図表3-3-3-19 情報連携基盤の導入状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
イ ビッグデータ

近年、様々なものがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)やセンサー技術、情報処理技術の発達などにより、大量に生み出されているデータ(ビッグデータ)を収集・分析することができるようになってきた。単独では一見価値を生み出さないようなデータであっても大量に集めて分析することによって、新たな知見を得られることがあり、ビッグデータ活用の取組が盛んになってきている。本調査ではビッグデータを活用したい分野や課題について尋ねた。

(ア)取組

まず、ビッグデータ利活用への取組を実施、または何らかの形で参加・協力しているかを尋ねた。「既に取組を推進している」(4.3%)、「取組を進める方向で、具体的に検討している」(5.1%)を合わせるとおよそ1割の自治体が何らかの形で取り組んでいることがわかる。また、7割半の自治体が関心はあると回答しており、関心の高さがうかがえる(図表3-3-3-20)。

図表3-3-3-20 ビッグデータ利活用の状況
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成27年)
「図表3-3-3-20 ビッグデータ利活用の状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

次に、「既に取組を推進している」、「取組を進める方向で、具体的に検討している」と回答した自治体に対して、どのような手段でビッグデータ利活用に取り組んで(検討して)いるのかを尋ねた。「国や他の団体・事業者等が提供する分析サービス等を活用している」(50.5%)が最も多く、次いで「自らデータを収集し、分析を行っている」(33.0%)、「他自治体、大学、民間事業者等と提携・協力をしている」(28.2%)の順となった。各自治体がそれぞれの手段で取り組んでいることがうかがえる(図表3-3-3-21)。

図表3-3-3-21 ビッグデータ利活用の手段
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成27年)
「図表3-3-3-21 ビッグデータ利活用の手段」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
(イ)活用

ビッグデータを活用したい分野について尋ねた。「防災分野」(63.9%)、「観光分野」(62.9%)への関心が高いことがわかる(図表3-3-3-22)。

図表3-3-3-22 ビッグデータを活用したい分野
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成27年)
「図表3-3-3-22 ビッグデータを活用したい分野」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
ウ 地理情報システム(GIS)

現在、地理空間情報の行政各部門での利用促進、市民・民間での利用促進が推進されている。これは、土地や建物、公共施設など地理空間に関する情報を共用することで、無駄を省くだけでなく、より機動的、総合的な行政サービスを実現するためである。本調査では地理情報システム(以下、「GIS」)を活用したい分野や課題について尋ねた。

まず、GISが業務にどの程度活用されているかを尋ねた。「日常業務に組み込まれている」業務では「税務」(51.2%)が半数を超えた。「必要時にその都度利用している」を合わせると「道路」、「都市計画」、「上水道」、「下水道」、「防災」に関連する業務において過半数の自治体が利用していることがわかる。経年でみると、「税務」や「道路」など多くの自治体で活用されている業務を中心に活用割合が徐々に増加していることがわかる(図表3-3-3-23)。

図表3-3-3-23 GISの業務での活用状況
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成27年)
「図表3-3-3-23 GISの業務での活用状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

今後、GISをどのような分野で活用したいかを尋ねた。「防災分野」(84.3%)が最も多く、次いで「観光分野」(57.2%)、「防犯分野」(49.8%)の順となった。経年でみると、上位3分野では毎年増加していることがわかるが、それ以外では減少している分野も散見され、利活用分野をある程度絞り込んだ利用を検討していることも考えられる(図表3-3-3-24)。

図表3-3-3-24 GISを活用したい分野
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成27年)
「図表3-3-3-24 GISを活用したい分野」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

GISの活用に期待する効果を尋ねた。「業務効率化」(78.3%)が最も多く、次いで「サービスの質向上」(67.6%)、「各種の計画・判断の向上」(65.5%)の順となった。経年でみても期待する効果への傾向は変わらないことがわかる(図表3-3-3-25)。

図表3-3-3-25 GIS活用に期待する効果
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成27年)
「図表3-3-3-25 GIS活用に期待する効果」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る