総務省トップ > 政策 > 白書 > 27年版 > 各国の強み・弱みに関する評価
第2部 ICTが拓く未来社会
第3節 各国ICT企業経営層の認識と予測

(2)各国の強み・弱みに関する評価

各国ICT企業による自国のICT産業の強み及び弱みに関する評価について示す。ここでは、事業展開に係る個々の要素について、強みと弱みの両方の解釈や評価がありうることを前提に、それぞれどう認識しているかについての割合(回答率)を示している。

各国の特徴についてみてみると、我が国企業に関しては、特に「製品・サービスの機能・品質」や「技術力・研究開発力」を「強み」と評価している一方で、「コスト・価格競争力」や「意思決定のスピード」については「弱み」と認識している。とりわけ、前者の「技術力・研究開発力」は、「強み」と評価している回答率が6か国の中で最も高く、我が国企業が共通認識として有している要素である。

「強み」としての「製品・サービスの機能・品質」及び「弱み」としての「コスト・価格競争力」に関しては、日本に限らず、韓国・米国・ドイツにおいても同様の傾向が見られる。他方、中国やインドでは逆に「コスト・価格競争力」を「強み」と評価しており、先進国・成熟国との重要な差別化要素として認識していることがうかがえる(図表5-3-1-3)。

図表5-3-1-3 各国ICT企業のグローバル展開に係る強み・弱み
(出典)総務省「グローバルICT産業の構造変化及び将来展望等に関する調査研究」(平成27年)
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このように、各国が共通して「強み」(あるいは「弱み」)と認識している要素と、一部の国のみが強み(あるいは「弱み」)と認識している要素が存在する。それぞれの要素に関する各国企業の「強み」に関する回答率の平均値、及び、分散値は図表5-3-1-4の通りである。右下の領域は多くの国の企業が共通して「強み」と捉えている要素、左上では一部の国によって捉え方の差が大きい(結果としての平均値も低い)要素を表している。

図表5-3-1-4 各国ICT産業の「強み」に関する平均及び分散
(出典)総務省「グローバルICT産業の構造変化及び将来展望等に関する調査研究」(平成27年)
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この結果より、前述したように我が国が強みとして評価している「製品・サービスの機能・品質」や「技術力・研究開発力」は総体的に見て特異な要素ではなく、各国共通で強みとして認識されている要素であることが分かる。他方、「意思決定のスピード」「現地化の機能・能力」「パートナー企業等のネットワーク」などの要素に関しては、一部の国に限られた強みであることから、差別化して競争力強化に寄与する可能性のある要素であると考えられる。競争力強化への寄与度は異なるものの、我が国企業のグローバル展開においては、他国企業には無い要素や弱い要素にも着目し、強みとして育てることで差別化を図る方向性も重要と考えられる。

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