平成20年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

2 放送政策の展開

(1)放送政策概況

ア 放送法等の改正
 平成19年12月、「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」等を踏まえ、通信・放送分野の改革を推進するため、日本放送協会(以下「NHK」という。)のガバナンス改革、認定放送持株会社制度の創設等の改正を行う「放送法等の一部を改正する法律」が成立し、平成20年4月1日から施行された。
 同法における放送制度の改正に係る主な内容は、次のとおりである。

(ア)NHK関係
[1] ガバナンス強化
 NHKのガバナンスを強化するため、経営委員会について、監督権限の明確化、一部委員の常勤化、議決事項の見直し等を行うとともに、経営委員から構成される監査委員会の設置(従来の監事制度は廃止)、外部監査の導入等を措置した。
[2] 番組アーカイブのブロードバンドによる提供
 NHKが放送した放送番組(番組アーカイブ)をブロードバンド等を通じて有料で提供することをNHKの業務に追加するとともに、利用者保護のため、その業務の実施基準について認可を要すること等を措置した。
[3] 新たな国際放送の制度化
 我が国の対外情報発信力を強化するため、NHKの国際放送の業務を「外国人向け」と「在外邦人向け」に分離し、それぞれに適合した番組準則を適用することとし、また、外国人向けの映像国際放送について番組制作等を新法人に委託する制度を設けた。
[4] 命令放送制度の見直し
 国際放送の命令放送制度について、「命ずる」との文言を「要請する」に改め、NHKはこれに応じるよう努めるものとすること等を措置した。

(イ)民放関係等
[1] 認定放送持株会社制度の導入
 経営の効率化、資金調達の容易化等のメリットを有する「持株会社によるグループ経営」を経営の選択肢とするため、複数の地上放送事業者の子会社化を可能とするマスメディア集中排除原則の適用緩和や外資規制の直接適用等を内容とする「認定放送持株会社制度」を導入した。
[2] ワンセグ放送の独立利用の実現
 地上デジタル放送の携帯端末向け放送(ワンセグ放送)について、一般のテレビで受信する番組とは異なる番組の放送(独立利用)を可能とした。

イ 公平かつ透明性ある受信料体系の検討
 受信料制度は、NHKが公共放送としての使命を果たすため、その事業運営を支える制度として設けられたものであり、これまでNHKの安定的財源を確保することに寄与してきた。しかし、近年、NHK職員の不祥事により国民視聴者のNHKに対する信頼が損なわれ、受信料の不払いが増加したため、受信者間の公平性を著しく阻害するような状況が生じているほか、NHKの財政の根幹を成す受信料収入に深刻な影響がもたらされている。
 このような状況を踏まえ、総務省では、受信料の公平負担の確保に係る喫緊の課題に対応するため、平成19年6月から「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会」を開催し、同年11月、第一次報告書を取りまとめた。
 第一次報告書では、受信料の公平負担の状況を把握するための重要な指標である契約率の算定の母数となる世帯数等の見直しの検討の必要性、受信料体系の見直しの検討の在り方、衛星受信料体系の在り方等について提言がなされた。
 また、同研究会では、その後も引き続き、衛星受信料体系の在り方について、検討を行い、平成20年7月に第二次報告書を取りまとめた。
 その報告書では、衛星受信料体系を取り巻く環境変化を踏まえ、受信料の公平負担の確保を図るための衛星受信料体系の在り方について、同研究会が示した視点に立って、不断の見直しが行われることが必要であるとされたほか、衛星受信料体系が直面する課題に対する当面の対応として、受信確認メッセージ機能の活用強化等に関する提言がなされた。

 第2節 情報通信政策の展開

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