超高齢社会に突入した我が国は、社会保障費の増大や生産年齢人口の減少等、様々な課題に直面しています。
総務省では、医療費・介護費の増大や医療資源の偏在といった現状の課題の解決、健康寿命の延伸や医療製品・サービスの強化に向けて、(1)医療・介護・健康分野のネットワーク化の推進や、(2)医療・介護・健康分野における先導的なICT利活用の推進に資する取組を進めています。
現在、政府全体で、レセプトに基づく薬剤情報や特定健診情報といった患者の保健医療情報を、患者本人や全国の医療機関等で確認できる仕組みの構築に向けた取組が行われています。総務省においても、これと連携して、医療・介護・健康分野の情報連携基盤の在り方や具体的なネットワーク利活用モデルを検討するための実証事業を行っています。
高齢化に伴う患者通院負担の増大や医師の偏在といった課題の解決策として、遠隔医療への期待が高まっています。総務省においては、先導的なICTの利活用や技術的課題の解決といった観点から実証事業を行い、各地域での遠隔医療の普及促進に資するモデル構築に取り組んでいます。
クラウドサービスやスマートフォンの普及とあいまって、個人の医療・介護・健康データを、PHRとして、本人の同意の下で様々なサービスに活用することが可能になってきています。総務省では、(1)妊娠・出産・子育て支援、(2)疾病・介護予防、(3)生活習慣病重症化予防、(4)医療・介護連携にかかる新たなサービスモデルの開発や、サービス横断的にデータを管理・活用できる連携基盤(プラットフォーム)の開発に対して、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)を通じた支援を行ってきました。令和元年度からは、厚生労働省、経済産業省と連携しながら、民間PHRサービスの適正かつ効果的な利活用を進めるためのルール整備に取り組んでいます。
<AMED事業>
<民間利活用作業班の検討結果>
本研究においては、生活習慣病重症化予防に特化したPHRシステムを開発するとともに、効果的に予防を行うため、6臨床学会により検討され、承認を得た「生活習慣病自己管理項目セット」及び「PHR推奨設定」を使用しています。
この「生活習慣病自己管理項目セット」及び「PHR推奨設定」は、本研究事業の支援のもと検討を重ね、平成30年10月に一般社団法人日本医療情報学会から公表されました。
現在、全国には約270の地域医療情報連携ネットワーク(EHR)が存在していますが、その多くは、一方向の情報閲覧であることや運用コストが大きいことなどの理由により、施設や患者の参加率が低く、活用が十分に進んでいないという課題を抱えています。総務省では、このような課題を解決するために、クラウド活用型の双方向かつ低コストなEHRを整備する事業に対して補助を実施しました。
医療情報を取り扱う際の安全管理については、総務省・厚生労働省・経済産業省3省のガイドラインにより、必要な対策等が規定されています。総務省・経済産業省は、医療情報を電子的に作成し保存する際の安全を確保するため、医療情報を取り扱う情報システムやサービスを提供する事業者に対して、「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」(令和2年8月策定)を所管しております。
第5世代移動通信システム(5G)の医療分野におけるユースケースを創出するための取組を進めています。
総務省では、平成28年度から、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)を通じ、医療・介護・健康分野に係る研究開発を実施しています。
8K等の高精細映像技術は、映像を高い臨場感と実物感とともに伝えることができるため、医療分野において活用することにより、様々な領域で革新的な医療サービスが実現する可能性を有しています。このため、総務省では、8K技術を活用した遠隔医療モデルの実現に向けた研究開発を行っています。
遠隔手術に必要なネットワークやセキュリティといった通信環境の検討・整理を行うため、実際に手術支援ロボットを用いた遠隔手術の研究開発を行っています。
認知症の行動・心理症状(BPSD)の予防や介護負担の軽減のため、認知症患者のIoTデータ等を収集し、AIで解析することで、BPSDの発症を事前に予測し、介護者に通知するシステムの研究開発を行っています。