総務省トップ > 政策 > 白書 > 26年版 > ルワンダのTRACNET
第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第3節 様々な社会的課題とICTによる課題解決

(2) ルワンダのTRACNET

「TRACNET」は2003年にルワンダの健康省(Ministry of Health)内にあるTreatment and Research AIDS Center (TRAC)で計画され、2004年12月に開始したHIV患者向けのサービスである13図表1-3-4-3)。HIV14に関する情報収集、蓄積、活用の他に薬の配給や患者の情報管理も行っており、ユーザーは通話料無料で電話をかけたり、Webサイトにアクセスすることによって、ヘルスセンターのスタッフから検査結果や抗レトロウイルス薬(ARV)の投与に関する情報なども受け取ることができる。85%以上のユーザーが携帯電話の無料通話を利用して、情報収集や個人の情報を入力している15。またTRACNETによって、医師も抗レトロウイルス薬(ARV)の在庫をリアルタイムにモニターすることも可能であり、在庫がなくなりそうな時にはセンターに薬を要求することができる。

図表1-3-4-3 「TRACNET」導入の効果
(出典)国連資料を元に作成

TRACNET開始当初は薬の在庫不足やヘルスワーカー不足、資金難など様々な問題もあったが、それらも徐々に解決され、導入されたヘルスセンターは2005年初頭の21か所から2007年末には168か所にまで拡大された。

TRACNETの導入によって、従来よりも迅速にHIV患者対応ができるようになった。従来は収集した情報を紙ベースで保管しており、薬の配給体制も行き届いてなかったが、同システムで患者からインプットされた情報をモニターすることによって、患者の様子や薬の在庫管理がリアルタイムに行うことができるようになり、また患者への情報提供も携帯電話の音声やWebサイトを通じて効率的に行うことができるようになった。ルワンダ政府は2020年までに同様のシステムを他の全てのヘルスケア分野においても導入することを検討している。



13 http://www.un.org/esa/sustdev/publications/africa_casestudies/tracnet.pdfPDF

14 ルワンダには約50万人のHIV患者が存在している。

15 http://www.pepfar.gov/press/84654.htm別ウィンドウで開きます

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